ブログをご覧の皆様、弁護士の丹羽一裕と申します。
私は、昔からプロ野球が好きで、中学生のころ、ひいきのチーム(どこかはあえて言いませんが笑)が優勝した年は、勉強そっちのけで応援して、成績がガタ落ちしました。
このときは親が呼び出されて、先生に「息子さんはどうなっているのか?」と尋ねられたらしいですが、「阪神(言ってしまいました笑)優勝で勉強が手につきませんでした。」と答えたそうです。
先生は「それは仕方ないですね。」と返事したそうです。
「先生!それでいいんですか!?もっと指導してくださいよ!!」と、今となっては思いますけれどもね。
冗談はさておき、今年はプロ野球に、新ルール「コリジョンルール」というものが採用されています。
ご存知でない方のために簡単に説明しますと、
「捕手」(大事な大事なホームベースを走者に踏まれないように守っている選手)は、
「走者」(ホームベースを踏むために一生懸命走ってくる、相手方の選手)が走ってくる道の邪魔になるようなところにいてはいけない。
というルールです。
捕手がこれに違反すると、自動的に走者がホームベースを踏んだことになります。
なぜこのようなルールができたかというと、
「ホームベースは、野球の勝ち負けを決める大事なところです!
だから捕手は、大事な大事なホームベースをどうしても走者に踏まれたくないから、走者の邪魔をしてでも守る!!
すると、走者は、大事な大事なホームベースをどうしても踏みたいから、捕手にタックルしてでも踏もうとする!!
打ち所が悪ければ捕手は大けがをしてしまう!!
こんなことはないほうがいいですよね!
ファンの皆さんも選手がけがをするところなんて見たくないですよね!」
ということからでした。
これ自体は実にまっとうなことで、「めでたし!めでたし!」・・・では終わりませんでした。
審判が、残念なことに、このルールを、形式的に、全くぶつかりそうもない時にまで、適用してしまっているからです。
なんでそうなってしまったのかなあ、と考えていると、そこは法律家、ブログのネタの一つも考えつくわけです。
弁護士含め法律家は、議論をする前に、この法律ってどんな理由でできたんだろう?と考えてから議論を始めます。
この姿勢・精神を我々はリーガルマインドと読んでいます。
これが、法律家の一番大切なところといっても過言ではありません。
しかしながら、プロ野球の審判は、当然のことながら、法律家ではありません。
このコリジョンルールは、どんな理由でできたんだろう?って考えれば、
「そうそう!捕手がけがしないようにするためだったな!」
となって、
「それなら、捕手がけがをする恐れが全くないような場合は、適用しないようにしよう!」
となるのが弁護士含め法律家の考え方なのです。
実際、このルールの形式的適用で、大事な大事なホームベースをめぐる、野球の一番の見せ場の楽しさが激減しました。
おそらく、来年には、運用が変わってくるとは思いますが、この一年間は我慢しなくてはならないようです。
スポーツ競技のルールって、もちろん競技者のためにあるのは確かですが、それを観戦して楽しむファンのためにあるのも間違いないと思います。
ファンが楽しめるってことは、特にプロスポーツにとっては肝心要の部分で、「憲法」みたいなものだと思ったりします。
上にも書いたように、私を含め多くのファンは、今のコリジョンルールの適用の仕方で、一番の見せ場の楽しさが激減してしまい、ガッカリしています。
このような状況を見ていると、
審判などの「判定者」には、もっと「リーガルマインド」が必要なのではないかなあ・・・
法律家が、スポーツ競技にもっともっとかかわっていくことができればいいなあ・・・
などと思う今日この頃でした。
長々と書いてしまいましたが、お読みになってくださった方には感謝申し上げます。