昨年末から,未成年後見人に就任している件があります。
親権者の死亡等のため未成年者に対し
親権を行う者がない場合に,
家庭裁判所は,申立てにより,未成年後見人を選任します。
未成年後見人とは,未成年者(未成年被後見人)の
法定代理人であり, 未成年者の監護養育,
財産管理,契約等の法律行為などを行います。
未成年後見人は親権者と同じ権利義務を有していますので,
要するに,昨年末, 私に突然「我が子」ができたようなもんです。
未成年後見人に就任してからの初動は,
裁判所に記録を閲覧に行った後,
「我が子」とその関係者への挨拶と財産の引継ぎ,
そして,「我が子」の財産調査をして,
1か月以内に財産目録及び支出予定表を
裁判所に提出することです。
その後,この約半年間の間に,
私が「我が子」のためにしたことといえば・・・
・LINEでほとんど毎日連絡を取り合っています。
そのうち,お小遣額に関する攻防が7割くらい?!
・お小遣いの送金手続
・携帯電話の契約のためにショップに同行
・住民票の異動,健康保健証等の住所変更等の手続
・チャリがなくなった!という相談への対応(3回)
・サイフなくしたかも?!という相談への対応
・風邪で病院に行くことへの対応
・交通事故に遭ったことから,身元引受人として警察署に行く
っと,こんなもんでしょうか。
けっこう一つ一つに機動力が要ります。
何事も「突如」起こります。
加えて,やはり「未成年後見人」という立場が
浸透していないためか, ショップに同行して手続したり,
役所で手続すること自体に,手間と時間がかかります。
「我が子」とは電話もよくしています。
青少年特有の悩みについて聞くこともあり,
私自身も,どうしたもんか判断に迷いながら,
「我が子」の思いを聴いています。
・・・「我が子」が,話を聴いてくれていると
実感してくれていたら良いのですが。
最近は,お互い言いたいことを言いやすくなり,
時には「親子の口喧嘩」の様相を呈してくることもあります。
・・・きっと私の方が大人げないのですが。
「我が子」が成人するまで,どんな経験をさせて,
道筋をどのようにつけていこうか, というのも,
未成年後見人としての悩みの一つです。
パソコン買ってあげた方がいいのかとか。
運転免許は取得させた方がいいかとか。
あまりにも私が世話し過ぎても,
成人になった時の自立に支障になるんじゃなかとか。
こんな「親権者」の疑似体験をさせてもらいながら,
「親権者」は大変なんだなーということを思っています。
そして,自分がこういうことを
親にやってきてもらったのだと理解ができます。
親は偉大だなぁ,と思います。
弁護士法1条には,基本的本的人権の擁護と
社会正義の実現が弁護士の使命であると定められています。
未成年後見人に弁護士が就くというのは,
たとえば,子どもがちょっとしたトラブルに巻き込まれたり,
子どもが困った立場に置かれた時に,威力を発揮します。
なので,弁護士が未成年後見人を担うことは,
子どもの基本的人権の擁護に,より適う結果になると思います。
未成年被後見人にとって,親権者がいなくなるということは,
基本的に,自分ではどうすることもできない
類のものであることが多いと思います。
なので,そういう立場にいる子どもの
実質的平等を図るという観点から,
社会正義の実現の一環として,
「子どもの最善の利益」という気持ちのある多くの弁護士に,
未成年後見人を担ってもらいたいと思っています。