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Channel: 弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿
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再犯

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 薬物犯罪や病的盗癖でなくても、犯罪を繰り返す人はいる。
裁判の時には、「もう二度と犯罪はしません。」と約束する。「裁判だから、わざと感じいい風に言った」と言われればそれまでだが、その言葉は、その時の気持ちとしては偽りではないのだろう。裁判のときは、真摯に反省しているはずである。しかし果たして、その言葉を信じることができるだろうか。時とともに、反省の気持ちは麻痺し、薄らいでいくのもまた、事実である。彼の信念が試される。

 

昔々、銀河系のはるか彼方で・・・
銀河共和国は軍隊を持たず、徳を積んだ少数のジェダイが平和を維持していた。しかし、元老院議員のパルパティーンは裏で敵軍を支援して戦争の危機感を煽り、人民を誘導して最高議長に就任する。彼は軍備を増強し、反乱の嫌疑をかけてジェダイを抹殺、帝国の皇帝として君臨した。

 

 人類はこれまで、何度も同じ過ちを繰り返してきた。一人の「英雄」と思えた人物に権力を与えてしまい、その独裁者は思想・言論を統制し、戦争をし、そしてその後に人々は過ちに気づき、反省する。
勝れて民主的だと言われたワイマール憲法によって選出され、これを「全権委任法」によって踏みにじったヒトラーも、人民の政府を勝ち取ったはずのソビエトで、「テロ組織とテロ行為」なる法律を作り粛清をしたスターリンも、人民が権力を与えたのだ。

 

 日本は敗戦し、「もう二度と戦争はしません。」と約束した。「GHQに言わされた」と言われればそれまでだが、その言葉は、その時の気持ちとしては偽りではなかったのだろう。戦後のときは、真摯に反省していたはずである。しかし果たして、その言葉を信じることができるだろうか。時とともに、反省の気持ちは麻痺し、薄らいでいくのもまた、事実である。我々の信念が試されている。

 


貧困とは?

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寒さが厳しい季節になってきましたね。

 

さて今日のテーマは「貧困」です。

「貧困」という言葉を聞いて皆様はどのようなイメージを持たれるでしょうか?

この寒空の下帰る家がなく路上で生活をしている人、日々の食事すら満足にとれずに飢えている人は「貧困」だと多くの人が思うと思います。

では、家はある、3食食べられる、でもお金がなくてずっと同じものしか食べられない人、あるいはバランスのとれた食事を食べられない人、携帯電話を持てない人、町内会の集まりなどに参加できない人、子供にクリスマスプレゼントを買ってあげられない人などなど、、、

こういう人たちは「貧困」ではないのでしょうか?

 

実は、「貧困」という概念については、ずっと以前から研究がされてきて、どんどんその概念が変わってきているのです。

 

昔は、「絶対的貧困概念」というものがありました。これは、貧困というのは、生きていくために必要な栄養をとることができない状態、つまりお金がなくて生きるために必要な食料を得られないような状態を指すという考え方です。このような考え方が出てきた背景には、実際にこのような状態に陥っている人がたくさんいたという事情がありました。

 

その後、時代は流れ、「相対的貧困概念」というものが出てきました。これは、貧困というのは、その人が所属している社会で、いわば「当たり前の」食事を食べられなかったり、社会的な諸活動に参加できなかったり、快適な生活を送るための必要な生活資源を持っていない状態をさすというものです。つまり、生きるために必要な食料を得ることができていても、お金がなくてずっと同じものしか食べられなかったり、食事の質が悪かったり、生活必需品と言われているような家具を持っていなかったり、そういう状態は貧困なんだという考え方です。

 

さらに現在では、社会のいろいろな活動に参加できず社会から疎外され孤立化している状態が貧困だという考え方もあります。この考え方について今日は詳しく説明できませんが、これについては、1999年にイギリスで行われた調査(「貧困・社会的排除調査(PSE調査)」)においてひとつの指標が示されていますので、気になった方は是非インターネットで「イギリス 貧困・社会的排除調査」と検索してみてください。

 

このように貧困についての考え方は社会が変化していく中でどんどん変化しています。

上で挙げたような例は貧困なのかどうか、少し考えてみていただければと思います。

冤罪

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 東住吉放火殺人冤罪事件をご存じでしょうか。

 

 1995年7月22日,大阪市東住吉区の住宅から出火し,入浴中だった11才の女の子が亡くなりました。後の再現実験などで,ガレージ内の自動車から漏れたガソリンに風呂の種火が引火した可能性が高いことがわかっています。

 

 しかし,1カ月半後,女の子の母親・青木惠子さんとその内縁の夫が,放火・殺人・保険金詐欺の疑いで逮捕されました。ガレージは施錠され外からの侵入が不可能であったことや,女の子に1500万円の保険金がかけられていたことなどから,疑いがかけられたものです。逮捕直後の「ガソリンを撒いてライターで火を付けた」という内縁の夫の「自白」,そしてその共謀を認める青木さんの「自白」を根拠に2人は起訴されました。検察官が主張する犯行動機は不自然であったうえ(例えば保険は勧誘されて入った学資保険でした),この状況でガソリンに火を着けることはほぼ不可能であり,「自白」は客観的・科学的事実に反していたにも関わらず,大阪地裁で2人は無期懲役の判決を言い渡され,2006年,その判決が最高裁で確定しました。「自白」が「放火」を裏付けるほとんど唯一の証拠でした。

 

 2人の冤罪が晴れたのは昨年です。2009年の再審の申立てについて,大阪地裁が2012年に再審開始を決定しました。検察官は不服を申し立てたましたが,2015年になって(遅い!),大阪高裁も大阪地裁の判断を支持したうえで,2人を仮に釈放しました(大阪地裁も2012年の仮の釈放を決定していたのですが,大阪高裁はこれを覆し,結局3年もの間,身体拘束を引っ張り続けたことになります)。検察官はこれらを受け入れ,2016年に開始された再審では,有罪の主張をしませんでした。2016年8月10日,ようやく改めて無罪判決が言い渡され,それが確定しています。再現実験で放火が不可能とされたことが決定的な証拠だったといえるでしょう。

 

 青木さんが仮に釈放されてから2年あまり,無罪が確定してから1年あまりになります。社会に戻ってくることができたことは喜ばしいことですが,普通の生活に戻ることは容易ではありません。20年という時間は,あまりに長いものです。

 

 12月18日(月)午後10時から放送のNHKスペシャル「時間が止まった私 冤罪が奪った7352日」は,裁判の問題点だけではなく,これまであまり焦点が当てられることがなかった,冤罪から復帰した後の生活にも注目した番組です。私もほんのちょっとだけこの番組に協力していますが,本当にほんのちょっとだけのことであり,むしろ「見たい」番組として挙げさせていただいた次第です。

「任意」という不思議な法律用語

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 この夏から秋にかけて、結構神経を使わされた案件のひとつに「不動産の任意売却」というものがあります。

 

 この「任意売却」という言葉は、一般の人にはあまり聞き慣れない用語だと思います。売買は当事者間の契約ですから、それが任意に行われるのは明らかで、わざわざ任意とつけ加える必要はないようにも思えます。

 

 しかし、この「任意売却」は、詳しく言えば、住宅ローンが払えなくなったなどの理由で不動産が競売申立をされた場合に、競売手続を最後まで(競落まで)進めずに、抵当権者など競売になれば配当を受けられる可能性のある関係者に売買代金のうちの一部を分配することを予め決めて、関係者の同意を得た上で売買をすることを言います。

 

 つまり「任意売却」とは、一種の強制的な手続である「競売」に対するもので、当事者の同意に基づき行われる点で「任意」と呼んでいるのです。

 

 刑事の分野でも同じような「任意」がつくものがあります。「任意同行」という言葉を聞かれたことがあると思います。

これも逮捕という強制的な連行ではなく、警察への同行を求められるもので、事実上強制的なのになぜ「任意」とつくかといえば、法律上の強制的な手続である逮捕に対応して「任意」と言っているわけです。

 

 ここで、「任意捜査と強制捜査の区別」などという話題にすれば司法試験の問題になりますが、ここではそのような区別を論じることはしません。それより、長年あまり意識せずに「任意」という用語を使っていたのですが、「任意」という名前がついているにもかかわらず、全く自由に何をしてもいいわけではなく、一種の制度として確立され、その範囲で行われるものが案外多いということが気になってきました。一度このような日本における明文化されていない制度について考えてみたいと思っている昨今です。

地域包括支援センターでの相談

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年末です。今週忙しいです。ブログ当番です。

私は、大阪弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター(愛称「ひまわり」)に所属しています。

ひまわりでは、様々な活動を行っていますが、その中の一つに、地域包括支援センターや障害者相談支援事業所の職員の方々への法律支援事業があります。

現在、大阪府下16市町村及び大阪市内20区の地域包括支援センター及び大阪府下4市町村の障害者相談支援事業所と契約をしており、弁護士が事業所へ訪問して相談を行ったり、勉強会をしたり、また、電話やメールでの相談を行っています。

 ※地域包括支援センター

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link2.pdf

 ※障害者相談支援事業所

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/soudan.html

 

地域包括支援センターの職員の方々が、高齢者や障害者の当事者から受ける相談の中には、法律的な問題を含むものもたくさんあり、いわば、高齢者や障害者の支援の最前線におられるのですが、職員の方々は、専門家ではありませんので、当事者の相談の中に、実は法律的問題がひそんでいるということに気付くこともたいへんですし、また、気付いたとしても弁護士に相談することを思いつかれるかどうかもわかりません。

でも、日常的に弁護士が相談を乗っていることで、法律の問題かもしれない、と気付いて弁護士に相談されることも出てきます。

また、法律的に解決する方法があることをお伝えするだけでも、その後の支援の道筋が見え、解決に向かうことがたくさんあります。

そして、当事者の方が、実際に弁護士に相談、または、弁護士に解決を依頼すれば、法律的な問題の部分は解決することが多いです。

また、職員の方々のアドバイス内容が、法的に問題がないかについてのアドバイスをすることもあります。

 これからも信頼関係を築きながら相談を続けていきたいと思います。

良いお年をお迎えください

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 12月28日のブログ当番でしたが、気付けば12月31日になっていました。申し訳ありません。

 

 このブログを読んでくださっている皆様にとって本年はどのような1年でしたでしょうか。

 私的なことで恐縮ですが、私は3月に父を亡くし、親孝行はできるときにしておかないといけないなぁと実感するなど悲しいこともありましたが、基本的に充実した日々を過ごせたように思います。

 

 このブログを読んでくださっている皆様において、来年が「元気いっぱい」「笑顔いっぱい」の1年になるように祈念して、今年最後のブログとさせていただきます。

 良いお年をお迎えください。

言葉の意味

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明けましておめでとうございます。

今年最初のブログを担当させていただくことになりました。

 

みなさんはどんな年末年始だったでしょうか。

おせちは召し上がりましたか?

私の故郷はおせちは大晦日に食べるのですが、全国的にも珍しいのではないでしょうか。

年末年始はそれぞれの土地の文化が色濃く出る時期で、話を聴くだけでもとても楽しいです。

 

さて、人と話をするときに、たとえば言葉の定義をはっきりさせておかないと議論がかみ合わなくなります。あるいはそもそも言葉の意味をどう考えるかで議論になることがあります。

 

たとえば、裁判上の離婚(民法770条)では、「夫婦に一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。」としたうえで、五号で「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」という定めがあります。

ここにいう「婚姻を継続し難い重大な事由」とはいったいどのようなことでしょうか。

夫婦関係が修復不能な程度にまで破綻していて結婚生活を継続することは難しいという抽象的なことはイメージできると思いますし、性格の不一致、夫の暴力、性交不能などを具体例に挙げることは可能だと思います。

ただ、何をもって「重大な事由」とするのかは明確な定義は無く、最終的には裁判官の判断に委ねざるを得ないという点で、当事者にしてみれば「重大な事由」なのに、裁判官には認めてもらえないことがありえます。

このように法律の世界は、同じ言葉でも解釈が分かれることがあり、それが面白さであるのですが、難しく感じる要因でもあります。

「インターネットにこう書いてあった」と言われることがあるのですが、話はそう単純ではないことも多々ありますので、お困りごとがあれば弁護士に相談していただければと思います。

 

さて、私は先日のクリスマスに、自分の分を食べたうえで妻のクリスマスケーキを少し食べてしまったのですが、これは「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるでしょうか。

あなたならどう考えますか?(笑)

初詣

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明けましておめでとうございます。

二回目のブログ投稿になります。

 

皆様、お正月はどのように過ごされましたか。

私は弁護士になって初めてのお正月だったということもあり、知らないうちに疲れも溜まっていたのか、完全な寝正月となってしまいました。

ただ、初詣には行ったので、そのことについて書こうと思います。

 

大晦日は、法科大学院時代の友人たちと集まって晩御飯を食べていたのですが、折角なので初詣に行こうということになり、そのまま大阪天満宮に向かいました。

私は、元日になる瞬間に初詣に行った経験がなく、大晦日の夜は皆さん実家に帰って家族で過ごしているだろうし、そこまで混雑していないだろうと思っていました。

しかし、大阪天満宮に着くと、テーマパークの人気アトラクションの行列かと思うくらい、たくさんの人で溢れかえっていました。その光景にも衝撃を受けたのですが、年が明ける10秒前になると、周りの人たちが一斉にカウントダウンをし始めて、ここは本当に神社なのだろうかと、さらにカルチャーショックを受けました。

 

普段私は、大晦日は、実家でテレビをぼーっと見ながら、気付いたら年が明けているというような過ごし方をしていたので、大晦日の夜に大勢で集まって、このような方法で新年を祝うというのも、気持ちを新たにするという意味で、悪くはないなと思いました。

その後数十分並んで、お賽銭を入れて、願い事をして、大阪天満宮を後にしました。

 

今年は、私的にも重要な年になると思うので、公私ともに順調にいけば、と思っています。お正月はしっかり休んで英気を養ったので、弁護士二年目も、日々の業務に真剣に取り組み、自己研鑽を積んでいきます。


日弁連副会長の女性クォータ(割当て)制導入

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昨年12月8日の日弁連臨時総会で日弁連副会長の女性クォータ制が導入されることとなりました。現在、各ブロックから選出された9名と東京3会と大阪から選出された4名の計13名の副会長がいますが、更に2枠増やして15名とし、この2枠は女性から出すというものです。

 

今、女性活躍の時代と言われていますが、まだまだ企業、組織の政策・意思決定機関に女性が占める割合はグーンと低いというのが現状です。内閣府では、何とかその割合を3割にしたいと各方面に要請しているところです。

日弁連の女性会員の割合は現在約18%で、私が弁護士登録をしたころは4.5%だったことに比べればそれなりに増えましたが、まだまだ半部には程遠い状況です。ましてや、1949年に日弁連が創立されてから69年、その間に日弁連副会長は7.800名はいると思いますが、その中で女性副会長はたったの12名です(どんだけ、男社会やねん!)。

 

それでも最近では各年度に1ないし3名は女性副会長が輩出している年度が多いのですが、まったくゼロという年もあります。もう少し時期を待てば女性副会長の割合も増えてくるよというご意見もありますが、「そんなんいつになるか分かれへんやん。それまで待ってられへんわ」です。

 

何故女性割合を増やす必要があるのか。諸外国では女性役員がどんどん増えているのに日本の組織だけがいつまでも意思決定機関に黒っぽいスーツを着た男性しかいないというのはどこか変です。そこで、正しく女性の意見、ニーズが反映されるでしょうか。

 

制度実現に向かって取り組んだ立場としては、制度が成立してひとまずよかった、弁護士会だけでなく社会に一石を投じることができればいいなという思いですが、現実の問題として、これから最低二人以上手を挙げてくれる人を発掘しなければいけないと思うと身の引きしまる思いです。現在の副会長職は激務です。無駄をなくして環境を整備しないと、参入障壁があります。

 

それを整備し、いずれは、クォータ枠だけでなく従来の13名枠にもどんどん女性が参入し、いずれは半分が女性という時代が来ることを楽しみに、長生きしようっと。

2017年度・知的財産シンポジウム

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大阪弁護士会知的財産委員会の企画により,1月16日,大阪弁護士会館2階ホールにて,大阪弁護士会及び大阪弁護士会知的財産法実務研究会の共催で,「国際的観点からみた知的財産訴訟の実務とこれから~設樂知財高裁前所長に聞く~」と題するシンポジウムが開催されました。

 

第1部の基調講演では,設樂隆一弁護士から,最近の知財高裁への訪問者にアジアの国々からの法曹関係者が急増していることや,訪問者との会合で議論になった点,2016年9月にパリで行われた日欧模擬裁判(ドイツ・イギリス・フランス・日本)での各国の証拠収集手続の違い等について,ご紹介いただきました。

第2部のパネルディスカッションでは,設樂隆一弁護士の他,髙松宏之大阪地方裁判所第26民事部(知的財産権専門部)部総括判事,大阪弁護士会会員の小松陽一郎弁護士にパネリストとしてご登壇いただき,我が国の知財紛争処理システムの機能強化に向けて検討されている「証拠収集手続制度のあり方」(特にインカメラ手続による書類提出の必要性判断)や,最高裁判所平成29年7月10日判決を題材にして,事実審の口頭弁論終結時までに主張しなかった「訂正の再抗弁」について,それぞれの立場から議論いただきました。

 

シンポジウムには,弁護士,弁理士,企業関係者を中心として191名の参加があり,「証拠収集手続の欧州各国の状況がよく分かりました。」,「パネルディスカッションでは多角的な意見を伺うことが出来て大いに参考になった。」等の感想が寄せられました。

 

大阪弁護士会知的財産委員会では,このような知的財産権制度に関するシンポジウムや対外セミナー等の普及活動を企画しています。2月16日には,大阪弁護士会館で,大阪府ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)と大阪弁護士会のコラボレーションのセミナー「Mobio-cafe」を開催する予定(参加をご希望の方はMOBIOのホームページ(http://www.m-osaka.com/jp/mobio-cafe/detail/001381.html)からの申込が必要となりますのでご注意下さい)で,当ブログで報告したいと思います。

くいしんぼう仮面さんインタビュー

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大阪弁護士会月報の巻頭記事用に,プロレスラーのくいしんぼう仮面さんにインタビューをさせて頂きました。記事は大阪弁護士会のホームページにアップされてますので,弁護士以外の方もネットで読むことができます。

 

<大阪弁護士会ホームページ>

http://www.osakaben.or.jp/matter/db/pdf/2017/oba_newsletter-196.pdf

 

くいしんぼう仮面さんは,くいだおれ人形がモチーフで,大阪にもなじみの深いプロレスラーです。力道山先生,馬場さん,猪木さんの様な時代ではない現代で,どうやってプロレスラーとして生きていくのか。

 

プロレスに興味がない方にも,人生のヒントが見つかるようなインタビュー記事になっていると思います。

是非,ご一読ください。

 

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証人尋問と当事者尋問

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訴訟事件の中で、弁護士がかなりエネルギーを使うのが、証人尋問(当事者尋問)です。当たり前ですが、普通に生活をしている人が、法廷で証言する(させられる)ことはまずありませんので、最初は、皆さん、かなり戸惑います(何を隠そう弁護士である私も、新人のころは随分緊張しました)

 

今日はその中でも、よく依頼者から質問されることへの回答と、個人的な所感を少々、、、

 

 

■あるある質問① 「証人尋問で嘘をついたらどうなるんですか?!」

 冒頭から微妙に言葉を使い分けていますが、実は、法廷の尋問は、「証人尋問」と、「当事者尋問」に分かれます。証人尋問は、訴訟当事者(原告、被告)以外の第三者の尋問、当事者尋問は、言葉通り、訴訟当事者の尋問です。ちなみに、法人が訴訟当事者になっている場合、その代表者は当事者として扱われます。

 

 なぜ、最初にこの違いに触れたかというと、当事者尋問と証人尋問は、法律上は、結構取り扱いが違うからです。

 

 まず、偽証をした場合、証人は、偽証罪に問われます。法定刑は3月以上10年以下の懲役で、罰金はなく、なかなかに重い罪です。

 

 ところが、当事者が偽証をしても、偽証罪は適用されません。何が適用されるかというと「10万円以下の過料(かりょう。あやまちりょうともいう。)」です。聞きなれない言葉かと思いますが、過料とは、法律上は行政罰と呼ばれるもので、刑罰(犯罪)ではありません。

 

 普通の感覚だと、ウソつきは等しくウソつきなのに、なんでこんなに取り扱いが違うんだ?と思うでしょう。偽証の取り扱いがここまで異なる法律上の理由は、民事訴訟法の教科書に譲るとして、私も、一個人としては、おかしいなあと思います。

 

 ちなみに、当事者が虚偽の陳述をした後で、訴訟が終結する前に、虚偽の陳述をしたことを認めたときは、裁判所は、事情により、過料の決定を取り消すことができる、とされています(適用された事例を知りませんが、、、)。

 なんだか、優しいなあ、と思いますね。

 

 

■あるある質問② 「証人or当事者が出頭しなかったらどうなるんですか?!」

 これも、当事者と、証人とで、結構違います。

 

 当事者が出頭しなかった場合や、宣誓、陳述を拒んだ場合は、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができます(民事訴訟法208条)。刑事事件でよく耳にする「黙秘権」は、民事訴訟では通用しないということですね。

 

 証人の場合は、いろいろと規定あります。まず、正当な理由なく出頭しないときは、10万円以下の過料or罰金、拘引に処される場合があります(民事訴訟法192条1項、193条)。

 さらに、正当な理由なく出頭しない証人は、勾引(強制的に裁判所に連れてくること。)されます。警察が、証人の身柄を拘束して、裁判所に連れてくるわけです。なかなか怖いですね。

 

 そんなわけで、当事者尋問と証人尋問は結構違います。裁判所も、この点明確にするため、尋問の冒頭で、証人についての取り扱いと、当事者についての取り扱いが違う旨、実は明確に述べていますので、注意して聞いてみてください。

 

 

■ 尋問についてはまだまだ、あるある質問のネタがありますが、今日はこの辺で、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀鱗を求めて

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季節の移り変わりというのは早いものですね。

前回、私がブログを担当したのは昨年の10月。「秋めいてきましたね」という感じでご挨拶していました。

このブログを執筆しているのが2月6日。現在、日本全国が大寒波に見舞われております。

 

さてさて、ブログの担当が回ってくるということで、ここ数日の間、前回と同様に釣りのブログネタはないものかなーと考えながら歩いていました(そもそも、釣りネタに限定してしまっている点はご勘弁ください)。

 

冬の釣りもの……うーん、メバルかなー、アイナメかなー………ん、そういえば、ブログの投稿日は2月6日だな……ということはあのシーズンが来ているはず!!

 

という感じで閃いたのは、メバルでもアイナメでもなく、『サクラマス』です。

今回は、サクラマス釣りについてご紹介したいと思います。

 

「…サクラマス?なんじゃそりゃ?」という声が聞こえてきそうですね。

 

サクラマスとは、サケ目サケ科の魚で、低水温を好み、主に北日本を中心に生息しています。幼魚のうちは河川で成長し、一定程度成長すると海へ降り、外洋で生息後(オホーツク海方面で越夏するようです)、産卵のために河川を遡上する魚です。サクラマスの由来には、桜の開花時期に遡上するからなど諸説あるようですね。

 

関西の近県ですと、例年2月から福井県の九頭竜川でサクラマス釣りが解禁を迎えます。サクラマスには海へ降り成長する個体(降海型)と湖などの閉鎖水域で成長する個体(陸封型)があるのですが、九頭竜川では、外洋から九頭竜川へ戻ってきた降海型の個体を狙います。

 

最近は足こそ遠のきましたが、某釣具店でアルバイトしていたときは、毎年2月になると必ず仲間内で日程を合わせて福井県まで遠征に行っていました。

しかし、私はまだサクラマスを釣ったことはありません。

九頭竜川へは何度も通っているのですが、私の投げるルアーにはなかなか反応してくれないのです(そう簡単には釣れない珍しい魚であると弁解しておきます…)。

極寒の日本海側で1日中歩き回り、竿を振り続けても、当たりさえないというのがほとんどです。

 

それでも、1日が終わって竿を車に積む際には、「楽しかった」と思います。

 

今日はサクラマス釣れているかなと釣果を確認すること

地図・航空写真・釣果情報からポイントを予想すること

道具の中から自分の予想をもとに最適なセッティングを考えること

天気予報や潮回りを見ながら釣行計画を立てること

極寒の中、自分の予想を答え合わせをすること

サクラマスの代わりとなる家族へのお土産を買って帰路につくこと

 

釣果は伴わなくても、このプロセスを経ることができれば、日々のストレスなど飛んで行ってしまうのです。むしろ、釣果は二の次で、私自身このプロセスを趣味として楽しんでいるのかもしれませんね。

という感じで、サクラマス釣りは、私の釣りジャンルの中でも数少ない「釣れなくてもいい釣り」なのです。

 

 

サクラマス釣りをする方はなかなかいらっしゃらないでしょうが、春までに福井県へ足を延ばす機会があれば、極寒の中サクラマスを狙う熱き釣人たちの様子をのぞいてみてはいかがでしょうか。

もしかしたら、偶然、サクラマスを釣り上げたシーンに出くわしてしまうかもしれませんよ(ただし、大雪にはご注意ください)。

 

 

ちなみに、今年の私は、自宅でサクラマス釣りに使用する竿やルアーを並べてニヤニヤするだけの予定です。

それでは!!

 

 

大阪 兵隊 弱い

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毎回毎回,弁護士と無関係の話で恐縮ですが,ネット広告のお話から。ウェブサイトを見ているとネット広告が表示されることがあると思います。ネット広告は,どうやら私たちが見たサイトの閲覧履歴や検索履歴のほかにも位置情報(PCや携帯電話のGPSを切っていても,大まかな位置は特定されるようです。)も参考にしているようで,私の場合,事務所がある大阪市中央区内の商業施設の広告が表示されることがあります。そのような広告の中に,「MIRAIZA OSAKA-JO(ミライザ大阪城)」という商業施設の広告が出てきました。このミライザ大阪城は,大阪市が実施した「大阪城公園パークマネジメント事業」に基づき旧第4師団司令部庁舎を改修したものだそうです。

http://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000393918.html

 

 旧第4師団というのは旧陸軍の師団の1つですが,これまたネットの検索サービスで「第4師団」と検索するとサジェストで「第4師団 弱い」,「大阪 兵隊 弱い」という語句が出てきます。大阪の兵隊だけが他所の兵隊よりも弱いという話は,少なくとも資料(たとえば,大阪・信太山の陸上自衛隊・信太山駐屯地内の資料館内の資料等)を見る限り根拠がないように思われますが,世間では「またも負けたか8連隊」(「8連隊」は第4師団隷下の歩兵第8連隊。司馬遼太郎『手掘り日本史』(文春文庫)31頁)という類の「大阪 兵隊 弱い」噂が広まってしまっているようです。

 

ところで,私は1人だけ大阪の兵隊(高射第3師団,第4師団の管轄を一部引き継いだ部隊,に所属)だった方の話を聞いたことがあります。その方はいわゆる学徒出陣(在学徴集延期臨時特例(昭和18年勅令755号),国立公文書館のサイト)で徴兵された方で,徴兵された後は,米軍の爆撃から大阪を守るため生駒山で高射砲を撃つ部隊に配属されたそうです。もっとも,高射砲を撃つといっても,当人曰く「撃っても,砲弾が米軍機の高度まで届かないから,当たらない。砲の数も少なすぎる。下手に撃てば位置を特定されて,米軍の護衛戦闘機に撃たれる」そうで,米軍機が爆撃を行っている間は息を潜め,米軍機が去ってから高射砲を撃ち始めるという具合だったそうです。もちろん,そんなことが許されるはずもなく,抗命罪しかも敵前での抗命罪(陸軍刑法57条1号)に該当する行為ですが,「撃っても…当たらない。下手に撃てば…護衛戦闘機に撃たれる」にもかかわらず命令に従わなければならないか,については議論のあるところです(たとえば,ドイツの法律には,軍隊において,抗命権の行使に対する不利益処分を禁止する規定があるそうです。)。

 

それはともかく,上の話は伝聞で内容が真実かどうかわかりませんが,大阪の兵隊には上のような方が他にもいたので,「大阪 兵隊 弱い」という噂が広まったのかもしれません。

 

しかし,「弱い」ことが常に悪いことかどうかは考えてみる必要があると思います。とくに,軍隊や自衛隊はともかく,民間の会社では,弱いこと・抗命が常に悪いこととは限りません。

昨年は,過労死のニュースが世間を騒がせました。過労死するかもしれない程の量の労働を労働者が命じられた場合において,少なくとも民間の会社でそれに抗うことは,弱いことでもありませんし,悪いことでもありません。

たしかに,民間の会社でも,労働者は使用者に対して労働力を提供する義務を負いますが(民法623条,労働契約法6条),過労死するかもしれない程の量の労働をすることが労働契約の内容になっているとは考えられませんし,そのような労働を命じることは明らかに権利濫用です(労働契約法3条5項)。それに,仮に命令が適法であっても,その命令に抗っただけで直ちにクビになることは,ほぼありません(「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない」解雇は無効です(労働契約法16条)。)。

 

「大阪 兵隊 弱い」と言われながら,大阪の第4師団は終戦まで生き残りました。また,実際には,上でも書いたとおり,「大阪 兵隊 弱い」という話には根拠がありません。大阪の兵隊は弱いのではなく,強(したた)かだったのだと思います。

弱いという噂など大概根拠のないものだと思いますし,だいたい,弱いと言われないことよりも,生き残ることの方がはるかに重要です。

会社で労働の量が多すぎて,それでも「仕事だから仕方ない。」と思っている方,会社で「この程度の仕事もできないのか,弱い奴だ。」と言われている方など,時には強かな大阪の兵隊を思い出して頂ければと思います。

平昌五輪 フィギュアスケート男子シングル感想

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最近のトピックといえば平昌五輪ですが、先週、男子シングルの競技が行われ、羽生選手が金メダル、宇野選手が銀メダルに輝きました。フリーの演技時間には、人出がかなり少なくなっていたと聞きます。テレビ観戦でしたが、圧倒されましたので、今回はフィギュアスケートについて書くことにします。

 

フィギュアスケートは、自分の演技を披露するもので、対戦相手のある競技と違い、相手に関係なく自分のベストを尽くせばいいはずですが、今回の男子シングルを見ればそのように言えないことが分かります。

前に滑った選手の演技も影響しますし、観客の雰囲気も明らかにメンタルに影響します。今回、日本から応援団が参加して、アウェイではなくホームの戦いになった点は大きく、両選手の好演技をアシストすることになったと思います。

 

そして今大会で、まさにフィギュアスケートが格闘技だと思わせる場面を見ました。

ショートプログラムでの羽生選手の演技は圧巻で、まさに絶対王者の帰還でした。冒頭の4回転サルコーの成功から、全てを自分の支配下に置き、見る者全てを制圧する演技となり、111点台の高い得点を出しました。

 

おかげで羽生選手の直後の滑走だったネイサン・チェン選手は、王者に飲まれてしまったのか、金メダル有力候補といわれていたにもかかわらず、3つのジャンプを全て失敗し、羽生選手から約30点離れた82点台の演技となってしまいました。アナウンサーは、「どうした、ネイサン!」と絶叫し、まるで格闘技の実況のようでした。

 

続くコリヤダも王者に飲み込まれてしまったような感じで、こじんまりした演技になってしまいました。その後の宇野、フェルナンデス、金の3選手は、宇野選手が王者にひれ伏すことなく自分の演技をしてくれたおかげで、きちんとジャンプを決め、100点を超える演技となり、金メダル争いはこの4人に絞られました。

 

一夜明けてフリー。羽生選手は、直前の練習での4回転サルコーは、好調とはいえなかったのですが、いざ演技となると、冒頭の4回転サルコーを見事に決めると、前半のジャンプを綺麗に決めていきます。ただ心配は、体力が演技の最後まで持つかどうかでした。後半で再び4回転サルコーのコンビネーションを成功させた後、続く4本目の4回転ジャンプ、4回転トウループは着氷が乱れコンビネーションになりませんでした。

 

しかし続くトリプルアクセルを3連続にしたことで再び波に乗り、力強さを取り戻していよいよラストの3回転ルッツ。このジャンプはシニアに上がった頃は、しばしば体力が尽きて転倒していましたが、今回は着氷が乱れても絶対に立つんだというものすごい執念で、見事に立ってみせました。その後のステップは嵐のようで、最後のポーズを決めた瞬間、金メダルの可能性を確実なものとしました。

 

宇野選手は最終滑走で逆転のチャンスもあったため緊張したようですが、冒頭で転倒したことで、逆に落ちついた演技ができて銀メダル。素晴らしいことです。

 

メダルを取った選手以外で印象に残ったのはネイサン・チェン選手のフリー。

ショートプログラムでは羽生選手の王者の咆吼に倒されてしまった感がありましたが、フリーでは打って変わって伸び伸びとした演技で、次々と高難度の4回転ジャンプを決め、何とフリーでは羽生選手を上回る215点台で1位。見事な巻き返しに、ソチでの浅田真央選手みたい、という声も多かったのですが、フリーの曲がMao's Last Dancerということを知ると、なるほどと思います。

 

また個性的なダンスを披露したのが、アメリカのアダム・リッポンとカナダのキーガン・メッシングの両選手。リッポンはダンサーの体型でコンテンポラリーダンスの表現が見事で、特にフリーの、傷付いた鳥が飛び立つさまを表現する世界観は素晴らしい。一方のメッシングは、ショートプログラムが「雨に歌えば」、フリーがチャップリンという、古き良きミュージカルの世界を見事に表現していました。

 

このように、男子シングルは熱のこもった素晴らしい戦いでした。さあ今週は女子シングルです。また全部見てしまうことになると思います。


MOBIO-Cafe@大阪弁護士会館 報告

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平成30年2月16日午後6時30分から午後9時00分まで,大阪弁護士会館にて,MOBIO-Cafeが開催されました。

 

MOBIO-Cafeとは,ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)が運営する,セミナーやワークショップと懇親会がセットになった少人数参加型のイベントで,ものづくり企業と知財サポート専門家との新たな出会いの場を創出すること等を目的としています。通常は東大阪市荒本北1丁目4番17号のクリエイション・コア東大阪で行われていますが,年に1度,大阪弁護士会館で出張版のイベントとして行うことがここ数年の恒例となっています。

 

セミナーは,「デザイン保護のあれこれ」と題して,営業表示のうち,いわゆる「デザイン」の範疇に属するものに関係する法制度を概観するとともに,不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」にあたるか否かが問題となった事案(東京地裁平成11年9月20日決定〔iMac事件〕,東京地裁平成16年7月28日判決〔パネライ製品事件〕,東京地裁平成28年12月19日決定〔コメダ珈琲事件〕等)を紹介しながら,どこまでが「商品等表示」として法的な保護を受けられるのかを解説する内容でした。

 

セミナー後の懇親会は,これまた恒例となっている,壁面がガラス張りの開放感あふれるスペースとなっている14階で立食形式にて行われ,市内の夜景を眺めながら,不正競争防止法2条1項1号による保護を受けるための要件である「周知性」をいかにして獲得するか,店舗の外観が似ているとして争いになる事案等で最近話題に上ることが多い「トレードドレス」の保護をどこまで及ぼすべきか,等の興味深い話題で盛り上がりました。

クロージングトーク

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今年最初にブログを投稿して2ヶ月が経ちました。

3年前、初めてこのブログを担当したときに、「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」というタイトルで記事を書きましたが、年々そのスピードは速くなっているような気がします。

 

さて、私はいわゆる「街弁」で、離婚、遺産分割、交通事故といった日常生活に生じるトラブルの解決を法的に支援するのが主な仕事です。

日常生活で生じるトラブルは感情面への配慮が欠かせませんが、感情面への配慮をしつつ当事者間で(全面的にとまでは言わないとしても)納得のいく解決ができたときは、大変嬉しいです。

 

そして、依頼いただいた案件が終了すると、当然終了にあたってのご挨拶(クロージングトーク)をするわけですが、これがなんて言ったらいいのか悩みます。

 

弁護士になってからしばらくは「何かあったらいつでもきてください」と言っていました。

ただあるとき、なんとなくその方がトラブルに巻き込まれるニュアンスがあるような気がして、言葉足らずじゃないかと思うようになりました。

考えすぎと笑われるかもしれませんが。

それ以来、「この先、弁護士に依頼することがないことを祈ってます。」と付け加えるようにしています。
こう言うのがいいのか悪いのかはわかりませんが。

 

ここまで書いて何が言いたいかといえば、弁護士は言葉を使う職業なので、一言一句言葉に気を使っています。うまくいかないときももちろんあります。でも、間断なくどんな言葉を使うのがベストなのかを考え続けています。

それは言葉が人の幸せを守ることも与えることも生むこともできるし、人の幸せを奪いまた命も奪うことができるということを専門職として自覚しているからだと思います。

 

これからも言葉の持つ強さ、恐さを考えながら、仕事に取り組みたいと思います。

 

「言葉の中に、話し手の心の状態と人格と気質が見える」(プルタルコス)

 

専門性と総合性

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いつもメディアのことばかり書いてきたのですが、たまには本業のことを書いてみようと思います。

 

私は、企業法務(企業に関する法律関係業務。大企業から中小企業まで)、個人法務(交通事故、相続、離婚、債務整理等)、刑事事件と、それなりに幅広い業務を扱っております。いわゆる専門性というの領域もありますが(メディア関係、知財、労務、不動産)、全般的に色々な業務に携わることで、視野も広くなり、また、幅広い対応ができるのではないか、それがひいては、専門領域の腕の向上にもなるのではないかと思い、「専門性かつ総合性」ということを意識的に行っております。基本的には「たこつぼ化しない」ことを意識しております。

 

ただ、これは、「なんでも屋さん」になりがちな危険性を有していることも事実です。社会の多元化や専門化に伴い、弁護士というだけでは何の専門性にもならないことは事実であり、より専門性を磨いていくべきことは現在の弁護士に求められていることだと思います。そして、各弁護士が専門性を有することはもはや大前提と言ってもよいかと思います。

 

それでも、私は、あえて、「たこつぼ化しない」こともこんなご時世の中でも重要だと思っております。弁護士は「リサーチ屋さん」「契約書作成屋さん」ではなく、代理人となって全人格を投入して依頼者のために闘う存在であることに第一義的存在意義があると思うからです。そのため、幅広く知見・経験を高めることが重要ではないか、そう感じております。

 

とはいえ、専門特化していくことも重要であり、「専門性と総合性」の両立が可能かどうか、このことは色々と試行錯誤していこうと思っております。

 

何よりもクライアントのためになる(ひいては社会貢献にもつながる)弁護士になるためには、どのような弁護士であるべきか、試行錯誤していくしかないかと考えている今日この頃です。

「ほうりつのがっこう」今年も開催しました

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2018年3月28日(水)に小学生向け法教育イベント

「ほうりつのがっこう2018」を開催しました。

 

今年も多数の生徒さんに参加していただきました。

ありがとうございます。

 

さて、「ほうりつのがっこう」は午前の部、午後の部と分かれています。

午前の部では「裁判所見学」「弁護士事務所訪問」を行い

午後の部では「模擬裁判」を見て、被告人が有罪か、無罪かを話し合いました。

 

今年の新しい試みは午後の部の「模擬裁判」を行ったことです。

 

今までに中学生向けに模擬裁判を行ったことはありましたが、

小学生を対象にした模擬裁判は初めてでした。

 

そのため、「話し合いの時間は大丈夫だろうか。」「内容として分かりやすいだろうか」というような不安がありました。

 

ところが、実際に行ってみると、反応が思ったよりもよく、活発な意見交換が行われており、さらに、話し合いの結果の発表を聞くと、非常に良く考えられ、証拠も細かく見ていることが分かりました。

 

こちらが思っているよりもずっと生徒たちは積極的でした。

 

アンケート結果も良好で、うれしかったのは

「楽しかった」ことの理由として「みんなと話し合えたから」「考えることかができた」というものが多かったことです。

 

これこそ、法教育として伝えることの一つではないかと思っています。

「様々な角度からのいろんな意見があって、それを互いに尊重して、また考える。」

 

もちろん、いろいろと改善しなければいけないことはあると思っていますが、個人的にはよいイベントになったと思います。

 

来年も頑張って開催したいと思います。

国選弁護について思うこと

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先月、弁護士になって初めて無罪判決を獲得しました。

 

ここだけ見るとよかったじゃないか!となるのですが、弁護人としては非常に不本意で、公訴事実3件全ての無罪を争っていた中、無罪になったのは1件だけ、2件については有罪とされ、しかも、実刑判決となってしまいました。

 

保釈中の被告人に実刑判決が下された場合、保釈はその効力を失いますので(刑訴法343条)、被告人は判決を受けたのち、バーの外に出ることなく、法定脇の小さな扉から拘置所に連れて行かれることになります。

荷物を取りに戻るなどそんな悠長なことはできませんので、保釈中の被告人で実刑が予測される場合には、事前に荷物をまとめてくるよう言うようにします。

 

このようにして被告人が再び勾留をされるに至ってしまった場合でなおかつ控訴する場合、身体拘束から解放されるためには再び保釈をする必要があるのですが、1審判決が出てから控訴審の国選弁護人が選任されるまでには1か月ほど時間が空いてしまうのです…!

これ、かわいそうじゃないですか?

 

弁護人の選任は審級ごと(刑訴法32条2項)なので、1審の国選弁護人としては、控訴申立書を提出したら終わりで、その後の保釈申請をすることはありません。

法テラスに提出する国選弁護人の報告書も、判決の内容がどうなったかまでしか報告をする欄はありません。

制度の狭間なのでしょうが、一定の場合には1審の国選弁護人が引き続き必要な弁護活動をすることができて、その活動費用についても国選弁護報酬として考慮がされるような仕組みができればいいのになぁ、と思っています。

 

 

 

 

 

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