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Channel: 弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿
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公訴権濫用の珍しい判決について

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平成28年12月16日判決について

 

 普通乗用自動車を運転していたAさんが赤信号を無視したとして起訴された事案で,1審裁判所は9000円の罰金刑を言い渡しましたが,大阪高等裁判所では,公訴棄却の判決を言い渡しました。

 判決が認定した事実は概ね次のとおりです。

 

  Aさんは,赤信号無視を見ていた警察官からその指摘を受けたが,黄色信号だったとして違反の事実を認めず,対面信号が赤信号であったことを示す車載カメラの映像を見せて欲しいと求めたが,警察官からはそのようなものはないと拒否されたので,交通反則告知書の受領を拒んだ。その後,検察官の取調べにおいて車載カメラの映像を見ることができて事実関係を認め,交通反則通告制度の適用を希望したが,起訴されてしまった。

 交通反則告知書とは,“反則切符”とか“青切符”などと呼ばれる書類のことです。道路交通法130条は,反則金納付の通告をしないと起訴できないとしていますが,交通反則告知書の受領を拒むなどした場合は起訴できると定めています。

 判決は,車載カメラの映像があったのに,ないと言って映像を提示しなかった警察官の対応を「甚だ不誠実というほかない」としたうえで,「被告人が,交通反則告知書の受領を拒んだのは,警察官らの上記のような不誠実な対応がその一因をなしている」から,本件が交通反則告知書による告知ができなかったというのは「被告人に対して酷であり,信義に反する」として,道路交通法に定める告知ができなかったときに当たらないとし,検察官の起訴は,道路交通法130条に掲げられた手続を行わずにしたもので,無効であるとしました。

 形式的に事実を当てはめた判断ではなく,実態に即した事実を認定した上でなされた至極真っ当な判断というべきもので,まさに血の通った判決といえます。

 

判決は,Aさんが警察官にカメラ映像の見せるよう求めたことを「格別不当なことではない」としていて,被疑者・被告人を単なる捜査の対象=客体として見るのではなく,刑事手続の当事者=主体と見ていることが窺われ,その点でも高く評価されるべきと思います。結論ありきのつまみ食い的に事実を認定して有罪判決を言い渡す事件も散見される中では特異で際立って見えてしまうのも残念ですが,今後もこのような判決が増えてくれること強く望みます。


コアラの労働基準法?

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年末年始休暇シーズンに入り、海外旅行に出かける方も多いかと思います。今日は筆者がオーストラリアで出会った面白い法律を紹介します。

 

オーストラリアといえばコアラですよね。コアラを抱っこしての記念撮影は、多くの旅行者が憧れるイベントではないでしょうか。

 

ところが、オーストラリアには、コアラの労働基準法なるものが存在し、各州ごとに「抱っこ」(労働)の時間が決まっているのです。コアラは非常にデリケートで、ストレスを最小限に抑えるための配慮だそうです。

 

たとえば日本人観光客に人気のケアンズ(クイーンズランド州)では、コアラの労働時間は1日30分以内と定められています。

動物園で、午前15分、午後15分の2回「出勤」するパターンが多いみたいですね。料金はひとり15AU$~程度。

3分で1組さばくとすれば、1日10組150AU$~、日本円で時給3万円弱ぐらいでしょうか。

あとは1日20時間程度眠っているのですから、何とも羨ましい職業です(笑)

 

と、お金の話もあるのですが、それよりも、動物に労働時間の概念がある、というのがすごいなー、というか、尊敬します。

 

日本では動物は民法上「物」になっていますが(85条)、あまりにも動物を軽蔑していますし、世界的に見ると時代遅れではないでしょうか。ペットショップや動物園の動物たちも相当なストレスを抱えて生きているはずです。

 

以前日本でも「アマミノクロウサギ」を原告にした裁判がありましたが、結局裁判所は、民事訴訟法上、ウサギを原告とは認めませんでした。民法が変わらない限りこのような判断はやむを得ないとは思いますが、これだけペットの飼育量も増えてくると、法的にも根本的な発想の転換が必要でしょう。これがひいては日本で深刻なペットの不法遺棄や殺処分問題にも影響してくるように思います。

 

 

 

 

 

信託について

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今年最終回は、最近話題の「信託」を取り上げます。

 

信託とは、ごく簡単にいえば、財産の管理処分を信頼できる第三者(受託者)に託す仕組みのことです。

財産管理といえば、例えば、不動産業者に賃貸マンションの管理を任せるような場合を思い浮かべられるかと思いますが、こうしたいわゆる財産管理委託契約では、対象財産の所有権を委託者本人に残したままであるのに対し、信託では、それを受託者に移転してしまうところに大きな特色があります。

 

信託は信託契約や遺言等によって設定することができます。

信託契約による設定がほとんどですが、具体的には、「委託者」は、その財産を一定の目的に従って管理処分することを「受託者」に委ねて信託譲渡し、譲り受けた「受託者」はその財産(信託財産)の管理処分から生じる収益を「受益者」(委託者自身である場合を「自益信託」、委託者以外である場合を「他益信託」といいます)に交付します。

 

このように財産の所有権が受託者に移転するといっても、それは信託の目的を達成するために認められる形式上のことであり、信託財産は受託者のもとで受託者が保有する他の財産(固有財産)と分別管理され、例えば、委託者の債権者はもちろん、受託者の債権者も信託財産に対する強制執行等が制限されます。

また、万一、受託者が破産などした場合でも信託財産は破産財団には帰属しません(信託財産の独立性・倒産隔離機能)。

 

このような特徴から信託は財産の保全性が高く、高齢者や障がい者など財産管理能力が十分でない方の財産を保護するための財産管理の一つの方法として大変有用であると思われます。

最近よく耳にする「家族信託」は、まだ意思能力がはっきりしている間に、家族を受託者として設定する信託のことです。

 

最後になりましたが、今年1年ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年もよろしくお願いします

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2017年最初の記事です。

そろそろ年始という雰囲気でもなくなってきましたが、遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。

 

今年は、年末年始のお休みが短かった方も多いのではないでしょうか。そういう私も例外ではなく、例年より少しばたばたした年末年始になりました。

年末には大掃除をしようと意気込んでいたはずだったのですが、結局着手すらできないまま、仕事始めを迎えてしまいました。(もう少し暖かくなってから、頑張ります…)

 

さて、個人的な抱負として、今年は、真面目に趣味を楽しむ1年にしたいと思っています。

 

私は、中学生の頃から「茶道」を習っていまして、昔はお稽古の楽しみと言えばおいしい和菓子でしたが、大人になって、楽しみ方も変わってきました。

お稽古場に行くと、い草やお香の香り、畳の上を摺り足で歩く音、釜の湯が沸く音など、五感が一斉に満たされるような非日常感を味わうことができます。

ちなみに、釜の湯が沸く音には名前がついていて、釜がしゅんしゅんと鳴っている状態のことを「松風」と言ったりするのですが、昔の茶人はとってもお洒落な感覚を持っていたのだなぁと思います。

また、茶道の世界はとても奥深く、お稽古では、点前の順番を覚えることだけでなく、たくさんの歴史や道具の知識なども必要で、普段仕事ではあまり使わないような頭の使い方をしている感じがして、心地良い疲れを感じます。

 

茶道の世界では、秋から冬にかけて大きな行事が続くこともあり、この季節は、(個人的に)茶道熱が盛り上がります。

趣味を楽しむことは気分転換になりますし、仕事にも良い影響を与えてくれると思いますので、今年こそはもっとお稽古に行って、茶道を楽しみたいなと思います。

 

最後になりましたが、今日は「えべっさん」ですね。

うちの事務所では、毎年有志でお参りに行って福笹をいただいています。

私自身はまだ体験したことがないのですが、おまけをつけてもらったりするのも楽しいと聞きますので、今年はなんとか「残り福」に行ってみようと思います。

 

皆様の益々の商売繁盛をお祈りしつつ、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

書籍が出版されます(予定)

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私が所属する子どもの権利委員会の中の

いじめ問題研究会が執筆者となって

書籍が出版される予定です。

 

タイトルは

「事例と対話で学ぶ『いじめ』の法的対応」

   (株式会社エイデル研究所 刊)

といいます。

 

私は、執筆とともに、事務局としても

関わらせて頂きました。

 

内容は、

平成25年に成立した「いじめ防止対策推進法」の基礎知識の説明から始まり、

保護者側から相談を受けた弁護士、学校側から相談を受けた弁護士、そして、子どもの権利の立場から総括する教授という3名による対話形式による具体的事例の対応に関する解説、

さらに

「いじめ防止対策推進法」の3年後の見直しに対する提言

というものになっています。

 

逐条的な解説ではありませんが、

経験豊富なベテラン委員から新進気鋭の若手委員までが一丸となって議論し、

いじめ対応で困っておられる保護者、学校現場、

そして、なによりも

「いじめ」の被害に遭ってつらい思いをしている子どもにとって、少しでもお役に立てるよう、執筆したつもりです。

 

現在は宣伝が先行しており、書籍は詰めの作業中ですが、早ければ1月末から2月ころにも発行される予定と聞いています(現時点で、予定としか言えないのがつらいところですが・・・)。

 

「いじめ」の相談を受ける弁護士の方にも、参考になる内容と思います。

 

書店等でお見かけの際は、お手に取って頂ければ幸いです。

電子レンジの音

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今日は、ゆるい言葉・俗語の話です。

 

電子レンジで調理したり、料理を温めることの表現で、

レンジでチンするという言い方がありますね。

 

いまでは電子レンジの音は「ピー」と鳴るものが多くなっていて、

「チーン」となるのは少数派のようです。

私の家のレンジは15年以上前からピーピーと鳴きます。

 

「レンジでチン」という言葉は、

個人的には、音も軽快で、どことなく料理の仕上がった感が出ている、

わかりやすい言葉だと感じますが、

実際にそういう音のする機種が少なくなって

一部で、死語だとか、子供に通じないという議論もあるようです。

他方で、最近でもこの言葉を商品名に使用しているものもありますし、

某レシピサイトでも検索ワードとしてヒットしますし、

まだ通用力があるように思います。

言葉は生き物と言われることがありますが、

いまのところは生きているのではないでしょうか。

 

今後どうなっていくかはわかりませんが、

「レンジでピー」にはならないのではないかと思います(笑)。

共依存について

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弁護士は,依存症の方と関わる機会が多くあります。

依存症については最近,メディアでもよく取り上げられるようになりましたが,今日は共依存についてお話したいと思います。

 

共依存は,大雑把には,「特定の人間関係に深く依存してしまい,生活に支障を来すようになっている状態」と言えます。

 

薬物依存症やアルコール依存症の当事者の周りには,当事者と共依存的な関係に陥ってしまい,「お世話係」のようになってしまっている方がいます。

これは,当事者が依存から抜け出す機会を奪ってしまう事にも繋がります。

共依存の人は,献身的で世話好きであり,その性質は多くの場面で良い方向に働きます。しかし,過ぎたるは及ばざるが如しで,かえって依存症当事者の依存症を支えてしまうこともあるということです。

 

家族に依存症の当事者の方がおられ,困難を抱えておられる方は,専門機関に相談されることをお勧めします。

 

私が仕事で以前から何度かお世話になっている,一般財団法人 Oneness Group(http://oneness-g.com/)は,家族介入といって,依存症当事者の家族のカウンセリング等の活動を行われており,特異です。

 

弁護士だけでは十分な手当てができない事件は数多くあります。

そういった事件では,他の分野の専門家の方と協力して仕事に取り組むことが必要になります。

 

Oneness Groupの時もそうでしたが,他の分野の専門家との協働は,普段の仕事では得られない知識や視点を得られるため,私にとっては楽しい仕事です。

 

今後他分野の専門家との協働・連携の機会を増やしていきたいと考えています。

西日本最大 ワン・ワールド・フェスティバルにお越しください

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私が、実行委員会委員長をさせて頂いております関係と、大阪弁護士会も今年から参加していることもあって、恐縮ですが、この場をお借りしてご案内をさせてください。

rogozheng_fang_xing__0.png

 

西日本最大!!の、世界につながる国際協力のお祭り、ワン・ワールド・フェスティバルが、今年も、2月4日(土)~5日(日)に、関テレ扇町スクエア、大阪市立北区民センター、扇町公園にて開催します。今年で24回目になるこの祭りには、多くのNGOや国際関係機関のブースが立ち並び、各国の音楽やワークショップも行われ、楽しみながら国際協力を学べるイベントです。

 

今年は大阪弁護士会も、カンテレ扇町スクエア1階にて、ブース出展をします。

 

この2日間には、ボビー・オロゴンさん、LiLiCoさん、ハマカーンさん、関純子さん(関西テレビアナウンサー)、山中章子さん(フジテレビアナウンサー)なども参加し、イベントを開催します。また、今回からは、天神橋筋商店街とのコラボや、扇町公園でのスポーツイベントなどの新たな展開もしています。

http://www.interpeople.or.jp/owf/

 

●開催期間:2017年2月4日(土)~5日(日)

●時間帯:両日とも10:00~17:00

●場所: 関テレ扇町スクエア、大阪市立北区民センター、扇町公園(JR天満駅、地下鉄扇町駅すぐ)

●主催:ワン・ワールド・フェスティバル実行委員会

 

●主なイベント

まず、「カンテレ扇町スクェア」内と、隣接する「北区民センター」内において、大阪弁護士会をはじめ、多数のNGO/NPO・国際機関・政府機関・教育機関・企業などの150近くの出展団体が、ブースを出して、国際協力活動や社会的課題解決の取り組みを幅広く紹介する活動紹介をしています。それ自体、圧巻です。

 

一部の例を言えば、国連UNHCR協会、国連WFP協会、JICA関西、なんとかしなきゃ!プロジェクト、日本国際飢餓対策機構、アジア協会アジア友の会、アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)、AMDA、アムネスティ・インターナショナル、一村一品マーケット、ウータン・森と生活を考える会、北朝鮮難民救援基金、JHP・学校をつくる会、シャプラニール=市民による海外協力の会セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MAC、プラン・インターナショナル・ジャパン、ボルネオ保全トラスト・ジャパン、南太平洋協会などなど、全てをご紹介したいのですが、約150もの団体が集結しています。

 

さらに、両日とも、カンテレ扇町スクエア1Fのステージで、各種の民族舞踊やダンス、音楽などが行われていて、これを見ているだけでも十分に楽しくなります。

 

4日(土)には、

「なんでもアリーナステージ(カンテレ扇町スクエア1F)」で、ボビー・オロゴンさんを呼んで「ボビーと学ぶアフリカin大阪」や、ソーシャル映像祭@カンテレ(「映像の力でいい社会を!」をテーマに、高校、大学、NPOなど様々な団体が制作した渾身の映像祭。司会 関純子アナウンサー)などもしています。

 

そのほかにも、カンテレ扇町スクエア3Fの「メビック扇町交流スペース」でも、上映会やトーク、「SDGsとフェアトレード」「報道における表現の自由」などを考えるシンポや、「インドネシアNGOが語る熱帯林の現状」、「教育格差について考える~日本とフランス、両国の現状と課題~」、CB/SB講座「地域課題解決の経営スタイル」&事例紹介などのイベントが目白押しです。

 

5日(日)にも、

「なんでもアリーナステージ(カンテレ扇町スクエア1F)」で、LiLiCoさんとハマカーンさんによる「外務省に聞いちゃうよ!国際協力って何のため!?」や、「FNSチャリティキャンペーン現地取材報告会~山中章子(フジテレビアナウンサー)が見たトーゴ共和国」などを開催します。

また、カンテレ扇町スクエア3Fの「メビック扇町交流スペース」でも、前日に続いて、「休感!ボルネオの熱帯雨林で起きていること」、「13歳で結婚?世界の女の子の現状と可能性~支援の現場から~」などのセミナーや、「JlCA教師海外研修(ネパール)報告会」なども行っています。

 

北区民センターIFの会議室では、終日、ワンフェスドキュメンタリーとして、「クリオンディグニティ」「Brakeless」、「スマイル」、「ミニバンライダー」を上映しています。

 

さらに扇町公園でも、「Child is One Wortd!」として、 KID'S BIKE ONEfes CUP(対象2歳~10歳)、フットサル・ワンフェスカツプ(対象5歳~大人)、タグラグビー・ワンフェスカップ(対象5歳~大人)、大縄跳び挑戦などを行い、5日(日)には、14時~16時に、何とプロレス観戦(全5試合のエンターテインメント無料観戦)を行います。

 

ぜひ、4、5の両日、少しでも顔を覗かせてください。待っています。

 

 

第24回ワン・ワールド・フェスティバル実行委員会

★(公社)アジア協会アジア友の会 ★(公財)オイスカ関西支部 ★(認活)大阪NPOセンター ★(公財)大阪YMCA  ★(公財)大阪市都市型産業振興センタークリエイティブネットワークセンター大阪メビック扇町 ★NPO法人Colorbath ★キッズプラザ大阪 ★ghostqueen ★(独)国際協力機構 関西国際センター ★KJC(コリアジャパンセンター) ★事業推進センターkansai ★(特活)地域環境デザイン研究所ecotone ★なんとかしなきゃ!プロジェクト ★(一財)日本国際飢餓対策機構 ★FLAPZERO  ★(一社)南太平洋協会 ★みんなでつくる学校とれぶりんか ★(特活)みんなの未来かいたく団 ★(特活)関西NGO協議会 (オブザーバー) ★(特活)関西国際交流団体協議会 (事務局)

 

●共催 (一財)大阪市コミュニティ協会北区支部協議会

●協力 外務省、 関西テレビ放送(株)


ロールームリレー講座

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もうすぐ立春のはずなのですが、寒い日が続きますね。

 

さて、本日は、私の所属する法曹養成・法科大学院協力センターが実施する大阪弁護士会の特別企画「ロールーム・リレー講座」のご案内をさせていただきたいと思います。

 

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【日 時】 平成29年3月4日(土)13:00~

  ※17:30~懇親会あり

【場 所】 大阪弁護士会館 会議室

  ※当日、会館1Fの掲示でご確認ください

【対 象】 ロースクールの学生(学年は問いません)

 

【内 容】

*第1部 「刑訴法改正、取り調べの可視化を中心に(仮題)」 小坂井 久 弁護士

*第2部 「法整備支援(モンゴル体験談)(仮題)」 岡 英男 弁護士

*第3部 「企業価値の向上に関わる会社法の問題」 渡辺 徹 弁護士

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ロールームリレー講座は、第一線で活躍する弁護士に、最前線の実務について、ご自身の成功談や失敗談も含めたお話しをしていただくという企画です。

過去の様子などは、こちらの記事↓もご覧ください。

http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/152/entry/2262

 

我々弁護士から見ても、本当に豪華なメンバーが揃っているなぁといつも思います。

第1部の取り調べの可視化の話は社会的な関心も高い分野ですし、第2部の法整備支援についても関与したことのある弁護士が少ないと思いますので、相当貴重な機会ではないかと思います。

第3部は、ロースクール生の皆さんには少しイメージが湧きにくいかもしれませんが、ビジネスの世界では「企業価値の向上」は重要な関心事ですし、企業法務に興味のある方は必聴のお話しになるのではないかと思います。

 

ロースクール生の皆さんにはぜひこの機会を積極的に活用していただき、勉強のモチベーションアップにも繋げていただけたらと思います。

 

ご参加をご希望の方は、こちら↓のウェブサイトから、大阪弁護士会の担当者までお申し込みください。

http://www.osakaben.or.jp/event/2017/2017_0304.php

 

多数の皆様のご参加をお待ちしております!!

散歩の勧め

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最近、めっきりと寒くなりましたが、皆さんは運動をされていますか?

 

私は、「何か運動をしていますか?」と聞かれる度に、「さんぽ」と答えています。

 

散歩は大した運動にならないように思われがちですが、早足で1時間も歩くと汗ばむほど体が熱くなりますので、それなりの運動になっていると思います。

 

私は自宅から1~2時間ほどで往復することができる目的地を決めて歩くことが多いです。

同じルートで歩くことも多いですが、周りを見ながら歩いていると、庭木から季節を感じることができたり、新しいお店や建物ができたりという街の変化を楽しむことができますので、飽きることがありません。

 

歩き始めは仕事のことなどをいろいろと考えてしまうのですが、1時間もすると気が付けば頭の中を空っぽにして歩いているという状態になりますので、日頃のストレス解消にもってこいです。

 

良いことづくめですが、普段着の中年男性が一人で自宅から遠く離れた住宅街を歩いていることになるので、不審者と間違われると弁解(?)が大変でしょうね。また、万一、行き倒れになった場合、「何故こんなところで倒れているのか。」と不要な疑問を持たれそうです。

それだけが心配です。

哲学から法曹実務へ

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絶対的真理や絶対的正義は存在するのか?

我々が考える真実は絶対なのか?

私たちが話す言説はどのような根拠を有しているのか?

こういった哲学的な問いは、法律家にとっても大切ではないかと思います。

 

私たち弁護士は、「基本的人権の擁護」「社会正義の実現」を理念としております。

それゆえ、ついつい、「基本的人権」や「社会正義」が前提として存在し、絶対的なものとしてあるようについつい感じることがあります。

 

しかしながら、「基本的人権」や「社会正義」は時代や社会状況、権力関係によって、その態様は変容しながら形成されていることを肌で感じております。

 

フランスの哲学者ミッシェル・フーコーは、「絶対的な真理」は存在するものではなく、それは言説の中で形成されてくるものだと説いております。そして、真理と称される用語や理念は、社会に遍在する権力の構造のなかで形成されてきたものであるからこそ、それがどのようにして発生し、展開してきたか調べ、その形成過程から本来あるべき人間像・社会像を探ることが重要であると説いております。

 

もちろん、ミッシェル・フーコーの思想が妥当かどうかについて、私には分かりませんが、ただ、このミッシェル・フーコーの思想に、弁護士業務のヒントがあるように感じております。

 

私たちは、紛争当事者の代理人であるがゆえに、依頼者、相手方、第三者と多様な当事者の様々な言説に接しております。そして、実際には「真実」があるかもしれませんが、その「真実」を見出すことは困難です。それゆえにこそ、「真実」を見出すことと並行して、そのような「真実」に辿り着けるような言説の体系・論理・関連性・権力関係を紐解き、そして、自らの依頼者に有利なものを見出すことに勝機を探るということを経験的に行っております。

 

また、「基本的人権」や「社会正義」は所与のものとして存在するものではないと考えるからこそ、あるべき「基本的人権」や「社会正義」を探り、形成することに力をいれるということが出来るようになります。

 

現在、社会はややもすると保護主義・他者受容の拒絶という風潮があります。そこで、「正義は通じない」と嘆くよりも、そのような風潮を跳ね返し、そのような風潮と異なる言説や社会像を形成していくことに注力することが大事ではないかと思うのです。

 

普段の弁護士業務、理念達成のための業務、いずれにおいても、絶対的なものを想定するのではなく、常にあるべきものを形成していく努力をすることが大事なこと、このことを私は哲学書を読む中で感じていたりします。

2/25 大阪府下一斉 無料法律相談会を開催します

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2/25  大阪府下一斉 無料法律相談会を開催します。

 

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大阪弁護士会 無料法律相談会 3つのメリット

 

ポイント① あらゆる法律問題に対応できます!
交通事故/労働問題/借金/消費者被害/後見/遺言・相続/住宅建築/知的財産/いじめ問題など内容に関わらずお気軽にご相談ください!

 

ポイント② 30分間相談料無料!※お一人様1回のみ、30分間相談無料、延長不可
「悩みごと」「困りごと」があるけれど、弁護士に相談するまでではないような・・・。
是非、無料相談会をご利用ください!
はじめの対処の方向性を間違うと問題が大きくなりかねません。早めのご相談を!

 

ポイント③ お近くの場所で相談できます!
大阪府下の各自治体のご協力を得て、大阪府下の各地で実施します。
各相談所の場所・相談予約先等の詳細については、下記ホームページでご確認ください。

 

<大阪弁護士会ホームページ>

http://www.osakaben.or.jp/event/2017/2017_0225.php

 

大阪弁護士会 総合法律相談センター

ネット予約:予約フォームはこちら
電話予約:06-6364-1248

【 予約受付時間 】
月~金:午前9時~午後8時/土:午前10時~午後3時半まで

 

 

市役所法律相談を担当してみて

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昨日、河内長野市役所にて法律相談を担当しました。

 

河内長野市役所では弁護士2人態勢で担当しています。

午後1時から4時半

1人30分ずつの相談ですので

弁護士1人あたり7人、弁護士2人で合計14人のご相談を受けます。

 

河内長野市役所では、随時予約を受け付けているそうですが、

現在3週間待ちとか。

当然ですが、昨日も14人ぎっしりでした。

 

弁護士に相談したいと思っている方がこれだけいるのかと思い知りました。

 

「3週間待ったかいがありました」と言ってもらえるような回答ができるよう精進します。

 

 

弁護士会の法律相談も是非ご利用ください。

乾杯条例

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都道府県や市町村といった地方公共団体が自治立法権に基づいて制定する法の形式を「条例」と言います。

 

この「条例」でみなさんが一番よく知っているのは、痴漢を取り締まる「迷惑防止条例」だったり、未成年者が深夜外出することを規制する(それだけではないですが)「青少年保護育成条例」だと思います(条例の名前は自治体によって異なります)。

 

この条例には、刑罰を伴うものから、「え、そんなことまで条例にしちゃうの?」というものまで、多岐にわたります。

 

その中でも今日ご紹介するのは「乾杯条例」です。

 

去年の12月に、私の故郷の長野県飯田市で「飯田産の地酒及び果実飲料で乾杯する条例」が、また同じタイミングで長野県で「信州の地酒普及促進・乾杯条例」が制定されたという報道に接しました。

 

内容としては、地方自治体や事業者には地酒の普及促進に対する努力義務(「努めなければならない」と書いてあります)があり、県民・市民は「努めるものとする」として、義務ではないけど努力してほしい、そういう規定になっています。

 

この乾杯条例は、私の記憶が確かならば、平成24年に京都市が制定した「京都市清酒の普及の促進に関する条例」が一番最初だったと思います。

そして、この条例ができた影響か、条例制定翌年の京都市の清酒出荷量が増加に転じたという報道がありました。

 

地元のお酒で盛り上がって、地元の経済が活性化すれば、それはそれで素晴らしいことだと思います。

 

すでに大阪国税局管内のいくつもの地方自治体で乾杯条例が制定されていますが、読者のみなさんの街では制定されていますか。

https://www.nta.go.jp/osaka/shiraberu/sake/kanpai/index.htm

 

ただ、地酒で盛り上がるのはいいことですが、あくまでお酒は楽しむ程度に。お酒の失敗はいけませんね。

お酒は20歳になってから。

反対尋問

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前回証人尋問について感想を述べました。

遥かに昔です。

今回は、その続きで反対尋問について、述べます。

 

映画やドラマでは、一番ドラマチックですよね。

 

被告人の矛盾をつきつけ、狼狽する姿。

新たな証拠をつきつけ、証人が「嘘をついていました」

 

かっこいいですよね。

 

でも、そんな展開ほとんどありません。

私には、技術が拙いのか、ありません。

 

反対尋問は何を目指すのか、

理想としては、反対尋問は誘導尋問だとされます。

つまり、相手の答えをコントロールでき、それにより、相手の主張が

弾劾できれば、それが最も効果的です。

 

逆に相手の主張を重ねて言わせるような、「塗り壁」な尋問は、

ダメだと言われます。そんなくらいなら、尋問しない方がましなのですから。

 

でも、難しいのですよね。

本当に反対尋問は難しい。

そこで、私は、かっこよく矛盾を導くという尋問スタイルを辞めてみました。

自分ができないだけなので。

むしろ、自分の立証目標の範囲の中で

(あ、これ重要です。これ準備がひたすら必要です)

相手と会話することを心がけています。

すると、思わず親身な会話の中から、本音やこちらの言い分に沿うかのような発言がでてきます。

 

これ結構でてきます。

 

ここからが大事です。

そのとき、私、思わずという感じで、

裁判官と目を会わせます。

この目があったとき、無言で会話が裁判官と成立します。

この互いの会話が成立したとき、これが醍醐味です。

 

全然ドラマチックじゃありません。

でも面白いです。

是非尋問をご覧になってみてください。


映画「この世界の片隅に」と「録事」というお仕事

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先日、「この世界の片隅に」という映画を観ました。

 

 この映画は、戦時中の呉を舞台とした、同名のマンガを原作とするアニメーション映画であり、昨年の公開当初は上映館も少なかったのですが、口コミで人気が広がり、ロングランヒットとなっています。

この映画は、クラウドファンディングという、わかりやすく言うとインターネット上で賛同者から寄付を集めて製作資金とする新しい手法により、製作されており、その点でも、極めて異例なヒットでした。

 

 まだ上映中なこともあり、詳しい内容に触れるのは控えようと思いますが、太平洋戦争という難しい話題を扱う映画でありながら、明るい性格の主人公(浦野すず)の日常の描写を中心に、笑い話を交えながらストーリーが進み大変おもしろい作品でした。

 他方で、一見明るく日常生活が行われているなかで、徐々に戦争の惨禍が迫ってくる描写があちこちに挟まれており、やがてそのことに気づかされてハッという気持ちになるという、中々怖い作品でもありました。

 

 おもしろくもためになる作品なので、ブログ読者の皆様もぜひ一度ご覧になってください。

 

 さて、弁護士として少し気になったのは「録事」という仕事です。

この映画の主人公の結婚相手(北條周作)は海軍の「録事」を勤めていることが、作中で何回か台詞で出てきます。最初は「ロクジ」と聞いても良く分からなかったので、視聴後に少し調べました。

 

 この「録事」という仕事は、軍法会議(軍事を扱う特別裁判所)における訴訟書類の調整を任務とする仕事で、現代の裁判所における書記官に相当する仕事のようです。

書記官は、裁判の記録を作成・管理することを職務としている裁判所の職員の方であり、ニュースとかで法定が映るときに、黒服を着て裁判官の前の段に座っている方がそれにあたります。(日頃、色々お世話になっております。)

 

 戦争映画に出てくる職業としてはかなりシブイところをついてきたなと思います。(インタビューによると原作者のこうの史代さんの親族が実際に呉の軍法会議所にお勤めだったそうです。)

 

 作中では軍法会議の様子は全くできませんでしたが、細かい点まで考証にこだわった映画であったこともあり、軍法会議の様子が描写されたらきっと興味深かったと思います。

 スピンオフで録事の仕事をしている映画を作ってくたら是非見てみたいなと私は思っていますが、マニアック過ぎてクラウドファンディングでも資金は集まらないですかね(笑)

 

(参考までに以下に海軍軍法会議法と新旧裁判所法の条文を抜粋して掲載しておきます)

 

海軍軍法会議法(大正十年四月二十五日法律第九十一号)

第四節 書類

第百六条 訴訟ニ関スル書類ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外録事之ヲ調整スヘシ

第百七条 裁判官、予審官ハ又検察官ハ録事ノ作リタル書類ニ付意見アルトキハ録事ニ命ジ之ヲ変更セシムルコトヲ得

    前項ノ場合ニ於テ録事ハ自己ノ意見ヲ書類ニ付記スルコトヲ得

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2954733/34

 

裁判所構成法(明治二十三年法律第六号)

第九十一条 書記ハ其ノ上官ノ命令ニ従フ

2 裁判所ノ開廷ニ於テハ裁判長ノ命令ニ従ヒ又判事一人ナルトキハ其ノ判事ノ命令ニ従フ

3 書記ハ検事局ニ勤務スルトキ又ハ特別ノ事務ニ付判事若ハ検事ニ附属シタルトキモ亦其ノ検事局又ハ判事若ハ検事ノ命令ニ従フ

4 前二項ノ命令ニシテ口述ノ書取ニ関ルカ又ハ書類記録ノ調製若ハ変更ニ関ル場合ニ於テ其ノ調製若ハ変更ヲ正当ナラスト認ムルトキ書記ハ自己ノ意見ヲ記シテ之ニ添フルコトヲ得

5 前四項ニ掲ケタルモノヲ除ク外書記ノ職務及其ノ事務取扱方法ハ書記ニ関ル規則中ニ司法大臣之ヲ定ム

http://www.geocities.jp/nakanolib/hou/hm23-6.htm

 

裁判所法(昭和二十二年四月十六日法律第五十九号)

第六十条 (裁判所書記官)  各裁判所に裁判所書記官を置く。

○2  裁判所書記官は、裁判所の事件に関する記録その他の書類の作成及び保管その他他の法律において定める事務を掌る。

○3  裁判所書記官は、前項の事務を掌る外、裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて、裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助する。

○4  裁判所書記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。

○5  裁判所書記官は、口述の書取その他書類の作成又は変更に関して裁判官の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。

(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO059.html)

 

 

厚生委員会です。

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 厚生委員会副委員長の李暎浩と申します。

 

 当委員会は、​昨年度、会員サポート窓口運営委員会との統合を検討するための特別委員会を継続的に開催して参りましたが、機動的・効率的で切れ目のない会員支援ができるだろうという賛成意見に対して、福利厚生事業と諸事情で困っている個別会員へのサポートとは性質が異なるという積極的反対意見は少数であるという状況となり、各委員会において、統合に向けての大阪弁護士会会則の一部改正案を承認致しました。

 

 当委員会は原始委員会であることから、他の委員会との統合には大阪弁護士会会則の改正が必要になるためです。​統合された場合には、委員会名称は、「厚生・会員サポート委員会」となる見込みです。

 

 前年度大阪弁護士会会長を実行委員長とする大運動会や、弁護士会館内外での健康診断事業等の例年開催されている大きな事業については、福利厚生事業としての重要性があるものとして来年度も継続して行っていく方針で決定致しておりますが、各委員会統合後は、種々の議論を踏まえて当弁護士会としての福利厚生事業についての内容が変化していく可能性もあるかと存じます。

 

 同会則の一部改正案は本年3月14日(火曜日)午後1時から開催される当弁護士会臨時総会において議案として諮られ、決議が行われる予定です。

​賛否両論あろうかと存じますが、議案についてお目通しの上、当事者意識を持って、票を投じて頂ければ幸いです。

 

​  投票についての代理人選任届は、各会員に配付させて頂いた「臨時総会議案書」に綴られておりますが、本年3月11日(土曜日)午後5時までに本会に提出して頂く必要がございますので、ご留意下さい。

​以上、ご確認のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

プレミアム・フライデーと長時間労働とメール

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先週金曜日は初めてのプレミアム・フライデーでした。

プレミアム・フライデーの目指すところは,「個人が幸せや楽しさを感じられる体験や,そのための時間の創出を促すこと」(経済産業省)だそうですが,どうも私には無縁のイベントでした。

無縁だった原因は言うまでもなく仕事があったからで,仕事が多く長時間労働が避けられない自分にはプレミアム・フライデーなど当分無縁だろうと思います。

ただ,私も今のままで良いとは思っておらず,労働時間は減らさないといけないとは思っています。

 

ところで,長時間労働の原因の一つはメールにあるのではないかと思っています。
メールは,便利であるが同時に非常に厄介です。
必要な情報を素早く得たり送ったりすることが出来ますが,同時に,素早く返信しなければならないし,何より送信内容に気を遣います。
メールでは表情,動作,声色などの非言語的な情報を伝えられないため,相手に誤解を生じさせないよう,送信内容に気を遣わなければいけません。
そのため送信内容を考えるのに時間を取られ,結果的に長時間労働の一因になっているように思います。
そこで,メールの送受信にかかる時間をもう少し短くして,労働時間を短くできないだろうか?と思い,まずは自分自身のメールの送受信の状況について調べみることにしました。
送受信の状況がわかれば対策の立てようもあるのではないだろうか,と思うのです。
具体的な調査の方法は,直近500件の送信メール・受信メール(メールマガジンの類や削除したものを除く。)の送受信時間・宛先・題名のデータを取りだし(ただし,年末年始は件数が非常に少ないため除く。),それをExcelに書き出し,そのExcelのデータからグラフを書いたり,Excelの分析ツールを使って分析をしてみたりするという方法です。

その結果は以下のとおりです。
(係数が-になっている部分があるので,数が少ないかどこか間違えたかも…)

受信データ

送信データ

回帰分析の結果(受信)

回帰分析の結果(送信)

受信・送信対照

時間ごとの統計

 

これらの結果からはわかることがあります。
まず受信。
件数は曜日によって変わります。
曜日の影響度が極めて大きく,今回,比較するために要因として取り上げてみた天気や気温と比べても非常に大きい。
件数が多いのは月曜日,火曜日と金曜日です。
また時間によっても件数が変わります。
午前9時台と午後5時台が一番多く,件数を折れ線グラフにするとM字型になります。

他方,送信。
曜日の影響度が受信ほど大きくありません。
天気の影響度と変わらないくらいです。
受信と同様,時間によっても件数が変わり午前9時台は多いものの,それ以降は受信と違って減っていく一方です。

受信メールと送信メールの件数を比べると,自分以外の他人のメールの送り方(受信メール)と自分のメールの送り方(送信メール)の違いが判るかもしれません。
違いは以下のとおりです。
・他人は月曜,火曜と金曜に多いが,自分はそうでもない。
・他人は天気の影響をほとんど受けないが,自分は受けているかもしれない。
・他人は午前9時台と午後5時台に多いが,自分は午前9時台は多いものの,それ以降は件数は減る一方である。

 

この違いを説明する仮説はいろいろ考えられます。
仮説の一つ目は,自分は,他人がもう一頑張りしている夕方5時頃にダラけている上に,天気がよくなると外に出てしまって事務所で仕事をしなくなるため天気の影響がメールの件数に表れているという仮説です。
たしかに,少し心当たりがあります。
二つ目は,自分があまり休みを取れていないという仮説。
すなわち,他人が月曜・金曜と午前9時台・午後5時台に件数が多いのは,休み明け・休み前や出勤後・退勤前にメールを片付けているからではないかと予想されます。
対して,自分の場合は,休みが取れておらず,休み明け・休み前や出勤前・退勤後という状況が失われているのかもしれません。
もっとも,自分も月曜日と午前9時台という休み明けの時間帯には送信件数が若干多くなっています。しかし,この時間帯に送っているメールは,実は,夜中や土日に下書きしたもので,単に夜中や土日にメールを送るのは失礼なので,メールのオプションを使って月曜日や午前9時に送信するように設定しているだけです。
メール・アプリケーションから取りだすデータを「送信時間」ではなく「本文を作成した時間」にすると,おそらく,曜日や時間の影響度はもっと小さくなるでしょう。
つまり,自分は,休みが取れていないため休み明け・休み前や出勤前・出勤後という状況がなく,休みなく四六時中メールを送り続けているのではないかと思われます。

ただ,いずれも仮説の域を出ず,もう少し検証が必要だと思います。

 

今回の調査結果を活用する方法について考えてみました。
まずは,卑近なところでは,仕事の仕方として,月曜・火曜・金曜や午前9時台・午後5時台に用事を入れない,ということです。
この時間帯はメールも多く,また今回は割愛しましたが電話の件数も非常に多いのです。この時間帯を空けておいてメールや電話に対処することで,その後の時間帯を集中力と時間を要する仕事に充てることができます。
つぎに,まだまだ検証が必要ですが,残業代請求事件や過労死の事件などで,労働時間を推測する手段として活用できる可能性はないでしょうか。
これらの事件では労働時間を立証する証拠としてメールが出てくることが時々ありますが,メールはその時間に送ったという「点」の証拠でしかありません。
しかし,これを分析して,「送信メールの件数に対する曜日・時間の影響度が少なくなっている場合には,その労働者があまり休みを取れていなかったことになる。」という経験則が認められれば,長時間労働が恒常化していたことの「線」の証拠として使うことができないでしょうか。
そうはいっても,こんなことは統計などのズブの素人の思い付きに過ぎないので,もう少し考えてみたいと思います。

 

最後に,私のような自営業者は半ば好き好んで働いているからまだ納得できますが,使用者の命令によって好むと好まざるとにかかわらず労働を義務付けられるような長時間労働は絶対に許されてはなりません。

今回の調査を取っ掛かりにして,長時間労働についても研究を進めたいと思います。

「それ民事とちゃいますか」

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弁護士が刑事事件に関わることはよくあります。一番多いのは被疑者・被告人の弁護人となることですが、その反対に、被害者から相談を受けて被害届を出す、という関与の仕方もあります。

 

しかしこの被害届ですが、実は受理してもらうのが難しい。傷害罪など分かりやすい犯罪はすぐに受理してくれますが、犯罪の種類によってはなかなか受理してもらえないこともあります。

 

かなり前の話ですが、以前付き合っていた男性に、自分が署名していない婚姻届を出されたという事件がありました。つまり文書偽造ですが、被害届を受理してもらうため警察に行った際に、「うーん、文書偽造はなかなか難しいですねえ」と言われました。一緒に住んでいた時には殴られたこともあったらしい、と言ったところ、係の方から、「それならすぐに立件できるのですが」と言われたのには、苦笑せざるを得ませんでした。

 

最近、相談を受けた事件は、いわゆる「手形パクリ屋」のケースで、「手形を割り引く」と言って、手形を振出させ、振出人には金を支払わず持って行き、手形を第三者に譲り渡し、振出人に損害を与えたという事案です。

 

これは立派な詐欺です。しかし依頼者が警察に相談したところ「それ民事とちゃいますか」「直接相手方に行った方が早いんとちゃいますか」などと言われて、なかなか受理してもらえなかったようです。窃盗、横領は立件しやすく、詐欺、背任は難しいのですが、このような典型的な取り込み詐欺の事案まで、なかなか受理しようとしてくれないのは困ったものです。

 

もちろん、安易に何でも受理すればよいというわけではありませんが、証拠がないから立件は難しいという返答ならともかく、このケースを聞いた返答が、「それ民事とちゃいますか」というのは、ちょっと情けないなと思いました。

弁護士の紹介料は払ってもいいのでしょうか?

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 法的紛争に巻き込まれたAさんのためにBさんが弁護士を紹介しました。その後、Aさんは、Bさんから紹介された弁護士に依頼をして無事紛争解決に至りましたが、Bさんから、弁護士の紹介料を支払うよう要求されました。

 この場合、AさんはBさんに弁護士の紹介料を支払うべきでしょうか。

 

 Aさんとしては、Bさんにもお世話になったということから、紹介料を支払いたいと考えるかもしれません。

 しかし、Aさんは、Bさんに弁護士の紹介料を支払うべきではありません。

Bさんのように弁護士の紹介料を受け取る行為は、弁護士法72条に抵触するおそれがあり、刑事罰が科せられる可能性もあります。

 弁護士の紹介料をとるような行為がされれば、弁護士を利用して不当な利益をあげることになり、国民の法律生活の円滑な営みが妨げられることになりますし、基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命とする弁護士の品位を害することにもなります。このため、弁護士の紹介料を受け取って稼ぐような業務をすることは、弁護士法72条により禁止されています。

 

 弁護士の紹介料を要求されるようなことがあれば、それは弁護士法72条に違反するおそれのある行為ですので、ご注意下さい。

また、弁護士法72条に違反する疑いのあるケースがあれば大阪弁護士会法七十二条等問題委員会までご一報下さい。

 

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