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Channel: 弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿
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夏休み

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前回のブログ執筆から早2ヶ月。今年も下半期突入です。

 

下半期に突入すると、すぐ学生さんたちにやってくるのが夏休み。

この仕事すると夏休みという概念がほとんど無くなるので、「夏休みだー」とはしゃいでる学生さんたちがうらやましいです。

 

しかしそんな夏休みを楽しみにしている学生さんたちに立ちはだかるのが「テスト」。前期期末試験です。

 

学生さんたちもテスト勉強で大変でしょうが、出題者・採点者の側もなかなか大変です。

 

様々な視点からテストの問題を考え出題し、テストが終われば採点し、成績入力し・・・きっと気付いたらお盆前後。

いまは、成績に異議を申し立てる制度があるので、もしそれがあれば対応することになります。
また、採点・成績入力だけではありません。後期の講義の準備もあります。

大学の非常勤講師をやっている私もご他聞に漏れずそのうちのひとりです。

 

世間は夏休みでも8月は結構忙しいです。

 

 

 

 

 


「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」について

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どうも初めまして、弁護士の中原修と申します。

 

私の興味のある分野からお話しさせていただきます。

 

大阪ダルクの支援を長年させてもらっており、覚せい剤等薬物の依存症の問題にも取り組んだり、覚せい剤取締法違反等の薬物の刑事事件も担当してきました。

 

この度、平成28年6月1日付け「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」が施行されました。これは、近年、薬物使用等の罪を犯した者の再犯防止が重要な課題となっていることに鑑み、刑事施設における処遇に引き続き保護観察処遇を実施することにより、薬物使用等の罪を犯した者が再び犯罪をすることを防ぐため、これらの者に対する刑の一部の執行を猶予する制度とされています。

 

具体的には、大阪地方裁判所での覚せい剤取締法違反事件で「懲役1年4月、うち4月を2年間の保護観察付執行猶予(求刑:懲役2年)」というように言い渡されています。この制度は、再犯防止が目的であり、そのため従来、実刑を言い渡す際に、仮釈放が認められなければ、満期前に出所できないところを、早めに出所を認めて出所後に保護観察所と連携しようとするものです。

 

では、近年、覚せい剤取締法違反で実刑の人数はというと、平成24年で6453人、平成25年で5990人、平成26年で6016人でした。今後とも6000人前後の方が、この制度の対象となると思われます。

 

本当に再犯防止が図れるのであれば、できるだけ多くの方が対象となるべき制度です。しかし、この制度において重要な役割を果たすべき保護観察所はそれに対応できる体制なのでしょうか?現在の保護観察官の人数で対応できるのか、どのような処置・プログラムを実施するのか公表はされていません。仄聞したところでは、既に保護観察所からは裁判所にこの制度の判決の言い渡しを余りしないようにと申し入れをしているとのことで、実際にも言い渡されている事件はそれほど多くはないようです。

 

しかも、覚せい剤取締法違反の被告人は、ほとんどが薬物依存症の病人といわれています。病人に対しては刑罰を科すより治療を優先すべきとの考え方もあり、刑罰と治療のどちらを優先すべきかという議論もあって、この制度は刑罰を優先している点で、再犯防止の効果も未知数といえます。

 

せっかくの新しい制度ですが、今後の運用を待たないとわからない面もあり、現時点では、未知数の多い制度のように思います。

 

刑事事件においては弁護士も薬物使用者が再犯に陥らないように弁護活動をしています。今後、この制度が絵に描いた餅とならないよう効果的な運用がなされることを願っており、この制度の利用において弁護士としてどのようなことができるのだろうかと思案中です

民泊の光と影

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■最近民泊が話題として随分持ち上げられており,メディアで目にする機会も多くなりました。AirBnBという民泊仲介サイトが日本でも認知されてきたことも一因でしょうか。

 

■「民泊」とは法律上の用語ではありません。もともとは民家に泊まること全般を指すことばです。しかし,最近よく話題になる民泊は,自分の所有物件または賃借物件に,不特定多数の第三者を宿泊させて宿泊料を得る行為のことです。普通に賃貸するより単価が高いのですが,これまでは宿泊客の募集が難しく,稼働率を上げにくいのが難点でした。しかし,AirBnBをはじめとする民泊仲介サイトの台頭と,民泊そのものが認知されてきたこと,外国人観光客の増加により宿泊施設が慢性的に不足していること等の要因から,最近は稼働率を上げることが容易になり,大きな利益を上げることが出来るようになったのです(ちなみに,民泊経営者に言わせれば,ここ半年ほどで民泊参入者が急増し,一番稼げた時期の峠は越えてしまっているそうです)。

 

■民泊のプラス面は以下の様な項目が挙げられます。
(1)宿泊施設不足対策
 近年の外国人観光客の急増と東京オリンピック特需で,今後宿泊施設が不足することは間違い有りません。一方,東京オリンピック特需は2020年までで,その後需要は減少しますから,ホテルを乱立させると、オリンピック後にホテルが倒産するおそれがあり,安易にホテルを増やすのは得策ではないのです。
(2)民泊ならではの宿泊体験
 AirBnBのキャッチフレーズは「現地のホストのお家に宿泊して、191カ国以上で暮らすように旅しよう」です。日常生活感のある宿泊施設を喜ぶ外国人観光客は多いはずです。また,ホームステイ型民泊というのもあります。民泊経営者が同じ建物内や敷地内に居住しており,手料理などでもてなすのです。昔あった「田舎に泊まろう」というテレビ番組みたいですね。
(3)空き家の有効活用
 近年,住宅の供給過剰と人口減少で空き家が急増しています。管理されない空き家は朽ちていくし売れません。マンションは所有しているだけで毎月管理費と修繕積立金の支払い義務が発生しますので,空き家で置いておくとお荷物でしかないのです。もし民泊施設として貸し出せれば,管理費と修繕積立金を支払うことができ,管理組合に迷惑を掛けることもありません。
(4)不動産市場の活性化
 最近,民泊営業目的での不動産購入が増加しているそうです。海外資本(特に中国人富裕層)も流入してきており,民泊には不動産市場を活性化させる機能もあるといえます。

 

■一方,民泊のマイナス面は以下の様な項目が挙げられます。
(1)近隣との摩擦
 騒音、共用部でのゴミのポイ捨て、宿泊客との生活習慣の違い、旅行客であるが故の活動時間帯のズレ、入居者が毎日代わる(旅の恥はかきすて)などの要因で,近隣との摩擦が懸念されます。マンションの一室が民泊に供される場合はなおのことです。現に,最近このような法律相談が増えています。
(2)犯罪の舞台になりうる
 殺人・傷害・薬物使用,盗撮等。
(3)セキュリティの弱体化
 宿泊客がエントランスの暗証番号を知ったり,日替わりの宿泊客がエントランスの鍵を持つことにより,共用部のセキュリティはないに等しくなります。
(4)治安の悪化
(5)他の住民の管理費にフリーライド
 大量のゴミ捨てや不特定多数人による共用部の利用が行われると,他の住民の監理費にフリーライドしているのではないかとみられ,住民感情が悪化していきます。

 

このように,民泊には良い面と悪い面があります。

 

■この民泊という行為,原則として旅館業法違反です。適法に行うためには,旅館業法上の許可を取るか(簡易宿所というカテゴリーで許可を取ることが多い),国家戦略特別区域法と所謂民泊条例に基づき自治体の認定を受けるかのいずれかを行う必要があります。大阪府は既に条例が施行されており,大阪市も条例は制定済みで,現在施行待ちです。しかし,これらの許可・認定はそれなりにハードルが高く,現実には多くの民泊施設が違法に営業しているのが実態です。
 この違法状態はこれまで黙認されてきましたが,最近は旅館業法違反として京都や大阪でも検挙例が出てきました。また,大阪では民泊行為差止の仮処分決定が出た例もあります。これらのニュースが流れると,AirBnBの登録件数の伸びが鈍るという興味深いデータもあります。

 

■ビジネスチャンスになるのは当然民泊推進側です。自分でも民泊をやってみたい,と思われる方は,ネットで検索すれば,指南のHPが沢山でてきますので,そちらをご覧ください。
 私が懸念しているのは,民泊のために良好な住環境が破壊されることです。特にマンションでは,たった一室が民泊サービスを行うことにより,マンション全体の住環境が影響を受けることになります。
 身を守るために,マンション管理規約で民泊の明示的禁止を規定すべきです。

 

■マンション管理規約の改正
 マンション標準管理規約のままでは民泊を禁止できないのでしょうか。
 マンション標準管理規約の第12条では,「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」と規定されています。この「住宅」の中に民泊用途が含まれるのかが問題となります。
 これについて,石井啓一国土交通大臣は,民泊を実施するためには第12条の変更が必要」と述べたのですが,後に撤回。その理由は,国家戦略特区ワーキンググループの有識者が,第12条の変更は不要だと見解を表明したからです。現在,政府の公定解釈は出ていない状況です。
 有識者曰く,民泊促進の邪魔をするなということでしょう。法律家の目から見て,国家戦略特区ワーキンググループの見解にはかなり無理があり,民泊実施のためには第12条の変更が必要だと考えますが,念のため,明示で禁止しておくに超したことはありません。
 管理規約の変更のためには,管理組合の集会の特別決議(組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の議決)を経る必要があります。こちらもハードルが高いため,しっかり話し合い,合意形成を行うことが必要です。しっかり根回しして,一発で決議を通してください。管理会社によっては,すでに管理規約の変更を提案し,実際に変更が行われている管理組合も多いそうです。
 また,管理組合が民泊を容認することにしたとしても,民泊のルールは管理組合で作っておくべきです。ゴミは民泊営業者が独自に処分することを求めたり,民泊営業者に対しては管理費の割り増しや協力金の負担等をもとめるなども考えられるでしょう。

 

■旅館業法や民泊条例も今後は規制緩和の方向と聞いています。また,来年には,民泊新法が出来る予定です。新法では,部屋を宿泊施設としてではなく,住宅として貸し出すスキームを取っており,許可を取るためのハードルは大幅に下がると予想されます。新法が施行されてから対策していては遅い可能性があります。
 民泊にはプラス面とマイナス面があることを理解した上で,自分のマンションでの民泊可否をどうすべきか,管理組合でよく話し合い,早期に管理規約の改正を行うことをお勧めします。

武井咲さんのうちわができました!

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大阪弁護士会広報室の加藤慶子です。

 

 

関係各所のご協力をいただき、
弁護士をアピールした武井咲さんのポスターが
各箇所に掲載されていますが、
ご覧になった方はいらっしゃいますでしょうか。

 

 

また、大阪弁護士会のイベントで武井笑さんの
クリアファイルなどをもらった方もいると思います。

 

 

このたび、武井咲さんのうちわができました!

 

 

暑い日が続いています。
この夏に大活躍してくれるうちわだと思います!

 

 

 

武井咲さんのうちわは、
コンパクトで鞄にも入りやすいサイズです!

また、すし飯をあおぐのに
ちょうど良いサイズでもあります!(広報室コメント)
 

今後夏の間に開催される大阪弁護士会のイベントや
アピール活動の中で、配布されます。

 

入手された方は、ぜひコメントいただけると嬉しいです。

責任の所在

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弁護士の白﨑です。

 

さて、私は、法学部出身の弁護士です。

 

私は、ロースクールがなかった時代に、大学の法学部に在籍したものですが、当時は、法学部は、いわゆる「潰しがきく」ということで、文系の中でも、人気のある学部でした。

法曹を志さない人でも、法学部を志望する人が多かったのです。

 

先日、とある私立学校の大学進学先資料を見る機会があったのありました。もともと、理系志向が強くなっているのですが、文系に目を向けると、法学部は進学者の少なさに愕然としました。

 

文系の中では、経済学部や経営学部はたくさん目につくのですが、法学部はほとんどない。悲しいくらいです。

 

現在、司法試験を受験するには、ロースクールを卒業することが原則となっています。

 

そのロースクールの志願者はというと、右肩下がり。

 

ロースクールに進学するために、法学部を卒業することが条件となっているわけではないですが、法学や法曹に関する魅力が低下していることは確かなことでしょう。

 

司法制度改革の中でも、ロースクール制度ができました。

しかし、志願者数の激減という点に着目すれば、この制度が失敗であったことは明らかです。

 

数字だけで評価できないという反論もあるでしょうが、数字は客観的に評価できる重要な指標です。

 

政治の世界でも、企業の世界でも、どんな世界でも、新しいことにチャレンジすることは大切なことです。

 

でも、失敗した時には、撤退すること、総括すること、トップが責任をとることも重要です。そうでなければ、次のチャレンジに繋がらないからです。

 

では、司法制度改革については、失敗を総括したり、誰かが責任をとったりしたのでしょうか。

 

私は、それを知りません。

 

本当に不思議な世界です。

 

失敗を真摯に総括したり、責任の所在を明確にしない限りは、法学の人気回復は前途多難だと思います。

 

 

 

 

養育費等について

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今日は,婚姻費用・養育費(以下において,二つをあわせて「養育費等」といいます。)のお話をしたいと思います。

 

養育費等で揉めたことがある方ならご承知のとおり,現在の家事調停では,養育費等の額は,「養育費・婚姻費用算定表」によって,ほぼ問答無用で決まる扱いになっています。

 

たとえば,東京家庭裁判所のホームページには,「養育費・婚姻費用算定表」というpdfファイルが掲載されていて(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf),そこには「現在,東京・大阪家庭裁判所では,この算定表が,参考資料として,広く活用されています。」と記載されていますが,現実には「参考資料」などという控え目なものではなく,問答無用のルールとして扱われていることはよく知られたことです。

 

ところで,この「養育費・婚姻費用算定表」とその基礎となる算定方式に対しては,算定される養育費等の額が低すぎるのではないかという声が此処彼処から聞かれ,ひどいものに至っては「算定される養育費額が,最低生活水準にすら満たない事案を多数生み出し,母子家庭の貧困を固定又は押し進め,特に子どもの教育環境を両親家庭に比して著しく低い水準に固定化し,事案によっては離婚を契機に就学を断念するなど教育の機会を失わせ,貧困の連鎖を有無など酷な結果をもたらす一因となってきた。」(日本弁護士連合会「『養育費・婚姻費用の簡易算定方式・簡易算定表』に対する意見書」(平成24年3月15日)2頁)という人すらいるようです。

 

今日は,「養育費・婚姻費用算定表」によって算定される養育費等の額が本当に低すぎるのかを考えてみようと思います。

 

この「養育費・婚姻費用算定表」は,平成15年に発表された「簡易迅速な養育費等の算定を目指して」(判例タイムズ1111号285頁,家裁月報55巻7号155頁)という論文が根拠となっています。この論文によれば,養育費等は次のような方法(以下「標準算定方式」といいます。)で算定することとされています。

 

まず,養育費等をもらう方(権利者)と養育費等を払う方(義務者)の額面収入(自営の方は所得)を調べ,そこから,「公租公課」・「職業費」・「特別経費」を引いて,「基礎収入」を計算します。このとき,「公租公課」・「職業費」・「特別経費」は実際の金額を調べるのではなく,額面収入又は所得に対して一定の割合(具体的な割合については,松本哲泓「婚姻費用分担事件の審理‐手続と裁判例の検討」(家裁月報62巻11号1頁)をご覧ください。)を乗じて求めます。

 

そのうえで,基礎収入の金額と子どもの人数・年齢に応じて養育費等の額が決まるのですが,上に書いた額面収入又は所得に対する「公租公課」・「職業費」・「特別経費」の割合は,総務省統計局が発表している「家計調査年報」という統計をもとに定められています。そうだとすると,統計を用いる以上,統計の結果が変われば「公租公課」・「職業費」・「特別経費」の割合も変えた方が良さそうです。そして,そのことは,上の論文を書いた裁判官たちも重々承知で,論文を次のように締めくくっています(「第7 おわりに」(上記家裁月報178頁))。

 

「今回の提案については,将来,統計資料上の数値や家計の消費傾向の変化があれば数値の見直しの必要があろう」

ところが,裁判官の方たちが予想した「統計資料上の数値」の変化は(正確には「統計資料上の数値」の変化ではなく,統計方法の変化というべきかもしれません),上の論文を書いた直後から起きていたと思われます。

 

それは標準算定方式を考案するにあたって参考にされた,総務省の家計調査年報の統計方法が変化していることです。

 

すなわち,標準算定方式を考案するにあたって参考にされたのは,平成10年から平成14年までの家計調査年報ですが(上記家裁月報179頁から180頁まで),ちょうど平成13年12月まで家計調査の対象となる世帯は二人以上の世帯だけとされて,単身世帯は除かれていました。平成14年1月からは単身世帯も調査対象に含まれるようになりましたが(それまでは「単身世帯収支調査」という別の調査が行われていたようです。),標準算定方式を定めるにあたって,単身世帯も含めた調査の結果が使用されたという記載は上記の論文にはないように思います。

 

ところが,よく考えてみると,養育費等を支払う側の世帯(義務者)は多くの場合,離婚又は別居によって単身世帯になるので,単身世帯が対象から除かれている平成14年までの家計調査年報を資料として算定方式を考案することはおかしいはずで,本来であれば単身世帯の調査の結果を使用しなければならないのではないでしょうか。

 

これは単に理屈の問題ではないと思います。現実の問題として,単身世帯は二人以上世帯よりも,とくに特別経費の割合が小さく,したがって基礎収入の割合が大きい場合があることが以下のように統計からも見て取れるからです。単身世帯の特別経費の割合が小さいこと,つまり,単身のうちは特別経費を構成する保険掛金や住宅費用にお金をかけないが,結婚するとこれらにお金をかけるようになることは,感覚的にも実感できるところです。

 

二人以上世帯

平成10~14年 特別経費の実収入費の平均値(家計調査年報第4表)

(上記論文180頁・資料1)

年間収入階級:>200万円 >250万円 >300万円 >350万円 >400万円

特別経費実収入比: 25.93%   23.30%    22.56%    21.37%   22.10%

                           >450万円 >500万円 >550万円 >600万円

                             22.94%    22.16%    20.94%    22.43%

 

単身世帯

平成26年 同(家計調査年報・家計収支編・単身世帯詳細結果表5)

年間収入階級:>100万円 >200万円 >300万円 >400万円 >500万円 

特別経費実収入比: 13.56%   22.63%    19.88%    17.42%    13.92%

>600万円 

17.86%

 

そうであるにもかかわらず単身世帯である義務者に,二人以上世帯の基礎収入の割合を乗じて計算すれば,義務者の基礎収入が不当に低く計算され,ひいては養育費等も不当に低く計算されることになってしまう可能性は,たしかにあるように思います。おそらく,標準算定方式による養育費等の額が「子どもの成長発達の保障を満たさないものである」(日弁連12頁)とまで言われるほど低くなってしまう原因の1つは,この点にあるのではないでしょうか。標準算定方式の計算式を見直すことまで必要かどうかは意見が分かれるかもしれませんが,少なくとも計算式の係数である特別経費の割合は,最新の家計調査年報に基づいて見直してもよいように思います。

 

ただし,新しい統計を用いるのにも問題はあります。

まず,現在の家計調査年報の単身世帯に対する調査では,高額所得者を捕捉しきれていません。現在の調査では年間収入階級が0円から600万円までの100万円刻みになっていて600万円以上はすべて同じ階級に入れられてしまっています。そのため,高額所得者が義務者となる場合の基礎収入を正確に計算することができないという問題があります。

 

つぎに,上には挙げませんでしたが,実は職業費の実収入に対する割合は,単身世帯・二人以上世帯を問わず,標準算定方式が定められた当時より上がっています。ですから,標準算定方式によって求められる基礎収入,ひいては養育費等の額が,日弁連のいうように一概に低すぎるとはいえないはずです。

 

また,家計調査年報の調査対象である単身世帯は未婚の若年世帯が中心となっている可能性が高いが,養育費等の額を計算しなければならない世帯は一度婚姻関係を経ており,収入も大きいが,支出とりわけ「土地家屋借金返済」(住宅ローン)も大きい場合があり,未婚・若年の単身世帯と同列に並べることはできないという点も考えなければなりません。

 

それでも簡易算定表だけを見る現状よりは養育費等の額を適切に計算することができるのではないかと思います。少なくとも標準算定方式に基づく計算すらなく,簡易算定表をみて能事足るというような家事調停の現状は今すぐにでも改められるべきです。

 

さいごに,この記事は私個人の考えで弁護士会とはまったく関係がありませんし,決して弁護士会の考えを代表するものではありません。むしろ,仕事の関係上,標準算定方式によって算定される養育費等の額がすべての場合において低すぎるとも受け取られかねない「日本弁護士連合会「『養育費・婚姻費用の簡易算定方式・簡易算定表』に対する意見書」には俄かに賛同しかねることだけ最後に書かせていただきます。

 

「日本ライフ協会」無料電話相談について

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高齢者・障害者総合支援センター(通称:ひまわり)運営委員会委員、弁護士 小谷(おだに)真由香と申します。

 

 現在、大阪弁護士会では、日本ライフ協会の経営破綻による被害者のために、電話相談を実施しています。

 日本ライフ協会は、身寄りのない高齢者の身元保証や日常金銭管理、葬儀の手配などの引き受けていました。

 会員契約を締結した高齢者は、多い人では入会金や会費名目で200万円を超える支払や、高額の葬儀費用を預けていました。

 

 ところが、この協会は預かった資金の運用に失敗し、事業閉鎖になってしまい、現在、大阪地方裁判所で、破産手続となってしまいました。

 そのため、会員になった方々が契約していたことは実行されませんし、葬儀のために預けていたお金も返還されないケースもあるなど、大きな被害を被ることとなりました。

 

 全国に2500人以上いると思われる被害者のため、大阪弁護士会では、電話相談を6月16日から開設しました。初日だけで46件、7月11日までで合計142件の相談が寄せられました。

 

 相談の多くは、破産手続で、被害金額を債権届出する方法、身元保証や葬儀を今後は誰に頼めばよいかなどですが、さらに掘り下げてお聞きしていると、代表理事に対する民事・刑事の責任追及を求める声も多数出てきています。

 

 今後も、日本ライフ協会の仕組みや高齢者の身元保証や財産管理、死後の事務などに詳しい弁護士が、 下記の電話番号で電話相談を受け付けていますので、同協会と契約した元会員の方々に限らず、ご家族や周囲の支援者の方々も、お気軽にご相談ください。

 

 TEL:06-6949-8680

 相談受付時間 月~金(祝日を除く) 10時~12時、13時~16時

二足の草鞋(わらじ)

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はじめまして、弁護士の永榮久仁子(ながえくにこ)と申します。

今年度から、このブログのブロガーの一員となりました。よろしくお願いいたします。

 

さて、初めてのブロク投稿なので、軽く自己紹介を・・・

 

私は弁護士6年目。弁護士になる前は、法律事務所で7年ほど事務員をしていたので、この世界(法曹界)に関わってからは10年以上経ちます。

普段は、他のブロガーの方々と同じく、弁護士として仕事していますが、2年ほど前から、大阪府下の某自治体で任期付公務員として週2日働いています。

 

「任期付公務員」というのは、読んで字のごとく、一定の任期の間(一般的には3~5年の任期が多いです)、官公庁で働く公務員のことで、私の場合、週2日、地方公務員(自治体職員)として、役所で働いています。役所では、職員からの法律相談に対応することが多いですが、一般職員と同様、地元住民の方とも窓口などで直接応対することもあります。

 

・・・いわば、弁護士と自治体職員、二足の草鞋を履いた状態ですね。

 

弁護士が、中央官庁や自治体の中で任期付公務員として働くということは、一昔前にはなかったことですが、最近ではこうした任期付公務員の数も増えてきました。

現在、自治体で働く常勤の任期付公務員は、全国で100名ほどおり、私のような短時間勤務や非常勤の職員を含めると、かなりの数の弁護士が自治体の中で働いています。

 

弁護士にまでなって、なぜわざわざ公務員になるのか・・・とお考えの皆さんもいるでしょうが、「法律による行政」という言葉があるように、行政の活動は、法律や条例など一定の基準(ルール)に従って行われなければなりませんし、行政機関の中で解決しなければならない法的問題は日々発生します。

こうした様々な問題に対して、自治体の中から弁護士が法的な指導・助言を行うことで、迅速かつ適正な行政活動ができ、ひいては住民の皆さんに対する行政サービスもより充実すると思っていますし、役所で仕事をする際には、そのことを心がけて仕事をしています。

 

大阪弁護士会では、平成25年4月より行政連携センターを発足し、私も今年度から同センター運営委員会の副委員長を務めています。

同センターでは、自治体から研修講師派遣・弁護士紹介の依頼を受ける窓口となっているほか、任期付公務員の任用に向けての相談などにも対応しています。

興味のある方は、行政連携センターのホームページ

http://www.osakaben.or.jp/01-aboutus/gyousei/index.php

で、同センターの活動内容などを見ていただけたらと思います。

 

・・・ということで、初回は少し真面目な話をしてしまいましたが、根はそんなに真面目な性格でもないので、今後は、どーでもいい話(といったら語弊がありますかね(^^; )も含めて、気になったことを投稿させてもらおうと思っています。

 

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


天神祭での大阪弁護士会アピール活動

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大阪弁護士会広報室の加藤慶子です。

 

7月25日は天神祭。

 

ふだんこの界隈に来られないような見物客のみなさんに,少しでも大阪弁護士会のことを知っていただこうと思い,会をあげて,大阪弁護士会の活動をアピールしました。

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会長、副会長を先頭に、人権擁護委員会,憲法問題特別委員会,広報室のメンバーなど,みんなで浴衣や法被を着て、武井咲さんのうちわや,ウエットティッシュ、「いらんやろリーフ」を配付しました。

 

配布物はこのようなものでした。

「いらんやろリーフ」とは,
このたび作成した,憲法に緊急事態条項を創設することに反対する
市民向けリーフレットなっています。

 

 

 

お祭りに向かう見物客の方々には,
ウェットテッシュもうちわも大好評で,
用意した1000セットがあっという間に市民の方々に渡りました。

 

 

 

 

 

 

マスコミの方々も取材に来ていました。
取材に応じる会長です。

ふだん,大阪弁護士会には接点を持っていないだろうと思われる方々が,弁護士会の名前の入ったうちわを持ってひらひらとさせている風景は,なかなか嬉しいものでした!

箕面市ひとり親家庭への法律相談員派遣契約調印式を行いました!!

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はじめまして。人権擁護委員会両性の平等部会の部会長の太平信恵と申します。

 

大阪弁護士会は箕面市との間で、箕面市ひとり親家庭への法律相談を創設し、弁護士を定期的に派遣する事業を開始することになりました。

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今年度、大阪弁護士会は、「あなたを一人にしない 弁護士があなたのもとへ」というキャッチフレーズを掲げ、弁護士を必要としている人たちのもとへ積極的に出かけていく「アウトリーチ」事業の体制作りに取り組んでいますが、その第一弾となります。

 

大阪弁護士会は、ひとり親家庭の支援に先進的に取り組んでこられた箕面市と協議を進め、ひとり親家庭を対象とした無料法律相談を実施することになり、7月19日、大阪弁護士会館において、法律相談員派遣契約調印式を行いました。

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この法律相談は箕面市役所の専用相談ブースで、子どもの養育費、面会、認知、DV、慰謝料、財産分与など様々な法律問題について、弁護士が相談に応じます。

相談日は、8月は毎週火曜日の午後1時~4時、9月以降は毎月1回、第一火曜日の午後1時~4時に実施予定です。

 

8月は児童扶養手当受給者の方が市役所に現況届の提出に行かれるそうですので、その際に、是非法律相談にいらしてください。

私も、「出かけていく弁護士」として、8月に箕面市役所に行ってまいります!

「雑用も仕事のうち」

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大久保です。

 

どんな仕事をする人でも、本来の業務だけではなく、附随的な業務や雑用などをすることになります。

 

弁護士の場合、中核となる業務は、法廷に行って証人尋問をする、弁論をする、その準備をする、書類を作成するなどでしょう。

これらの業務は頭を使うので疲れますが、それでもやっていると充実感があり、つい熱中してしまうこともあります。

 

とりわけ、相手方の主張を論破することができそうだ、と思ったら面白くなって、当初予定していた時間をはるかにオーバーして、書面を書くようなこともあります。ただ、主張を論破したと思っても全く噛み合っていないこともあり、その場合は徒労感を覚えます。

 

また文章ではなく、表を作成することにより事案の解明に資することもあります。

 

一度、あっちの銀行からこっちの銀行へ、またそれを分けて二つの銀行へ、というお金の流れを解明しなければならなかったことがあり、このようなケースでは、表を作成することができれば分かり易くなるので、一生懸命考えて、何度も項目を追加したり削除したりして表を作り、ようやく分かり易い表ができた!と喜んだのですが、実はそれは相手方ではなく依頼者のしたことで、やっと分かったのはいいのだけど、時間を返してください、と言いたくなってしまいました。

 

このような作業の場合でも、仕事をしたという充実感があるのですが、これが雑用になるとそうもいきません。充実感はないし疲れるし、できれば避けたいところで、特に掃除や整理は、面倒だからと後回しにしてしまいがちです。

 

ところが後回しにしていると、いざというときに大慌てすることになります。

 

実は今日、電話機を15年ぶりに交換することになり、最初は大掛かりな掃除もいらないだろう、と思っていたのですが、考えてみたら電話機には配線というものがあり、配線は机の下を通っているので、そこを掃除しなければならないことに後で気づきました。

 

それで朝から机の下を掃除していると、色々な古いものが出てきました。昔のチケットなどですが、中には競馬雑誌などもあり、見たらディープインパクトの菊花賞の特集だったのでつい読んでしまい、なかなか掃除がはかどらず大変でした。

 

もう若くもないので、普段から整理をするようにしたいもので、今後は「雑用も仕事のうち」と自分に言い聞かせ、少しずつやっていくようにします。

「交通事故 無料相談のご案内」リーフレットが出来ました!

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大阪弁護士会広報室の加藤慶子です。

 

「交通事故 無料相談のご案内」
のリーフレットが出来ました!

 

役所等においてもらうことを想定し,
交通事故相談の案内に特化したリーフレットとなっています。

 

リーフレットの内容はこちら
内側

 

 

外側

 

 

 

 

交通事故相談は,任意保険の付帯サービスとなっていることが多い
弁護士費用特約の拡充により,飛躍的に相談件数が多くなっています。

 

そして,大阪弁護士会総合法律相談センターでは,
交通事故相談を随時受け付けております。

 

被害者・加害者を問わず,損害賠償問題(民事)について
弁護士の法律相談を無料で受けることができます。

 

 

 

交通事故に遭ったら,あるいは交通事故を起こしてしまったら,
お気軽にご相談ください。
きっと今後の手続に関する不安や疑問を

解消することができると思います。
府内各地に相談個所があり,相談場所を選べますので
お近くでご相談できます。

 

 

 

 

 

 

詳しいお問合せはこちら↓↓↓
 

総合法律相談センターのHP,相談申し込み先はこちらです。

 

http://soudan.osakaben.or.jp/index/index.php

 

 

 

WEBからの予約も可能です。

 

https://soudan.osakaben.or.jp/yoyaku/index.php

 

クールビズ

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 裁判官が法廷で着ている真っ黒な「法服」。絹でできているが,通気性がよくないので夏は暑い。書記官のそれはポリエステルでできていて,余計に重く,暑い。私が司法修習生だった13年前に書記官の方から聞いた話だ。

 

 そのころは夏に軽装で仕事をするという概念があまりなく,みんな暑いのを我慢してネクタイを締め,上着を着ていたのだが,ただでさえ風通しの悪い裁判所,ある日法廷に行ったら,あまりの暑さに書記官が,「こち亀」の両津勘吉よろしく法服ごと腕まくりして席に座っていた。法廷の権威も日本の猛暑の前には形無しである。

 

 みんなが限界を感じていたのだろう。当時環境大臣だった小池百合子氏が「クールビズ」を打ち出したのは2005年。昭和の「省エネルック」とは打って変わってすっかり定着し,もう10年以上が経つ。

 

 ひょっとすると小池さんは,夏がお得意なのかもしれない。10年たって真夏の首都で戦う小池さんは,夏の日差しを追い風にしたようになんだか元気だった。私もそうだが,暑さが苦手な人間にとっては,夏を味方にする人がうらやましく感じられる。

 

 4年後の夏のホスト・ホステスを決める都知事選が,昨日投開票された。この原稿は昨日午後8時以前に出稿しているので,結果は知らない。

 

 越後の冬を熟知していた田中角栄は,真冬の選挙も難なくこなし,ライバル候補に水をあけたという。桶狭間の信長もしかり。いつの世も,季節や天候を味方につけた者は勝利に近いようだ。2016年の東京の夏を援軍にし,戦いを制したのは,果たして誰だろうか。

 

 4年後を見据えた8月が,今日から始まる。くしくも80年前の今日は,ナチスの宣伝に利用されたベルリンオリンピックが開幕した日でもある。戦争の惨禍と平和の尊さを胸深く刻み,4年後の夏を平和と友好の祭典として花開かせることを誓うひと月としたい。

 

 新都知事は今月中旬にもリオに立ち,五輪旗を受け取って帰国する。これからの4年間,準備を加速する中で様々な問題も出てこよう。新たな東京のかじ取りが,ビジーな都政をクールな顔で軽やかに乗り切ってくれることを願ってやまない。

 

大阪弁護士会公式ツイッターができました!

出張授業講師派遣について

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はじめて投稿します。浜本と申します。

 

 私は、今年度、労働問題特別委員会の副委員長をさせて頂いておりますので、最初の投稿は労働問題特別委員会のことにしようと思います。

 

 労働問題特別委員会では、地方公共団体等の公的機関から推薦を求められた各種委員の推薦を行うほか、これから社会に出て行く高校生のために、働くにあたって知っておくべき法律上のきまりやルール(ワークルール)についての授業を行う弁護士を、その高校まで派遣する事業を行っています。

 

 最近ですと、長野高校(河内長野市)、長尾高校(枚方市)、城東工科高校(東大阪市)などに講師派遣をすることが決まっています。

 

 時間外労働が適法になる要件や、時間外労働をした場合の割増賃金のことなど、きちんとした知識がなければ悪い雇用主にだまされるかもしれないことにつき、丁寧にお話しすることになっていますので、関心をお持ちの高校関係者の皆様方に是非ともご利用頂きたいと思います。大阪弁護士会までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

講師派遣(弁護士派遣事業・法教育事業)について詳しくはこちら↓

http://www.osakaben.or.jp/01-aboutus/haken/index.php

 

 


弁護士費用はわかりにくい?!

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 こんにちは,大阪弁護士会の弁護士の松井圭子と申します。

 私は,大阪弁護士会の司法改革検証・推進本部の弁護士制度部会に所属しています。弁護士制度部会では,弁護士自治などの弁護士制度について研究するとともに,弁護士報酬についても制度の点から勉強しています。

 今回は,弁護士報酬(弁護士費用)について,少し考えてみたいと思います。

 

 まず,弁護士費用は一般の方からすると,「高い」ようです。

 確かに,一件あたりの単価は高いことは否定できません。その代わり野菜のように毎日買う必要はないですし,家電のように買い換えも必要なく,その方へのオーダーメイドで仕事をするので,全体として見ると高額か否かは決めがたいと思っています。ただ,支払う方にしてみると一度に出ていくお金が大きいので負担であることは違いありません。この点について,今は分割払いや完全成功報酬制,タイムチャージ制などで受任されている弁護士も多いようです。

 また,専門家である医師・病院と比較されることがありますが,日本では保険制度がありますので,患者さんの負担は少なくて済んでおり,あまり高いという感覚はないようです。この点,弁護士費用についても,権利保護保険というのが発売されています。権利保護保険については,弁護士費用の持ち出しという問題が解消されるという点で,今後広まっていくのではないかと考えられています。権利保護保険が普及すると,一時払いの金額がなくなりますので,弁護士費用は「高い」という印象も少しはなくなるのかもしれません。

 

 次に,弁護士費用は「わかりにくい」ようです。

 「わかりにくい」にもいろいろあるかと思いますが,一般の方にとっては,何にお金を払っているのが不明確なのかもしれません。例えば,スーパーで買い物をするなど,目の前にある物に対価を払うという場面では,その物に価値があるかどうかを見極めてお金を支払うため,人はあまり抵抗を感じることがないでしょう。しかし,弁護士の提供するサービス,実際は弁護士の使う時間や知識やノウハウなどが使われているのですが,何に対価を支払っているのかが一般の方にとっては見えにくい。

 少し話は変わりますが,目に見えないものはタダだと思っている方もいるようです。聞いた話ですが,個人でホームページを作成する仕事をしておられる方に,「ついでにうちのホームページも作っておいてよ」などと気軽に依頼される方がいらっしゃるそうです。もちろん頼んだ方はタダだと思っていると…。弁護士に限らず,なかなか目に見えないものにお金を払うとか,時間・知識・ノウハウにお金を払うということをご理解いただくのは難しいのかもしれません。

 わかりにくさの解消方法としては,できれば正式にご依頼いただく前に,ご自身で比較をしていただくのが一番いいのではないかと考えています。ご依頼いただく内容によって弁護士費用が大きく変わりますので,ご自身の事件でどのくらいかかるのかということを知っていただくのが納得していただけるのではないかと思います。弁護士も今は「見積書」を提示するようになってきていますし,私自身,気になったら他の弁護士にも聞いてみるように薦めています。

 

 今回は,あくまで一人の弁護士として弁護士報酬に関する雑感を述べましたが,弁護士報酬について考えるというのはとても難しいと感じています。弁護士報酬についてどのような定め方がいいのか,規定や指針などはそもそも必要かなど,議論は多岐にわたり,結論は出ていません。ご依頼いただく事件は全て異なることから,一般的に検討するのが難しい問題でもあります。弁護士制度部会では,引き続き報酬問題を含めて,弁護士制度について研究を続けていく予定です。

ポイ捨ての法律問題

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みなさんこんにちは。弁護士の千葉直愛といいます。大阪弁護士会では、公害対策・環境保全委員会に所属し、主に自然保護に関する公益活動に携わっています。

 

 

さて、国民の祝日に関する法律が改正され、今年から、新しい祝日が制定されましたね。

 

 

8月11日「山の日」。

 

 

山の日ができたのは、山岳関係団体や独自に山の日を制定していた地方自治体の熱い要望によるものなんだとか(大阪府も以前から11月の第2土曜を「おおさか『山の日』」にしていたそうです(知らなかった・・・))。

 

 

ところで、山の日に限らず、夏休み真っただ中、山登りや海水浴など、アウトドアを楽しむ方も多いと思いますが、反面、この時期よく問題になるのが、行楽地でのごみのポイ捨て。そこで今日は、自然保護に携わる弁護士の立場から、ごみのポイ捨て問題について、(ややマニアックな)解説をさせていただこうと思います。

 

 

 

1.廃棄物処理法

まず、ポイ捨てするその小さな「ゴミ」は、何と、廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当します(2条1項「この法律において『廃棄物』とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの・・・をいう。」)。廃棄物というと、自動車の不法投棄とか、派手なものを想像しがちですが、空き缶、空き瓶なんかも含まれるんですね。

 

 

そしてその罰則は、「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」です(廃棄物処理法25条1項14号、16条)。ポイ捨てで懲役5年は洒落にならないですね。

 

 

2.軽犯罪法

さらにマニアックなところでは、軽犯罪法1条27号が「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」に拘留又は科料の制裁を課しています。「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」も同様です(同26号)(「カ~~ペッ!」おじさんは軽犯罪法違反なわけですね・・・)

 

 

3.各自治体の条例

また、各地方自治体がポイ捨て禁止について独自の条例を制定しています。たとえば大阪市では、「大阪市空き缶等の投げ捨て等の防止に関する条例」が制定され、空き缶、たばこの吸い殻、チューインガムのかみかす、紙くずその他のごみのポイ捨てを禁止しています(6条)。大阪市条例ではこのほかにも、自動販売機設置業者に、自動販売機のそばにゴミ箱を設置するよう義務付けるなど(7条)、業者にも目を向けたものになっています。そしてこれら規定に違反すると、市長からの是正勧告があり(9条1項)、勧告に従わなければ勧告に従うべき命令が発令され(9条3項)、命令に違反した場合は、氏名と違反行為が公表されます(9条4項)。氏名の公表まで行くと、流石にやりすぎ感がありますが、本当に悪質な違反者には適用すべきかもしれませんね。

 

 

4.海外では

一方、海外に目を向けると、シンガポールの罰則が有名ですね。ごみのポイ捨てをした者は、初犯は最高1,000Sドル(約8万円)、再犯は最高2000Sドル(約16万円)。加えて悪質な再犯者には「矯正労働作業命令(Corrective Work Order)」が科せられ、「CWO」と書かれた派手な色彩のベストを着用し、公共住宅(HDB)や公園などで3時間以上の清掃作業をしなければならないとのこと。これはキツイ。(日本だったら違憲訴訟とか起きそうな気が・・・)

 

ほかにも、タイでは、吸い殻のポイ捨てが2,000バーツ(約6,000円)の罰金など、各国熱心にポイ捨て撲滅に取り組んでいます。

 

日本も観光立国にあたって、今後、国内美化のため、厳罰化の方向に進むかもしれませんね。

 

 

そんなこんなですが、このような(恐ろしい)法令の適用を受ける前に、行楽にお出かけの際は是非、持ってきたゴミは持ち帰り、環境美化に努めましょう(*^^*)

 

 

相続法制改正の話

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はじめまして。弁護士の中森亘です。

 

 酷暑が続くなか、涼しいお話をお届けしたいところですが、司法制度や法令改正等を取り扱う司法委員会から選出されている関係で、今回は法令改正のお話をさせていただきます。

 

 さて、現在、民事系では、民事執行手続や相続法制、公益信託制度等の改正作業が進んでいます。中でも相続法制は皆さんに身近な問題かと思います。既に法制審議会から中間試案が公表され、9月末を期限にパブリックコメントに付されています。

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900291.html

 

 ポイントは5つあり、①配偶者の居住権を保護するための方策、②遺産分割に関する見直し、③遺言制度に関する見直し、④遺留分制度に関する見直し、⑤相続人以外の者の貢献を考慮するための方策、です。

 詳細は、法務省の上記サイトをご覧いただければと思いますが、例えば、②では、婚姻期間が長期間に及ぶ場合等に配偶者の相続分を増加させる、③では、自筆証書遺言の方式を緩和し自書以外の方法も認める、などが検討されています。

 

 憲法改正の議論が注目されていますが、色んな法令の改正も社会の変化に応じて議論されています。一人一人が関心をもつことが大切ですね。

  

ロールームリレー講座

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こんにちは、弁護士の後藤と申します。

 

お盆休みまっただ中ですが、今日は、私の所属する法曹養成・法科大学院協力センターが実施する大阪弁護士会の特別企画「ロールーム・リレー講座」のご案内をさせていただきたいと思います。

 

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【日 時】 平成28年9月17日(土)12:00~ 

        ※17:30~懇親会あり

【場 所】 大阪弁護士会館 会議室

        ※当日、会館1Fの掲示でご確認ください

【対 象】 ロースクールの学生(学年は問いません)

 

【内 容】

*第1部 「企業不祥事とマスコミ対応」 三木 秀夫 弁護士

*第2部 「アジアで民事紛争を解決するとは?」 藤本 一郎 弁護士

*第3部 「非嫡出子違憲判決とその後の動向について」 豊田 泰史 弁護士

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ロールーム・リレー講座というのは、第一線で活躍中の弁護士に、最前線の実務について、ご自身の成功談や失敗談も含めた講演をしていただくものです。

 

今年は、第1部においては、STAP細胞や船場吉兆など著名な案件に多く関わっておられる三木弁護士に、第2部においては、アジアの渉外案件を多く取り扱っておられる藤本弁護士にお話いただきます。

また、第3部においては、昨年最高裁において非嫡出子(婚外子)の相続差別に関する違憲判決が出されましたが、その案件に当事者として関わっておられた豊田弁護士を、和歌山弁護士会からお招きして、お話をしていただきます。

 

いずれの先生におかれても、きっとこの機会にしか聞けないような興味深いお話をしていただけると思いますので、個人的にもとても楽しみです。

前回のロールーム・リレー講座の様子です。↓

 

私自身、ロースクール生の時にこの企画に参加して、弁護士の仕事の幅広さや奥深さ、面白さに触れ、勉強のモチベーションが高まったことを良く覚えています。

懇親会もありますので、ロースクール生の皆様は勉強で忙しい中だとは思いますが、ぜひ積極的にこの機会を利用していただきたいなと思います。

 

ご参加をご希望の方は、下記ウェブサイトをご覧いただき、大阪弁護士会担当者までお申し込みください。

http://www.osakaben.or.jp/event/2016/2016_0917.php

 

多数の皆様のご参加をお待ちしております!

司法修習生の保活!? ~卵達の苦悩~

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 こんにちは,弁護士の禿祥子です。はじめての投稿です。宜しくお願い致します。

 さて,本日は,司法修習生(※)と保活(※)という,ちょっと意外な取り合わせのお話です。

 

 司法修習生(以下「修習生」と言います。)は、弁護士、裁判官、検察官の卵。その生活を学生生活に重ねる読者もいらっしゃるかもしれませんね。ですが,これが案外ハードなのです。

 

昔は2年かけてやっていた研修を,「大人の事情」で現在は1年に短縮しているので,平日の午前9時20分前後から午後5時まで,カリキュラムはギュウギュウに詰まっています。講義形式の座学ばかりでなく,裁判所,検察庁,法律事務所等の各現場でも研修しながら,修習生は最終試験に備えて日々猛勉強をしています。

 

 乳幼児を育てる修習生はもちろん日中に子どもの面倒を見ることはできません。残念ながら,自分の親や配偶者に子どもを見てもらえる修習生ばかりでもありません。こうしたとき,修習生が頼りたいと思うのは保育所です。でも,待機児童が多数いる市町村では,これもかなりハードルが高いのです。というのも,修習生は,現在は無給で研修を受ける身分なので,「労働者」とは扱われず,入所の優先順位が「労働者」よりも下位になってしまうことが多いからです。司法試験に合格して喜びを味わったのもつかの間,「子どもをどこに預ければよいの!」と死にものぐるいで保活に突入したという修習生の切実な体験談を私も先日聞きました。

 

 待機児童問題の中でも,修習生の保活問題は非常に特殊かもしれません。しかし,給与が支給されていた古き時代の修習生だった私は,現在の修習生が置かれている精神的にも経済的にも厳しい状況を目の当たりにし,社会の縮図を見たような気がしました。

 

 なお,大阪弁護士会では,子育て中・妊娠中の修習生及び司法試験合格者の方をできる限りサポートします。保活の進め方,子育てと修習生活の両立など,諸先輩方の体験談を踏まえたアドバイスもできます。ひとりで思い悩む前にぜひ一度ご相談ください。

 

大阪弁護士会内相談 窓口(人権課・男女共同参画推進本部担当:06-6364-1227)

 

~「司法修習生」と「保活」を知らない方へ~

 

※司法修習生

 司法試験に合格した後,法律実務家になるため,最高裁判所の定めた研修を受けている国家公務員に準ずる身分の者。2011年より以前は,給与も支給されていたが,現在は無給。修習専念義務があるため,兼業は原則として禁止されているが,生活費の貸与を受けることもできる。

 

※保活

 子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動。待機児童が多数いる市町村において,子どもを保育所に入れるための必須の活動。

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