裁判手続では,当事者双方から,大量の書面が裁判所に提出されます。それぞれの言い分を記載した書面(準備書面,主張書面などと言います)のほか,それを裏付ける証拠のコピーなどです。
そのため,大規模,複雑な事件では分厚い記録のファイルが何冊にもなることがあります。
裁判期日にはそれを持参しますので,ファイルが多くなる時は,スーツケースに入れて転がして出廷することもあります。これはかなりの力仕事です。
これは私が弁護士登録以来,変わらない姿です。
他方,世の中では,ここ10年ほどで,映像や音楽の電子配信,書籍の電子化などが進み,身の回りのものが小さく,軽くまとめられるようになってきました。
スーツケースで記録を運んでいるのは,何か時代に取り残されている感があります。
そのため,現在,各方面で裁判手続のIT化の検討が進められています。
書面のオンライン提出やWEB会議の導入までも検討されていると聞きます。
将来,IT化が進めば,上記のような記録運搬の手間が省けそうです。タブレットに書面を入れて軽々と運ぶ姿を想像すると,楽しみでもあります。
しかし,私は紙に親しんだ昭和世代。果たして,画面上の文章がすんなり頭に入ってくるだろうか,という不安も少し頭をよぎります。