ご相談を受けていると,時折「費用倒れ」が問題になることがあります。
訴訟を起こしたいが,弁護士に依頼すると勝訴して得られる利益よりも弁護士費用が高くなってしまい,何のために訴訟をするのか分からなくなるという場合です。
現状この問題を補う制度のひとつとして,ADRをご紹介したいと思います。
これは,弁護士等の中立の専門家を間に挟んで紛争の解決を図る制度です。
大阪弁護士会と協力関係にある民間総合調停センターの場合,専門家を間に入れて話し合いによって解決をする「和解あっせん」と,専門家に最終的な判断を任せる「仲裁」の2種類の手続があります。
民間総合調停センターに申し立てた場合,弁護士等が中立の立場で間に入りますので,必ずしも自分の側に立ってくれる弁護士を頼む必要はなく,法律の知識がなくても紛争解決を図ることができます。費用も申立ての手数料が10,000円,解決したときの手数料が解決額100万円未満の場合で15,000円程度と,利用しやすく設定されています。
この制度の弱点は,相手が話し合いに応じる姿勢がない場合,話し合いの場を設けることもできず,利用できないというところです。ただ,そのような場合でも,民間総合調停センターは何もしないのではなく,相手に話し合いの席についてもらうように働きかけをしています。
使い様によっては非常に有用な制度ですので,費用倒れにお悩みの方は,ご利用を検討されてはいかがでしょうか。
公益社団法人 民間総合調停センターHP