「民法」という法律があります。
契約、損害賠償、相続、結婚や離婚といった、私たちの生活の基盤になっているルールです。
この民法がいま変わろうとしています。
大きく、契約など債権に関するルールの改正、結婚や相続など家族に関するルールの改正が予定されていますが、もう一つ、20歳から成年(成人)になりますが、それを引き下げて18歳から成年(成人)としようという動きがあります。
大阪弁護士会では、3月30日にこの成年年齢の引き下げに関して意見書を公表しました。
http://www.osakaben.or.jp/speak/view.php?id=147
http://www.osakaben.or.jp/speak/db/pdf/2017/oba_spk-147.pdf
詳細は意見書に譲りますが、是非このブログを読んでおられる皆様にも一度、成年年齢を引き下げるか否かを考えていただきたいと思います。
問題意識としては、
①いままで20歳未満であれば「未成年者取消権」で守られていた部分が、成年年齢が18歳になることで、18歳・19歳は守られなくなる。
②未成年者が親権者の同意を得て労働契約を締結した場合でも、その契約が未成年者に不利であると認められるときには親権者、後見人または行政官庁がその契約を将来に向かって解除できるという規定であるが、成年年齢が引下げられると、保護される年少者の範囲が狭められてしまうことになる。
③親権者の範囲に変更がある。
④養育費等の支払い終期が繰上げになる可能性がある。
などなどがあります。
大阪弁護士会の意見書にもあるとおり「成年年齢の引下げは、国民に情報が周知され、議論が尽くされ、理解が得られてから行うべき」であると考えていますが、成年年齢の引き下げについて情報の周知がされているのか、議論が尽くされているのか、国民からの理解が得られているのか、このあたりは読者の皆様はどのような感想をお持ちでしょうか。
成年年齢引下げも私たちの生活に大きくかかわってきます。
外国がこうだから引き下げよう、選挙年齢が引き下げられたから成年年齢も引き下げよう、というのではなく、引下げによるメリット・デメリットを主体的に考えてただいて、自分なりのお考えを持っていただければと思います。