今年1月11日のブログで「書籍が出版されます」と宣伝しましたが、この3月、無事に出版されました。
執筆・編集期間約2年。
タイトルは、
「事例と対話で学ぶ『いじめ』の法的対応」(エイデル研究所 発行)です。
子どもの権利委員会の中でも、いじめ調査の第三者委員会やいじめの対応に興味のある弁護士が有志として「いじめ問題研究会」を作って集まり、執筆したものです。
せっかくですので、内容をご紹介させて頂きます。
本書は、平成25年6月に成立した「いじめ防止対策推進法」と、
同法に基づく「いじめ」へのあるべき対応を、法的に解説するものです。
1つめの特徴は「逐条解説ではない」です。
重要と思われる条文を取り上げ、基本的な解説を行っています。
教師、校長、保護者など、子どもに関わる様々な立場から出される質問に回答・解説を行う体裁になっています。
2つめの特徴は「事例検討を中心にしている」です。
執筆者が過去経験した事例をもとに(当然、実際の事案から改変しています。)、その事例でどのように対応するかを実践的に学んで頂けます。
3つめ、そして最大の特徴は、「対話で学ぶ」です。
保護者から相談を受ける立場(P弁護士)、
学校(教育委員会)から相談を受ける立場(T弁護士)、
子どもの権利を中心に調整して意見を述べる立場(C教授)、
三者の立場から対話形式で検討を加えています。
議論を分かりやすくするため、
少し誇張した表現もあるかもしれませんが、
学校関係者のみならず、
いじめに悩んでおられる保護者・子どもの立場からも、参考にして頂ける内容です。
保護者の立場であれば、P弁護士を中心に、
学校や教育委員会の立場であれば、T弁護士を中心に、
内容を読んで頂くと、短時間で内容を把握することも可能ではないでしょうか。
P弁護士、T弁護士、C教授によるディスカッションも含まれており、実務での最新の問題意識も学んで頂けます。
最後に、いじめ防止対策推進法施行3年後の見直しに向けた、弁護士からの提言を記載していることも特徴の1つです。
いじめ防止対策推進法は、被害者となる子どもを中心に据えた点で、その意義は大きいものです。
しかし、一方で、「いじめ」という非常に難しい事態への対応として、まだまだ検討すべきところも見受けられるように感じられます。
そのような点を、実務家の立場で指摘させて頂きました。
内容はそれなりのレベルと自負しておりますが、
180頁強とコンパクトにまとめております。
今後、教育現場や保護者、子どもたち、多くの方々に読んで頂ければ、執筆者一同、これほど嬉しいことはありません。
既に国の基本方針の見直しは3月に発表されましたが、今後も、法律の見直しの参考になれば、と思います。
現在、子どもの権利委員会では、
いじめ問題に止まらず、さらに広く、学校と保護者との関係のあり方にまで議論が展開しており、
この秋にシンポジウムが実施される予定です。
また、一部の有志では「いじめ」に関する出張授業も行っています(これも、できれば、さらに拡大させていきたいです)。
本書が気になられた方は、
Amazonや楽天ブックスでも取り扱いのあるほか、
お近くの書店等でもご注文下さい。
http://www.eidell.co.jp/book/?p=5186