先週金曜日は初めてのプレミアム・フライデーでした。
プレミアム・フライデーの目指すところは,「個人が幸せや楽しさを感じられる体験や,そのための時間の創出を促すこと」(経済産業省)だそうですが,どうも私には無縁のイベントでした。
無縁だった原因は言うまでもなく仕事があったからで,仕事が多く長時間労働が避けられない自分にはプレミアム・フライデーなど当分無縁だろうと思います。
ただ,私も今のままで良いとは思っておらず,労働時間は減らさないといけないとは思っています。
ところで,長時間労働の原因の一つはメールにあるのではないかと思っています。
メールは,便利であるが同時に非常に厄介です。
必要な情報を素早く得たり送ったりすることが出来ますが,同時に,素早く返信しなければならないし,何より送信内容に気を遣います。
メールでは表情,動作,声色などの非言語的な情報を伝えられないため,相手に誤解を生じさせないよう,送信内容に気を遣わなければいけません。
そのため送信内容を考えるのに時間を取られ,結果的に長時間労働の一因になっているように思います。
そこで,メールの送受信にかかる時間をもう少し短くして,労働時間を短くできないだろうか?と思い,まずは自分自身のメールの送受信の状況について調べみることにしました。
送受信の状況がわかれば対策の立てようもあるのではないだろうか,と思うのです。
具体的な調査の方法は,直近500件の送信メール・受信メール(メールマガジンの類や削除したものを除く。)の送受信時間・宛先・題名のデータを取りだし(ただし,年末年始は件数が非常に少ないため除く。),それをExcelに書き出し,そのExcelのデータからグラフを書いたり,Excelの分析ツールを使って分析をしてみたりするという方法です。
その結果は以下のとおりです。
(係数が-になっている部分があるので,数が少ないかどこか間違えたかも…)
これらの結果からはわかることがあります。
まず受信。
件数は曜日によって変わります。
曜日の影響度が極めて大きく,今回,比較するために要因として取り上げてみた天気や気温と比べても非常に大きい。
件数が多いのは月曜日,火曜日と金曜日です。
また時間によっても件数が変わります。
午前9時台と午後5時台が一番多く,件数を折れ線グラフにするとM字型になります。
他方,送信。
曜日の影響度が受信ほど大きくありません。
天気の影響度と変わらないくらいです。
受信と同様,時間によっても件数が変わり午前9時台は多いものの,それ以降は受信と違って減っていく一方です。
受信メールと送信メールの件数を比べると,自分以外の他人のメールの送り方(受信メール)と自分のメールの送り方(送信メール)の違いが判るかもしれません。
違いは以下のとおりです。
・他人は月曜,火曜と金曜に多いが,自分はそうでもない。
・他人は天気の影響をほとんど受けないが,自分は受けているかもしれない。
・他人は午前9時台と午後5時台に多いが,自分は午前9時台は多いものの,それ以降は件数は減る一方である。
この違いを説明する仮説はいろいろ考えられます。
仮説の一つ目は,自分は,他人がもう一頑張りしている夕方5時頃にダラけている上に,天気がよくなると外に出てしまって事務所で仕事をしなくなるため天気の影響がメールの件数に表れているという仮説です。
たしかに,少し心当たりがあります。
二つ目は,自分があまり休みを取れていないという仮説。
すなわち,他人が月曜・金曜と午前9時台・午後5時台に件数が多いのは,休み明け・休み前や出勤後・退勤前にメールを片付けているからではないかと予想されます。
対して,自分の場合は,休みが取れておらず,休み明け・休み前や出勤前・退勤後という状況が失われているのかもしれません。
もっとも,自分も月曜日と午前9時台という休み明けの時間帯には送信件数が若干多くなっています。しかし,この時間帯に送っているメールは,実は,夜中や土日に下書きしたもので,単に夜中や土日にメールを送るのは失礼なので,メールのオプションを使って月曜日や午前9時に送信するように設定しているだけです。
メール・アプリケーションから取りだすデータを「送信時間」ではなく「本文を作成した時間」にすると,おそらく,曜日や時間の影響度はもっと小さくなるでしょう。
つまり,自分は,休みが取れていないため休み明け・休み前や出勤前・出勤後という状況がなく,休みなく四六時中メールを送り続けているのではないかと思われます。
ただ,いずれも仮説の域を出ず,もう少し検証が必要だと思います。
今回の調査結果を活用する方法について考えてみました。
まずは,卑近なところでは,仕事の仕方として,月曜・火曜・金曜や午前9時台・午後5時台に用事を入れない,ということです。
この時間帯はメールも多く,また今回は割愛しましたが電話の件数も非常に多いのです。この時間帯を空けておいてメールや電話に対処することで,その後の時間帯を集中力と時間を要する仕事に充てることができます。
つぎに,まだまだ検証が必要ですが,残業代請求事件や過労死の事件などで,労働時間を推測する手段として活用できる可能性はないでしょうか。
これらの事件では労働時間を立証する証拠としてメールが出てくることが時々ありますが,メールはその時間に送ったという「点」の証拠でしかありません。
しかし,これを分析して,「送信メールの件数に対する曜日・時間の影響度が少なくなっている場合には,その労働者があまり休みを取れていなかったことになる。」という経験則が認められれば,長時間労働が恒常化していたことの「線」の証拠として使うことができないでしょうか。
そうはいっても,こんなことは統計などのズブの素人の思い付きに過ぎないので,もう少し考えてみたいと思います。
最後に,私のような自営業者は半ば好き好んで働いているからまだ納得できますが,使用者の命令によって好むと好まざるとにかかわらず労働を義務付けられるような長時間労働は絶対に許されてはなりません。
今回の調査を取っ掛かりにして,長時間労働についても研究を進めたいと思います。