Q 会社の同僚男性が上司から理不尽なことでしかられるなど「パワハラ」を受けています。私たちも会社ににらまれたくないので、声を上げるのも難しいです。こうした問題にどう対応したらよいのでしょうか。
A パワハラという言葉は、近年、職場でのいじめを示すものとして多用されるようになりましたが、法的な定義はまだありません。概念のあいまいさゆえに、上司が必要な指導をすることも難しくなったとも言われています。
しかし、今回のケースは典型的な理不尽ないじめであるとして、対策を考えてみましょう。
まず、同僚の方に「あれは指導ではなくパワハラで不当。周りはみんなそう思って心配していますよ」というメッセージだけでも送ってあげてください。自分が孤立しているのではないと分かれば、とても気持ちが楽になるはずです。
そして同僚の方は、とにかくいじめの証拠を残すことが大事です。上司から受け取ったメールの内容を自宅のパソコンに転送したり、理不尽な怒られ方をした時の罵声を録音するなどしてください。
出社がつらい場合は、決定的なダメージを受けてしまう前に精神科を受診して診断書をもらい、休職するのも選択肢の一つです。
また、経済的・精神的な余裕を確保することが重要です。社会保険や共済組合から傷病手当を受給したり、更には労災保険の申請をするようにしてください。
弁護士に早めに相談してくだされば、裁判や労働審判も視野に入れて対策を立てられます。大阪弁護士会館では労働法律相談(予約電話番号06・6364・1248)を実施しています。資力が一定以下の方は、無料で利用できます。
さて、根本的な問題はパワハラ上司の存在ですから、職場環境の改善を求めるためには労働組合への相談・加入をお勧めします。
職場内の労働組合だけでなく、個人でも加入できる地域ユニオンなどを探してみましょう。労働組合は使用者と団体交渉ができ、使用者が組合員に不利益な扱いをすれば、不当労働行為救済制度で保護されます。労働組合には、あなたも一緒にぜひ加入してください。
〈回答・大橋さゆり弁護士(大阪弁護士会所属)〉
2013年5月18日 毎日新聞大阪版朝刊掲載