5月26日(日)から6月2日(日)まで, 日本弁護士連合会業務改革委員会スポーツ・エンターテインメント法促進プロジェクトチーム(長い…)の関係で,ヨーロッパにおけるスポーツ界におけるガバナンスの実情を調査するための視察に行ってきましたのでご報告いたします。
日本では体罰や補助金の不正受給などスポーツ団体におけるガバナンス体制が問われるような問題が起きており,スポーツ団体の体制がまずいんじゃないかという話が良く出てきています。
日本は現在2020年のオリンピックの候補地にも名乗りをあげており, スポーツ界でのガバナンス体制を確立することは急務ともいえます。
そこで,少なくとも日本よりはいろいろと進んでいるであろう(実際に進んでいる) ヨーロッパ各国の実情を調査することで,日本におけるあるべきガバナンス体制を探っていこうというのが今回の目的です。
また,日弁連では,11月8日(金)に神戸で業務改革シンポジウムというものを開催する予定であり, その中で今回のPTが分科会を開催し,スポーツ団体におけるガバナンスを中心とした講演やパネルディスカッションを 行う予定ですので,そのための調査でもあります。
私はもともと日弁連の業革には何にもからんでいなかったのですが,スポーツの問題にからんでいるという ことと,業革シンポ開催地の神戸に近い関西からも参加した方がいいというよく分からない理由, そして直前に声かけをして頂いたにもかかわらず奇跡的に調査予定日の1週間空いていたということで, これは行った方がいいだろうと思って急きょ参加することになりました。
ヨーロッパでは,オランダのアムステルダムとハーグ,その後飛行機でイギリスに渡ってロンドン, そこからユーロスター(鉄道)に乗ってベルギーのブリュッセルに行き,ブリュッセル滞在3時間でまた鉄道でパリに行くという強行軍でした。
普通の視察では,1日は観光の日があったり,夜は空いていたりするのが多いようですが, 今回の視察は朝から夜まで予定びっしり,イギリスでは夜12時を超えてもミーティングをしているという ものすごいハードスケジュールでした。
しかも,ミーティングは当然英語ですので,通訳が入るとはいっても通訳を待っていては理解が追いつかないということで, 何とか英語を聞き分けながら専門的な内容を理解し,さらにそれをまとめて質問もするということをしなければならず, 頭から煙をはきながらミーティングに参加するという状態でしたので,それが朝から晩までというのが連日続き, さらに時差ぼけと移動疲れが重なって相当ハードな視察となりました。
しかし,一緒に行った先生方は私よりもずっと年齢が上のスポーツと法律の世界での重鎮の先生方ばかり(日本でスポーツと法律に詳しい弁護士はまだほとんどいないのですが,そのほとんどが今回のPTのメンバーです。)。
ペーペーの私がへこたれるわけには行かないので,辻元清美氏ばりに「へこたれへん!」と言いつつなんとかがんばりました。
それに今回の視察は航空券の手配やホテルの手配などすべて自分で行うということで, その点でも非常に勉強になりました(ちなみに費用は全部自腹です。)。
やはりヨーロッパは日本よりスポーツ界におけるガバナンス体制がかなり進んでいましたので, これから日本のスポーツ界のガバナンス確率に向けて非常に参考になりました。
そこで分かったのは,ヨーロッパにおいても,最初はスポーツ界になぜガバナンスが必要なのかというような段階を経て, ガバナンスの必要性を理解してもらった上でガバナンス体制の構築に入り,より良いガバナンスのあり方を考えていくという 経過をたどったということです。
日本では,まだまだスポーツ界になぜガバナンスが必要なのか?スポーツ団体ではそのスポーツで活躍した人が 頂点に立って,先輩方の言うことを聞いていればいいではないかという感覚が強くあるように思います。
スポーツ界により良いガバナンス体制を築くことは,体罰問題などの悲しい問題をなくすことでもあり, 皆がよりスポーツを楽しむことができる素地を築くことでもあると思います。 東京オリンピックが実現した場合はもちろん,そうでない場合でも,これからスポーツ界のガバナンス体制の確立に 向けて,今回の視察の内容を踏まえて我々ができることを進めて行きたいと思います。
また,今回ヨーロッパ各国の著名なスポーツ弁護士やスポーツ界のガバナンスの権威にたくさんお会いすることが できました。
ヨーロッパでもまだ数は少ないですが,「スポーツ弁護士」という仕事はどんどん広がっているようです。 私もこれから日本のスポーツ弁護士としてがんばっていかなければという思いを強くしましたので,これからは私のことを 『スポ弁』と呼んで下さい…。