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Channel: 弁護士の放課後 ほな行こか~(^o^)丿
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松本清張ベスト

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先日,書店に行くと,新潮社より,「松本清張傑作選」(全六巻)が発売されていた。

 

浅田次郎,宮部みゆきら6人が,松本清張の作品を,それぞれ独自の視点でセレクトしたというものである。


早速,6冊買って読んでみた。短編が収録されており,ほとんどの作品は読んだことがあったが,改めて読むと,やはり面白い。ストーリーに引き込まれ,電車に乗っていると,もう駅に着いてしまったのという感じ。

エンディングが鮮やかで,思わずうなってしまうほど。
 
この機にほかの清張の短編を読み返してみて,ベスト5をチョイスしてみた。


  1位 「真贋の森」
  2位 「陸行水行」
  3位 「危険な斜面」
  4位 「顔」
  5位 「共犯者」


ちなみに,長編のマイベストは,「わるいやつら」である。


弁護士劇団ななころび

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突然ですが、皆さんは「弁護士劇団ななころび」という劇団をご存じでしょうか。
知らないですよね。
知らない方が当然だと思います、知ってたら超マニアックです。


この「弁護士劇団ななころび」というのは、もともと弁護士会での主に遺言・相続に関するイベントで寸劇をするために弁護士会内の有志の弁護士が集まってできたものです。

 

例年、4月15日と11月15日の「良い遺言(いごん)の日」と「いい遺言(いごん)の日」に弁護士会で記念イベントをするのですが、その中で寸劇やコメディーなどを行って地道に活動してきました。

 

最近では、遺言・相続分野にとどまらず、中小企業支援センターの発足イベントでたむらけんじさんと一緒に寸劇をしたり、弁護士会内にとどまらず読売新聞本社内で同社主催のイベントに出演したりと活動の幅を増やしつつあります。

メンバーはすべて弁護士であり、演劇についても基本的に素人です。

しかも皆当然普段は本業をしていますので、練習時間も限られています。

そんな中、楽しいことが好きというメンバーが集まってわいわい楽しくやっています。

 

昨日がちょうど4月15日で「良い遺言(いごん)の日」でした。

そこで、またまた劇団ななころびで出演をしてきましたので今回はそのご報告です。

 

私は最近この劇団の活動に皆勤賞で参加しており、 昨年の11月15日の「いい遺言の日」でも劇団でコメディをしたのですが、 正直その時は少し準備が足らず、今までやったイベントの焼き直しで 皆がなぁなぁでイベントをしたようなところがありました。

そこで、イベント終了後、これではいけないということで、 ちょっと気合いを入れ直して本格的な劇をやろうと他の劇団員に声かけをしたのです。

 

そうしたところ、シナリオ担当の弁護士の先生がものすごくがんばってくださり、 想像以上のすごいシナリオ(全20ページ!)が完成しました。

それからは、限られた時間の中で本読み(台本の読み合わせ)や リハーサルなどをくり返し、昨日の本番に至りました。

最初は覚えるセリフが多くて、演技どころではなく、本番も大丈夫かと 心配していたのですが、そこは皆さすが弁護士で、本番には間に合わせてきて セリフもほぼ完璧な状態になりました。

thumb_dsc_0057.jpg

本番には、セリフを覚えるだけでなく、完全に役になりきった演技まで行い、 完璧なシナリオと相まって見ていたお客さんの中には感動でほろりと涙ぐむ方も おられ、40分以上の劇でしたら皆さんあきずに見て頂きました。

 

正直言ってプロの俳優の方には到底及びませんが、 それなりに見ていただけるものができたのではないかと思います。

練習をがんばった分,劇がおわった後の高揚感もほどよくて、 久しぶりにいい気分に浸ることができました。

 

「弁護士劇団ななころび」は完全にボランティアの有志での活動であり、 セリフ覚えや練習のために結構な時間がとられますので通常の業務を する上では弊害はあってもいいことはありません。

それでもこんなことをやるような弁護士もいるんやと分かってもらうことで 弁護士の敷居を下げることにも繋がると思いますし、 弁護士会の広報にも少しは役立てているのではないかと思います。

それに、やっている我々もがんばって練習をする中で劇団員同士の 結束も高まりますし、演じることは証人尋問などでの度胸にも繋がりますから、 悪いことばかりではないと思っています。

 

あんな劇団は要らないと言われないかぎり、これからもできる範囲で がんばって少しでも皆さんに喜んでいただけたらと思います。

 

というわけで「劇団ななころび」はいつでもどんなところで出演することは可能ですので テレビ局から町の公民館までオファーをお待ちしております。

弁護士の劇団員も随時募集中ですので興味のある方はお声かけください。

水俣病と最高裁判所

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4月の新年度からはや2週間半が経ちました。

異動,転勤等された方は,ちょうど環境に慣れたころでしょうか。

 

さて,水俣病訴訟につき,先日,最高裁判所が画期的な判断を下しました。

行政の裁量を規制し,行政の認定基準によらずして,個別具体的に患者認定をするようにとの判断をしたのです。

 

消極的司法が動くほど,水俣病における行政の対応はあまりにひどいものであったのだと痛感すると同時に,最高裁判所が,「憲法の番人」,「人権の最後の砦」であることを思い出しました。

 

経済成長の名の下に,犠牲になり,病気に苦しみ,さらに,行政の対応に憤懣やるかたなくお亡くなりになった方々を思うと,無念でありません。

 

この判決を受けて,不当な行政の対応については,毅然と闘う弁護士でありたい,と強く心に思いました。

 

 

 

 

電子書籍がやってきた

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少し前にブログで話題に挙がっていましたが、

Kindleを買いました。

 

来たばかりで、全然使いこなしていなくて、

タブレットPC代わりに近い状態ですが、

試しに、無料の小説ばかり、いくつかダウンロードしてみました。

著作権の関係でしょうか、

古い著作は無料のものもありますね。

 

久しぶりに「ドグラ・マグラ」や「黒死館殺人事件」(注:古典といって良い、ミステリィです。)なんかを読んでみようと思います。

 

まだ単行本でしか刊行されていない、

持ち運びにはちょっと重い本などには、

ちょうど良さそうですね。

分冊になっている場合にも、

持ち運びには便利でしょうね。

(上巻が読み終わりそうなときに、上下巻を持ち運んだり、下巻を持ってないという事態はさけられるかも)

 

もっとも、値段は、まだまだ、紙媒体の書籍と大きく変わらないようです。

もちろん中には、かなりお得な価格のものもあるようですが、

もう少し安くなってくれると、もっと衝動的に買ってしまうこともありそうかも。

 

初心者なりの感想でした。

 

とは言え、

いったん電源を入れて・・・という動作が不要な手軽さから、紙媒体の書籍がなくなることもなさそうですね。

今後も、紙媒体の書籍は自宅を占拠しそうです。

 

さて、話は変わり、

本日は4月22日、良い夫婦の日だそうです。

11月22日とかぶってるやん?とか思わないでもないですが、

いよいよ大型連休も近くなってきました。

 

このブログに何回書くねん、というツッコミはさておき、

5月11日(土)には、毎年恒例の

「子どもの日記念無料法律相談」

があります。

時間は午前10時から午後4時30分まで、

電話番号は

06-6364-6251

です。

臨床心理士の方々と一緒に、電話でも、来館での相談も受け付けておりますので、多数のご相談をお待ちしております。

Googleサジェスト判決の報道に接して

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 検索エンジンのGoogleには,入力途中に検索ワード候補を自動表示する「サジェスト機能」があります。例えば,「ホリエモン」と入力すると,「ホリエモン ブログ 獄中」など,数組の検索ワード候補が表示され,クリックすると,その検索ワードによる検索結果が表示されます。

 

 この機能に関し,ある個人が米国Google社を訴えていた事件の判決が,4月15日に出ました。原告は,自分の氏名をGoogleの検索ウインドウに入力すると,身に覚えのない犯罪行為への関与を連想させる単語が表示されることから,名誉棄損が成立するとして,表示の差止めと損害賠償を求めていたところ,東京地裁は,Google社に対し,差止めと慰謝料30万円の支払いを命じたそうです。

 

 確かに,「大江弁護士」と検索ウインドウに入力したときに「大江弁護士 業務上横領」という検索ワード候補が表示されたら,普通の人は,大江弁護士が業務上横領をしたか,その嫌疑がかけられていると思うでしょうから,そのような検索ワード候補の表示自体が,大江弁護士の社会的評価を低下させるといえるように思います。

 

 しかし,本来,検索ワード候補としての「大江弁護士 業務上横領」が意味するのは,「『大江弁護士』と『業務上横領』という2つのキーワードに関連するページを探して下さい」という,検索エンジンに対する指令のはずであり,Google社が「大江弁護士が業務上横領をした」と言っているわけではないのに,ユーザーの勝手な解釈により大江弁護士の社会的評価が低下したことの責任をGoogle社にとらせようというのは,どこかおかしいような気もします。

 

 そもそも今回の判決は,検索ワード候補の表示自体が名誉棄損にあたるといっているのではなく,表示された検索結果の中に,名誉を棄損する内容のコンテンツがあり,そのようなコンテンツへのアクセスを容易にしたことまでを含めて,名誉棄損が成立すると言っているのかもしれません。このあたりは,判決文を読んでみないと分かりませんが,名誉を棄損する内容のコンテンツを自ら発信しているわけではなく,様々なコンテンツへの道案内をしているにすぎないGoogle社のサービスを違法としてしまうことには,違和感を覚えます。今後の事件の進行に注目していきたいと思います。

真っ最中

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現在,司法試験の真っ最中です。

 

自分が受験した当時を思い出しても,真ん中の休みの1日を含め,全5日間にわたる試験のため,体力的にも精神的にもハードな試験だったという記憶しかありません。

法科大学院で修了生として度々講演をさせて頂いたり,後輩から勉強の相談を受けている関係もあって,受験生に知り合いも多いため,応援せずにはいられません。

まぁもしこのブログを見てくれている受験生がいたら,ヤマは当てられませんので,勉強して頂いた方が良いのかもしれませんが・・・。

 

気付けなかった論点に試験後に気付いてしまったり,時間切れで書きたかったことが満足に書けていなかったり,多かれ少なかれ,大半の合格者も途中で何らかの後悔を覚えつつ,最後まで諦めなかった結果,合格を勝ち取っています。

過ぎたことを必要以上に後悔せず,きちんと気持ちを切り替えて次の課題に全力で取り組むという姿勢は,司法試験に限らず,きっと弁護士をはじめとする法律家になってからも重要な資質だと思います。残り半分の2日間もその時できるベストを尽くして頑張って下さい!!

 

『真ッ最中』というモナカが新発売される妄想をしてしまっている,しょうもない先輩より

リーガル・ハイ!! 法曹ドラマもの

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遂に,決定しましたね!!

法廷コメディドタバタドラマ『リーガル・ハイ』の第2クール!!

すっごく嬉しいニュースです。

 

こほん。

えー,『リーガル・ハイ』とは,

昨年放送された弁護士もののドラマ。

社会正義に燃える若手弁護士黛真智子(新垣結衣ちゃん)は,ある事件をきっかけに,訴訟勝率100%と言われる,偏屈・毒舌家の敏腕弁護士古美門研介(堺雅人さん)と出会うことに。

古美門事務所のスーパー事務員服部さん(里見浩太朗さん),謎の青年加賀蘭丸(田口淳之介さん)を巻き込みながら,二人が法律紛争にバタバタ立ち向かっていく,超ハイテンションコメディ!!

です。

 

最近ドラマを見ることはめっきり少なくなってきましたが,実家に帰ったとき録画されていたリーガル・ハイをたまたま見て,ストンとはまってしまいました。

ちょっと考えさせられ,ときたまホロリとする部分もあり,何より笑いをがっつり取っていく!

面白い。(ドラマですので,超脚色が入っていますが,面白いものは面白いんです)

 

 

一人で「こんなのないない」,「法律用語の読み方が!」,「それいいの?」,「あーわかる」,「いつ他の事件処理してるんだろう」,「書面を書くことないのかな?」とつっこみながら見ていました。

あと,「古美門先生の下で働くのはすっごい大変そうだなー」とか。

(古美門先生,ワガママだし,悪態・毒舌つきまくりだが,ごもっともと的を得ていることもあるし,相手するのが大変そう)

 

『社会正義』ではどうにもならない,現実社会いろんな『嘘』や『思惑』,『策略』があるんだよー☆(ドラマの雰囲気的にこんな感じ)と皮肉が込められつつ,刑事事件,離婚,親権問題,損害賠償請求,遺言・・・等々様々な法律トピックを鮮やかなコメディも仕上げています。

 

現実世界におけるドロドロな部分を取り上げていることが多いのですが,こんなにもコメディにできるなんて,脚本すごい!

 

ドラマの中で新垣結衣ちゃんが披露したモノマネは,意外すぎて爆笑です!

古美門先生(堺雅人さん)のマシンガントークも圧巻。ただ,私は現実社会であれほど喋る弁護士には,まだお会いしたことはありません。。。

 

弁護士もののドラマは今までたくさん制作されてきたと思いますが,リーガル・ハイは「法廷」がよく出てきて,弁護士がよく喋るので,私的には,法曹ものの代表的ドラマだなぁという印象です。

 

法律紛争のトピックも豊富ですし,まだ見ていない方は是非第2クールから,もしくはDVDでご覧いただくのもよいのではないでしょうか。

 

一度,この話題をどうしても取り上げたかったので,長々と書いてしまいました・・・。

 

私のお気に入りの話は,随所に犬神家の一族パロディがちりばめられていた,

第7話「骨肉の争い!醤油一族に潜む秘密と嘘」です。

 

簡易裁判所における証人尋問

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このたび大阪弁護士会の若手ブロガーの一員となりました葉野彩子と申します。

 

今回は記念すべき1回目の投稿ですので、

何を書こうか随分と迷ったのですが、

まぁ最初くらいはまじめに書いてもバチは当たらないだろう・・・ということで、

先日経験した簡易裁判所での証人尋問について、

地方裁判所と異なる点をいくつか書かせていただこうと思います。

 

1.司法委員の発問

簡易裁判所では、裁判官の左右に1人ずつ司法委員がおり、裁判官が許した場合に限って尋問されている当事者・証人に対して直接質問を発することができます(民事訴訟法規則172条)

 

地裁でも簡裁でも

①主尋問

②反対尋問

③再主尋問

+随時の補充尋問

 

・・・という順序は同じなのですが、

①と②がメインで③や補充尋問が大幅に長引くことはあまりありません(もちろん事案にもよりますが)。

 

しかし、簡易裁判所では司法委員の質問が必要以上に長引くことがあるように思います。

また、司法委員になるために特別な資格は必要なく、司法委員は必ずしも法律のプロではありませんので、争点に関係のない質問や重複する質問がなされることもあります。

 

勿論、すべての司法委員がそのような質問をするとは限りませんし、司法委員の趣旨が、一般市民の良識を紛争解決に役立てよう、ということなのでそれが悪いこととも限らないのですが、

地裁の裁判官が行う質問とは随分違うな、というのが私の印象です。

 

そもそも司法委員の方は、いつどこでどの程度記録を読んでおられるのでしょうか・・・(゜_。)??

素朴な疑問です。

 

明確な対策方法があるわけではありませんが、

・ある程度時間の余裕を見る

・誤導、重複質問に留意し、必要であれば異議を述べる

ことに注意を払うことが必要かと思います。

 

 

2.調書の記載への省略

簡易裁判所では、当事者・証人の尋問を行った場合、裁判官が許可をすると当事者・証人の陳述の結果の記載が調書の記載から省略されてしまいます(民事訴訟規則170条1項)。

 

地裁で尋問を行った場合はこのような省略はできませんので、

尋問の内容が必ず調書、すなわち訴訟記録の一部として残ることになります。

(民事訴訟規則68条1項により録音テープを調書に代える場合はもちろんあります。)

 

つまり、この場合には、上訴されたときは

「第1審でこういう尋問がされましたよ。」

というのが訴訟記録の形で残って上訴審に上がっていくわけです。

 

しかし、簡裁でこのような省略がされてしまうと、訴訟記録という形では残りません。

 

この場合

①上訴審で再度証人尋問をする

    or

②簡裁の録音テープを複製してもらって反訳をし、新たに証拠として提出する

 

ということが考えられますがどちらもかなり手間がかかってしまいます。

 

 

条文上は裁判官が省略を許可するときに「意見を述べることができる」(民事訴訟規則170条1項)のですが、

電話で書記官の方に尋ねたところ、簡裁の運用上省略しないことはほとんどない、ということでした・・・。

 

なので、事実上省略を阻止するのは困難だと思われます。

 

 

なお、録音テープの複製をしてもらうには

①複製申請書

②空のCD-RW

③返信用封筒

をセットにして簡易裁判所に提出することが必要です。

複製申請書は書記官か事務官の方に言えばくださいます。

 

こちらも調書に記載してもらうために有効な手段があるわけではないのですが、

・事前に書記官さんに電話でお願いをしてみる

・条文通り意見を述べてみる

 

調書に残らないことを前提として

・尋問以外の立証により力を入れる

ことが考えられるかと思います。

 

 

訴訟記録として残らない、ということは、逆に言うと、規170条1項で調書への記載を省略されてしまった場合、

その反訳の提出などの事情がないのに、尋問の内容を上訴審で判決の基礎にしてしまうと、

それは手続違反になりますので、(東京高裁H24.7.25判時2165-84参照)

代理人としては、調書への記載が省略されたはずの不利な尋問結果が判決理由の中で引用されていた場合、

「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反」(民事訴訟法312条3項)だ!として上告することも考えられることになります。

 

 

個人的には、地裁で扱われているような事件で単に訴額が小さいだけ、というような事件については、

簡裁はもっと裁量移送をするか、調書の記載に関する運用を柔軟にするとかして対応してくれればいいのになぁ、と思っているところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


修徳学院を訪ねて

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 はじめまして。新たに若手ブロガーの一員に加わりました、稲谷徳子です。

 駆け出しの弁護士として、また、いやいや期真っ盛りの2歳の男の子の母として、毎日睡眠不足の日々を送っております。

 

 私は今大阪弁護士会の子どもの権利委員会に所属し、弁護士として、また母として、一人でも多くの子どもを幸せにしたいと思いながら活動しています。そこで、このブログでは、子どもを取り巻く法的環境や、社会的環境に接して感じたことを綴ってみたいと思います。とはいえ、弁護士としても母親としてもまだまだ新米ですので、それほど含蓄のあることが書けるわけではないのですが。

 

 第一回目の今回は、児童自立支援施設である大阪府立修徳学院の讃母の式典と、その後の園遊会に参加した時のことを書いてみようと思います。

 お話の前提として、児童自立支援施設について説明しようと思います。児童自立支援施設とは、対象となる少年を入所させ、生活上の指導を行い、その自立を支援することを目的とする、児童福祉法上に定められた児童福祉施設の一つです。主に小学生高学年くらいから中学生くらいの子どもたちが入所しており、入所経緯は様々ですが、少年自身が抱える問題のためだけではなく、家族のことで課題を抱えて入所する少年もいます。修徳では、お父さんとお母さんの役割を果たす寮父さん・寮母さんのもと、親元を離れた子ども達が男女別の集団(1寮10人くらい)で生活指導をうけながら、施設内にある学校に通って規律を身につけています。

 

 讃母の式典は、ちょうど母の日に行われます。施設で生活を送っている生徒達が、修徳に入って自分たちの身の回りのこと(洗濯・掃除・皿洗いなど)を自分たち自身の力でするようになって、自分の母や家族に対して思ったことなどを、詩や短歌、作文の形で創作し、家族の前で一人ずつ発表していきます。

母の日らしく、保護者への花束贈呈も行われます。

作品の内容は様々ですが、親に迷惑をかけたことを自ら振り返る真摯な反省の気持ち、親の辛さ大変さを思いやるものや、面会にきてくれることの感謝の気持ち、今まで素直にいえなかったありがとうの気持ちをやっと言葉にできたということ、家に帰ったら親孝行したいという気持ちなどが表現されていて、思わず切なくなってしまう作品がたくさんありました。ここで発表された作品は「みかえり」という文集に掲載され、配布もされていますので、皆さんも手に取る機会があれば、是非読んでみて下さい。

 讃母の式典のあとは、先生方が手作りされるうどんやおそば、たこせんなどの屋台が出て、600円で全ての屋台が楽しめるという超お得なお祭りが始まります。舞台で出し物をしたり、学院内に生け花の作品を展示していたりもして文化祭のようです。

 私は、修習生のころにも一度、修徳学院に来たことがあり、今回で2度目の訪問になります。その時は、通常の学院生活を一緒に体験したのですが、前回とは違い、生徒達は、久しぶりに家族と再会した喜びやお祭りの雰囲気で、表情が明るく、とても楽しそうで、笑顔でいるのがとても印象的でした。また、以前別の施設で少年を担当していた先生方も出席しておられ、かつての自分の生徒が修徳で頑張っていって欲しいと励ます姿も見られました。生徒全員の保護者が参加できているわけではないですが、こうした子どもたちの笑顔を見て、今後も家族で笑顔が取り戻せるように頑張って活動していきたいなと思いました。

みなさんも見学する機会があれば訪ねてみるとよいかもしれませんね。

さまざまな窓口の活用を-体罰にあったら- <法律のツボ>

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Q 体罰を巡るニュースを読むことが多いのですが、万が一、子どもが体罰にあったとしたら、どのように対応すればいいのでしょうか。

 

 

A 学校での体罰は学校教育法11条で禁止されています。スポーツのクラブなどでの体罰も指導の名の下に行われたものであったとしても、暴力にほかならず明確に違法です。「厳しい指導」と「体罰・暴力を伴う指導」はまったく異なるもので、体罰や暴力は、子どもの人権を侵害し、違法なものです。

 体罰を受けた場合などの対応としては、教師や学校長、クラブの運営責任者らに対し、体罰の事実を申告し、調査・説明や改善要求を行うことが基本となります。これまで、スポーツ指導の中では、「熱心な指導」の名の下に、時に体罰が事実上容認されてきた環境があり・そうした環境の中では、申告すること自体が困難な面がありました。

 しかし、高校の部活動の体罰事件や報道を通じて、体罰が許されないことが明確に認知されるようになっています。体罰防止に向けてのさまざまな取り組みも始まっており、積極的な対応が期待できる状況が生まれてきています。

直接、学校などに相談することが難しいと感じる場合、学校に改善する意識がないと思う場合には、各地の教育委員会や上部の競技団体への相談、通報という方法があります。

 既に体罰やいじめなどについて、特別の相談窓口、専門家らを派遣する被害者救済システムやサポートチームを設けている教育委員会もあります。事実調査や改善指導のために弁護士などで構成する第三者委員会などを設置する取り組みも始まっています。

 独立した第三者機関に救済を求める方法もあります。法務局の人権擁護委員や弁護士会の人権擁護委員会への救済申し立てなども可能です。兵庫県川西市のように、法的な調査・勧告・命令権限などが認められたオンブズパーソン制度のある自治体では、オンブズパーソンに救済を申し立てることも有効です。

 大阪弁護士会では、「子どもの人権110番」(06・6364・6251、毎週水曜日午後3~5時、第2木曜日午後6~8時)を開設しています。子どもの人権問題に詳しい弁護士が待機し、いじめ、体罰、子どもの人権に関する法律相談を受け付けています。こうした窓口も活用してください。

 

      〈回答・峯本耕治弁護士=(大阪弁護士会所属)〉 

                     2013年4月6日 毎日新聞大阪版朝刊掲載

アンチエイジング・スーパースター

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前注:本稿は,マリリンマンソンのアンチクライストスーパースターという楽曲を聴きながら読むと,30歳を目前にした僕の心象風景がご理解いただけるかもしれません。

 

先日,中学校の同窓会をしました。

われわれ1983年生まれは,ディズニーランドやファミコンと同い年,今年で30歳を迎えます。

10数年ぶりに会う旧友は,それぞれ結婚したり,子どもがいたり,大人になっていました。

僕が子どものころ思い描いていた30歳・・・・

20代で結婚して,30歳になるころには子どもも大きくなって,幸せな家庭・・・・

 

しかし,今の僕には何もない。

独身貴族といえば聞こえはいいが,要はただの孤独な大人だ。

同じく30歳になる彼らにはあって,なぜ僕にはないのか。

 

談笑しながら,ビールを飲みながらも,一抹の敗北感。

そこで,あることに気付きました。

自分の理想の30歳になれないのなら,

僕はただ1人,30歳になることを拒絶すればよいのだと。

 

その場で僕は宣言しました。

「君たちは今年30歳になる。しかし,僕は30歳になることを拒絶する」

 

そこから僕のアンチエイジング生活がはじまりました。

 

若さを保つ方法その1。

肌の若々しさです。

福山雅治氏のラジオにももクロがゲストで出た際,ももクロが福山氏に「どうやったらそんな風に肌を保てるんですか?」と質問しました。

福山氏は,答えて曰く「洗顔料は使ってはいけない。水で十分。保湿に全てをかける」。

 

40代の福山氏が10代のももクロに肌の手入れについて語る圧倒的説得力。

僕はただちに化粧水と保湿クリームを購入しました。

 

しかし,僕はこういうものを利用したことがなく,いまいち使い方が分かりませんでした。

化粧水は,「なんでこんなチビチビしか出てけえへんねん」とイライラしましたし,

クリームは適量がわからず,顔中べたべたのまま,寝苦しい夜を過ごすことになりました。

 

使い始めてから,前よりもニキビ的なものができる頻度も多くなった気がします。

でも,ひょっとしたら,ニキビ的なものができる=若いという証拠なのかもしれません。

 

つづいて,若さを保つ方法その2。

若々しい肉体です。

周囲でランニングを始めた人が多く,前から気になっていたのですが,

思い切ってランニンググッズをそろえて走り始めました。

最近のGPSウオッチはすごく,走った距離,ルート,速度,ペースなどあらゆる数値を記録してくれます。

その結果をフェイスブック等にアップすることも可能です。

僕も早速アップした結果,先輩弁護士から「才能あるよ」と言って頂けました。

 

褒められるとうれしくなって,張り切ってしまいます。

その日は11キロ走ったのですが,翌日もゴルフの後にもかかわらず6キロ走りました。

 

結果,僕のヒザは完全に故障してしまいました。

階段の上り下りすらツライ・・・・。

しかし,根性こそ若さの証です。

故障を治しつつ,現在も走る喜びを味わっています。

 

最後に若さを保つ方法その3。

気の持ちようです。

人間は,「俺は年を取った」と思ったときから年を取ります。

反対に言えば,「俺はいつまでも29歳だ」と思えば,いつまでも29歳です。

 

僕はももクロが最大の趣味ですが,

ライブの現場に行くと,ももクロと同世代の若者のファンもたくさんいます。

彼らに負けるわけにはいきません。

 

でも,正直,この前行ったライブでは,腕を振り上げすぎて,腕が上がらなくなりました。

ライブ後も,若者は仲間達と一緒に「まだ遊ぼーぜ!」という感じなのですが,

僕は宿泊先に戻って,風呂で腕をマッサージしました・・・・。

 

しかし,気持ちだけは負けてない。

気持ちが負けない限り,まだ負けじゃない。

 

加齢との勝負もまだ始まったばかり。

これから,ニオイや頭髪とも戦っていかなければならないのかもしれないけど,

僕の勝負はまだ始まったばかりです。

 

目指すはアンチエイジングの一番星,アンチエイジングスーパースターです。

口コミの良い弁護士(?)

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インターネットが発達して、

飲食店も、見る映画も、買う本も、

なんでもインターネットで検索して口コミの良いものを選ぶことに慣れてきています。

 

 

弁護士に何かを依頼したいが、知り合いに弁護士がいない場合は、

インターネットで、口コミの良い弁護士を探すこともあるのではないかと思います。

 

 

そこで、今日は口コミの良い弁護士(?)について

私の意見を書いてみようと思います。

 

 

 

まず、「弁護士 口コミ」で検索すると、

弁護士の口コミサイトが多数出てきました。

 

口コミサイトにも、一定程度意味があるのかもしれません…が、

そもそも、弁護士に依頼する事柄は、プライベートな事ばかりで、

その解決結果に満足したとしても、わざわざインターネットに口コミを書く方がどれくらいいるのか、疑問はあります。

 

口コミサイトを見ても、口コミの母数自体がかなり少ないと思われます。

 

 

また、口コミサイトには全弁護士事務所が登録されているわけではありません(私が所属している事務所も登録していないと思います)。

 

 

 

さらに、一番大切なことなのですが、

弁護士と依頼者は、時によっては家族よりも密接に関係します。

 

そのため、依頼者の性格によって、相性が合う弁護士は異なります。

 

優しくしてくれる弁護士が良い方もいらっしゃいますし、

ばしっと決めてくれる弁護士が良い方もいらっしゃいます。

 

そのため、その方の主観によって評価がかなり異なってくると思います。

誰かにとって良い弁護士が、ほかの人にとって良い弁護士とは限らないということです。

 

 

私の見解としては、

口コミがよい弁護士がそもそもいるのか疑問ですし、

仮に口コミがよい弁護士がいたとしても、その弁護士があなたに合うかはわかりません。

(なので、このブログでも、口コミの良い弁護士「(?)」と記載しています)

 

 

そのため、知人の紹介等も受けられない場合は、

口コミも参考にしつつ、弁護士会等の無料法律相談等を利用されて、何人かの弁護士とお会いされて、一番性格が合う弁護士を選ばれるのが一番だと思います。

 

ただ、最初に、良いことだけを言ってくれる弁護士、料金を安くしてくれる弁護士が良い弁護士だとは言い切れません。

(一般的には経験が多く優秀な弁護士ほど、時給は高いものです。もちろん例外はありますが。)

 

 

最終的には人を見るご自分の目を信じて、納得の上、ご依頼いただくのが一番だと思います。

 

無料オンラインゲーム-トラブルに巻き込まれたら-<法律のツボ>

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Q 携帯電話をインターネットに接続して遊ぶ「無料オンラインゲーム」を巡るトラブルが相次いでいるそうです。もし、そうしたトラブルに巻き込まれた場合、どうすればいいのでしょうか。

 

 

A 近時、スマートフォンの普及に伴い、オンラインゲームを利用する人が増えています。これは、ゲームソフトをダウンロードして利用者登録を行えば遊ぶことができ、基本的な機能が無料であることが多いです。しかし、アイテムなどの入手は有料で、実際にはアイテムを購入しなければゲームを有利に進めることができない、というゲームが多いのが実態です。また、一旦利用登録すれば、電話代金と一緒に支払ったり、親のクレジットカード番号を利用したりして、比較的簡単に決済ができてしまいます。このため、子供が親に無断で有料アイテムを次々と購入し、高額の請求が親の元に突然届く、というトラブルが生じています。

 

通常、未成年者の子供が法定代理人である親の同意を得ずに行った契約は、取り消せるのが原則です。ですから、子供が親に無断で行ったオンラインゲーム会社との契約についても取り消しを主張できます。ただし、例外もあります。有料ゲーム利用の申し込み画面上で「未成年者の場合は親権者の同意が必要です」といった表示をしていたのに、子供が故意に虚偽の年齢や生年月日を入力していた場合には、取り消しができない可能性があります。

そのほかにも、突然アカウントを停止されるなど利用会社とのトラブル、ゲーム内の仮想通貨を利用者間で現実の通貨で売買するRMT(リアルマネートレード)を巡るトラブル、誹謗中傷などの利用者間のトラブルもあります。

 

 このような問題に対応するため、ソーシャルゲーム協会や日本オンラインゲーム協会がガイドラインを策定するなど、業界団体による自主規制が進んでいます。また、消費者庁は、今月3日付で「消費者が実行すべきポイント~『ソーシャルゲーム』『口コミ(サイト)』『サクラサイト』について~」を公表しました。ここにも記載されている通り、トラブルに巻き込まれたら最寄りの消費生活センターに問い合わせて相談を受けることが望ましいと考えます。

                    〈回答・松井良太弁護士=(大阪弁護士会所属)〉 

                     2013年4月13日 毎日新聞大阪版朝刊掲載

DJポリス

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みなさん,ご存知でしょうか。

 

先日の,サッカーワールドカップ予選に関連するニュースと

して,「DJポリス」さんの活躍ぶりが報道されています。

 

 

試合は日本代表が勝利し,これにより日本のワールドカップ出場

が決まったことで,これを祝う若者たちにより試合後の

東京・渋谷の街が大混雑したところ,

 

 「みなさんのチームワークで,車道にいる人を

 歩道にあげられるようにしてください。」

 

 「日本代表のように,サポーターのみなさんの

 チームワークも見せてください。」

 

 「警察官も,日本代表のワールドカップ出場,心の中では

 喜んでいるんです」

 

 「お巡りさんも,こんなよき日に,怒りたくはありません」

 

等とユーモアのある交通整理をし,大きな事故もなく

誘導行った警察官がおられるというニュースです。

 

 

私もサッカーは大好きで,今も週1回のフットサルと,

年数回のサッカーを楽しんでいるのですが,こういう

ニュースは本当に気持ちのいいものだと思います。

 

 

サッカー好きの人の中に,特に試合の直後に

妙に荒っぽくなる人がいるのは,残念ながら事実だと

思います。

しかし,それは,これからサッカーを好きになってくれるかも

しれない人をサッカーから遠ざけてしまうことでもあり,

また,もし本当に暴れてしまったら,逮捕されるなどの

刑事事件にも発展しかねず,その人自身の人生も

とんでもないことになってしまうのであって,避けるべき

事態です。

 

サッカーがきっかけで,いろいろな人が不幸になることは,

サッカーファンとしては受け入れがたいことですので,

このようなニュースを見ますと,素直にこの警察官に

拍手を送りたい気持ちになります。

 

 

また,ほんの少しの勇気とユーモアで,トラブルを回避し,

平和に貢献できるということに,改めて気づかされた

ニュースでもありました。

 

我々弁護士も,形どおりの対応ではなく,時には自由な

発想で事案の解決に資する言動をとることができれば,

依頼者の方だけでなく,周りの方や,社会一般,そして

もちろん我々自身も,気持ちよく過ごせるようになることが,

あるのかもしれません。

 

 

他方で,このニュースと同時に,大阪府警の警察官が

証拠偽造をしたのではないか,とのニュースも報道されて

おり,警察官に対する印象が揺さぶられる思いもします。

 

色々と考えさせられるここ数日でした。

 

よくない知らせ

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今年も暑い季節が到来しました。

 

毎年毎年、飽きもせず、定期的にやってくるのですから、ご苦労なことです。

 

先週の水曜日、今日はずいぶん気温が上がるなぁと思いながらデスクで仕事をしていると、外から戻ってきた事務員さんが事務所内に漂う空気の異常を感知しました。

 

事務所内の雰囲気が悪いわけではありません。

 

事務所メンバーの風通しが悪いわけでもありません。

 

事務所内の空気が生暖かい、いや、暑いのです。

 

どうやら事務所の業務用エアコンの調子が悪いようです。

 

急ぎリモコンの液晶を見ると、「L5」だか「LS」だか判別できない液晶表示が点灯し、何やら彼なりに必死に窮状を知らせてきているようです。

 

この季節、事務所のメンバーだけなら扇風機などでまだ何とか暑さを我慢できるかもしれませんが、事務所には相談者・依頼者が来られることもあります。

 

熱い打ち合わせならぬ、暑い打ち合わせでは業務に差し支えます。

 

慌ててメーカーの問い合わせ窓口に電話すると、電話口の方は「それは珍しい症状ですね…」と不穏なことを言い、こちらに何らかの覚悟を求めてきます。

 

その時点で覚悟の正体はわかりませんでしたが、幸いなことにすぐに点検に来てもらえることになりました。

 

点検の方がビルの屋上に設置されている室外機を点検した後、やや小太り丸顔で見るからに人のよさそうな彼は、神妙な面持ちを添えて報告に来られました。

 

その顔つきから大概の察しはつきましたが、案の定、大掛かりな修理になるとのことで、交換部品もすぐに取り寄せられるかわからないとのこと。

 

ひとまずできるだけ早い修理をお願いしてその場はお引き取りいただきましたが、人間、終わりの見えている苦痛であればまだ耐えられるかもしれないものの、その苦痛がいつ終わるかわからないことほど心身を疲弊させるものはありません。

 

これから数日どうなってしまうのか肝を冷やしつつも、体幹の温度は確かに上がります。

 

しかし、ここでふと思いました。

 

メーカーの方はその日の早いうちに点検の方を手配してくださり、点検の方も迅速にベストを尽くしてくれたのです。

 

暑いさなか屋上の室外機を長時間点検されるだけでも大変な作業です。

 

僕はあの神妙な面持ちで報告に来てくれた彼にちゃんと感謝できただろうか、お礼の気持ちをきちんと伝えられただろうか。

 

弁護士も依頼者にいい報告ができるとは限りません。

 

残念ながら、よくないお知らせ、悪い報告をしなければならないときもあります。

 

僕がまさにそうであったように、報告を聞いてがっかりされる依頼者もあるはずです。

 

いい知らせ、いい報告であれば、いつどのような形であっても容易にお伝えできるかもしれません。

 

しかし、よくない知らせ、報告は、伝える方もつらければ、聞く方もつらいのです。

 

ひとまずそれ自体はよくない報告であっても、その先にある展開や可能性を添えて説明することで事態を正確に把握してもらい、確かな希望をもってもらえるように工夫するなど、これまでも自分なりに考えてきたつもりですが、エアコンの故障というささいな事件に向き合ってすら狼狽した我が身と照らせば、さらなる努力が必要です。

 

業者さんと家主さんのご尽力もあり、幸い、今はエアコンの利いた事務所でこのブログを書いています。

 

弁護士としての成長をエアコンに誓います。

 

この誓いが破られた時、彼はまた「L5」だか「LS」だか判別できない液晶表示を点灯させ、僕に誓い直しの機会を与えるのでしょう。


予防の大切さ

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去年あたりから、大人の風疹が大流行していることをご存知でしょうか?

風疹というと、「こどものころに予防接種受けなかったっけ?」と思う方もいるかもしれませんが、世代や性別によって集団予防接種の空白期間があり、特に20代~40代の男性の感染が多いようです。

 

私も予防接種を受けていない世代ですが、先週、流行にのって風疹にかかってしまいました。

 

風疹は妊娠中の女性がかかると、産まれてくるこどもに障害が残る可能性がある病気です。

ですから、感染のリスクがある限り、原則自宅からは出られない状態になってしまいます。

 

私の場合は、症状は重くなく、仕事が出来ないような状態ではなかったのですが、周りに感染させる可能性があるため、仕事も休むことになってしまいました。

 

風疹が流行していることは半年くらい前から認識していましたし、予防接種を受けに行く時間はいくらでもあったのですが、問題が顕在化するまでは、ついつい後回しにしてしまいます。

根拠もなく、「自分は大丈夫だろう」みたいな考えもあったのだと思います。

 

 

こういったことは、法律の世界でもよくあることだと思います。

「自分に限って法律トラブルに巻き込まれることはないだろう」、「問題が起きたときに考えればいいや」等々、つい予防は軽視してしまいがちです。

 

たとえば、相手とトラブルになることはないと信じて契約書を作らずに取引をするとか、自分の子どもたちが争いごとをするはずがないと思い込んで遺言書を作成していないとか。

 

法律の問題も病気と同様に、顕在化する前に予防しておくことが大切です。

もちろん、問題が起きてからでも解決の方法はありますが、やはり手間も時間も費用もかかりますから、問題が起きないに超したことはありません。

 

今はまだ、個人の方が予防の観点から弁護士に相談することはあまり多くないように思います。

問題が起きる前から気軽に弁護士に相談できるように、弁護士も意識を変えていかないといけないですね。

 

 

予防を怠って痛い目にあった直後ですので、今回はちょっとだけ予防について話をしてみました。

認知症の成年後見制度-どのように依頼-<法律のツボ>

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 ~親族であれば家裁に申し立てを~

 

 

Q 親族が認知症になりました。成年後見制度があると聞いたのですが、どういう制度ですか。また、どのようにして依頼すればいいのでしょうか。

 

A 成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった人たちをサポートするため、後見人が不動産や預貯金などの財産管理、介護サービスの手配などを行う制度です。

 

認知症になると、物忘れの症状から自分の財布や通帳がどこにあるのか分からず、金銭管理がうまくできなくなることがあります。また、自分に不利益な契約であっても理解できずに契約を締結してしまうなど、経済的な被害に遭う恐れもあります。それでも、家の中や施設で閉じ込められて生活するのではなく、社会の中で生活し続けたいというのは、誰しもが願うことではないでしょうか。後見人は、その人の意向や生活状況に気を配りながら、その人らしい暮らしを支援する役割を担います。

 

制度を利用するには、その人が住んでいる地域の家庭裁判所に申し立てをする必要があります。配偶者や子、兄弟など一定の範囲の親族であれば、申し立てをすることが可能です。申し立てを受け、家庭裁判所がその人の状況や申し立ての実情を踏まえ、後見人を選任します。親族が後見人になることもありますが、弁護士や社会福祉士など法律や福祉の専門職が選任される場合も増えています。

 

制度に関する公的な相談機関としては、各自治体に設置されている地域包括支援センターがあります。また、大阪弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター「ひまわり」では、毎週火・水・金曜日(午後1~4時)に電話相談(06・6364・1251)を行っており、さまざまな相談を受け付けています。

 

親族ご自身での成年後見制度の申し立てが難しい場合は、その手続きを弁護士に依頼することもできます。ご自宅や施設などへ弁護士が出張して椙談をお聞きすることもしていますので、ご活用ください。

 

 

〈回答・高江俊名弁護士=(大阪弁護士会所属)〉 

                     2013年4月20日 毎日新聞大阪版朝刊掲載

法律相談料

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一日遅れの投稿です。

弁護士の業務の一つに,法律相談があります。

昔ながらの法律相談だと,弁護士に相談して,
30分で5000円程度の相談料をお支払いいただくことが多いようです。

法律相談で事件が解決したり,紛争がなくなったりすることは少ないのに有料なのは,
専門家として,その有する知識,経験に基づき,
法的なアドバイスをしたり,事案の整理,法的観点の指摘,
結論の見通しなどをすること自体が,
相談者にとって,何らかの利益になるだろうと考えているからだと思います。
利益があるのだから,対価が発生するだろうということでしょう。

ただ,弁護士の売上で考えると,
法律相談料というのはあまり大きなものではありません。

そのためか,最近では,法律相談無料をうたう事務所や法人が増えているようです。
法律相談を無料にすることで,少しでも多くの相談者を集め,
取り扱い事件数を増やし,着手金,報酬を増やそうという考えなのかもしれません。

実際,弁護士会が行っている有料相談は,
年々,相談数が減少しているようです。
その一方で,法テラスが実施している無料相談は相談数が増えているようです。
それなら,弁護士会も法律相談を無料化してしまえばいいのじゃないか,
と言う発想が出てきます。

弁護士の数が増え,
他士業がこれまで弁護士が取り扱っていた分野へ進出し,
訴訟案件が減少し,
弁護士一人あたりの事件数が減るなかで,
取り扱い事件数を少しでも増やすために,
少しでも間口をひろげ,敷居を低くしようという考え方です。
サービス業としては,一つの考え方ではあります。

その一方で,サービス業である以上,
提供する商品,サービスの値段を安易に下げるべきではない,
と言う考え方もあります。
一度下げてしまうと,その下がった価格が当たり前になり,
従来の価格が高く感じられその価格ではサービスを買わなくなり,
結果,サービス全体の売上が減ると言う考え方です。

どちらが正しいと言うわけではなく,
どこに重点を置くかの問題だと思いますが。


そういえば。
サービスの料金を決める上で,
お客さんに決めて貰うという方法もあるようです。
一部の飲食店なんかで,
「お客様ご自身が値段をつけて,その金額を払ってください。」
というやり方で値段を決めてもらっているようです。
この方法だとお客さんはあまり不満を持たないでしょうが,
さて,この方法を弁護士事務所で採用したらどうなるのでしょう?

今日(6月15日)は,京都の福知山市でやっていた,
母校の学生法律相談(もちろん無料)につきあって,
いろいろな相談をみていて,
ふと相談料というものについて考えさせられたので書いてみました。


皆さんにとって,弁護士の法律相談って,
どれぐらい払ってもいいと思えるものなんでしょうね?a

 

刑の一部執行猶予制度 新設

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今月13日に,「一部執行猶予制度」の創設を盛り込んだ
改正刑法などが衆院本会議で全会一致で可決,
成立しました。
 

3年以下の懲役・禁錮の判決の中で,刑の一部の執行を
1年から5年の範囲で猶予するものです。

たとえば「懲役2年,うち6カ月を2年間の執行猶予」

とする場合,刑務所を1年半で出所した後,
社会内で2年間再び罪を犯さずに過ごせば,
猶予された6か月について
刑の言い渡しがなかったことになり,
刑務所に収容されないこととなるようです。

 

 

法務省HP内の「法制審議会の答申の概要」
から引用しています。

 


これまで,刑期の途中で仮出所出来る人はいましたが,
それは身元引受人がいる場合のみでした。
身元引受人がいない人については,満期出所。
満期出所の人に対しては,
国が援助・監督する権限がなかったことから,

適切な福祉の支援につなげたあとの

継続的な関わりが難しく,
犯罪の抑止力もないまま,刑務所の門外に
出されてしまう,という状況でした。


なので,天涯孤独な人でも,社会内処遇を受けながら
福祉の支援につながる新制度に期待しています。

「薬物依存者に処罰ではなく希望を」という観点からも,

リハビリテーションや治療につながる新制度に
期待をしています。


 

加えて,私が積極的な活用を望んでいるのは,
保護観察の特別遵守事項の類型に加わった,
「社会貢献活動」です。

 

 

 

更生保護施設,保護司,更生保護女性会,BBS会員,
協力雇用主といった更生保護を支える人たちに
期待される役割はもっと高まりますし,
そのための力をつけていく必要があります。

また,国は更生保護の分野にもっと予算をつけて,
支援層を強化するべきだと思っています。

 

 


海外をみると,もっと多様な刑の種類を
用意している国もあります。


たとえば,ある国の社会内受刑の様子をご紹介します。
受刑者は,身体(手首か足首)にセンサーを発信する
ベルトのようなものをつけ,
自宅あるいは一定区域内から
出ないよう規制・監視を受けます。

さらには夜間の外出を禁止される場合もあります。
在宅確認は,毎日固定電話に電話することで行い,
この確認作業は,民間に委託される場合があります。
音声分析して,録音テープであるか否かも
判断できるようになっています。

他にも,社会的奉仕活動を年間○○時間やることを,
懲役として言い渡すことができる国もあります。
特別遵守事項となるよりも義務としての性格が強くなり,
より効果があげられるのではないかと思います。


これらは,刑務所が飽和状態になることの反作用として
取り入れられた刑の種類という側面もあるようですが,
それまでの社会生活を一定程度維持しながら
更正を図る方法として,
効果も期待できる側面があると思っています。

 


更生と再犯防止の観点からすれば,

刑の執行のあり方は
もっと柔軟であっていいと思っています。
今後も議論と改革が続けられていくべきだと思います。

 

「職親プロジェクト」

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刑の一部執行猶予制度の記事に関連して,

民間主導で起こっている

刑務所出所者・少年院出院者を雇用促進を目指す

「職親プロジェクト」の取り組みをご紹介します。

※「職親プロジェクト」の新聞記事はこちら

 

結成当時の7社から,現在は10社に増えています。

関東でも職親プロジェクトの動きが起こっています。

「職親プロジェクト」と連携体制をとっている法務省でも,

今年5月10日,中央官庁で初めて,

保護観察中の少年一人を非常勤職員として採用したと発表しました。

新聞報道によると,地方自治体では、大阪府吹田市(延べ7人)、

大阪市(1人)で既に採用実績があるとのことです。

 

 

 

「職親プロジェクト」に参加するお好み焼き・千房の

中井政嗣(なかいまさつぐ)社長から,

お話を聞く機会がありました。

 

***

 

自分の職場で,元犯罪者を受け入れ,一緒に働く。

みなさんの立場からどう感じますか。

 

特に大企業なら,じっとしていても,

4大卒の新卒予定者からの応募が多数あります。

 

千房さんは,そういう状況で,

敢えて刑務所・少年院に採用募集をかけています。

そして,実際に雇用して,出所者・出院者が

一般採用の社員とまじって,お客さんに接客し働いています。

これまで9名の採用実績があります。

 

 

社内では,賛否両論あったようです。

一方では,「犯罪者が働いている店なんて,

お客さんが怖がって来てくれないと困る。」という声があります。

他方では,「そういう取り組みをみて,

がんばってるやないのーっと言って,

応援してくれるお客さんもいるかもしれない。」という声があります。

 

そうした中,決め手となったのは,

「この取り組みは,善いことか,悪いことか。」という問いです。

 

「善いことならやりましょう。」

千房さんは,損得ではなく,善悪で判断して,取り組みを始めました。

 

 

「職親プログラム」で最も大事にしているモットーは,

「すべてオープンにする」ということ。

 

「職親プログラム」に参加している企業名はすべてオープンです。

 

入社を希望する出所者・出院者側についても,

名前も顔もオープンにすることが条件です。

社内の誰もが,その人が過去に犯罪を犯したことを知っています。

加えて,マスコミの密着取材があった時にもすべてオープンです。

 

 

 

中井社長は,オープンにすることの意義について,

2つ語ってくれました。

 

まず一つ目の意義が,出所者・出院者側からすると,

「オープンにしたら過去に戻られへん。」ということ。

 

テレビカメラの回っている前で働く様子を取材されます。

顔出し,実名報道です。

 

受け入れ時,現場サイドに若干の戸惑いがありましたが,

カメラの手前,そんなかっこ悪いところは見せられません。

そこで,受け入れ側社員は,「がんばれよ。」と,声をかけました。

出所者・出院者も,カメラの手前,かっこつけて,

「がんばります。」と大きくガッツポーズで宣言しました。

 

みんなに見られている。それが自己を律する力になる。

そのがんばりをみて,周囲の者の理解が進む。応援するようになる。

そして,周囲の者においても,犯罪に走ることについて関心が高まる。

一般の社員から,「この子,家庭の中が荒れていて生活が乱れていますが,

仕事させたら安定すると思うので,働かせたいです。

社長面談してください。」という声があってくるようになる

 

こうして,「仮面が皮膚になる。」

(この,「仮面が皮膚になる」という表現が,

 すごくいいなーっと思いました。)

 

過去は変えることはできない。

現在の自分と未来を変えていくしかない。

ただ,未来が変われば過去が変わる。

反省は一人ではできても,更生は一人ではできない。

 

 

 

 

 

もう一つの意義が,オープンにしたことで,

社会の受け皿を作るきっかけを作ったこと。

 

「職親プログラム」の関東地区での動き,

法務省での動きも,全てオープンだからこそ広まったもの。

対比的なのが,家庭裁判所が提携する

協力雇用主は秘匿されているという状況です。

そのため,協力雇用主としての活動の意義が広まりにくいし,

新たな協力雇用主の開拓も,

家庭裁判所単位の独自の力に依存する状況でした。

家庭裁判所ないし保護観察所は,協力雇用主の善意に頼り,

ボランティアを強いるような状況にありました。

 

 

他方,「職親プログラム」は,

ボランティアでやっているものではありません。

更生施設ではなく,企業体です。

やる気のある元受刑者・元出院者に対して,

社会の一員として,働いてもらうというものです。

 

 

だからこそ,職親プログラムを利用する時には,

出所者・出院者の「やる気」が問われます。

 

 

中井社長は,採用を決めた者に対し,

「後に続く者のためにがんばれ。」と声をかけています。

制度として育てて,社会の中で,

元犯罪者を雇用することが当たり前の感覚になっていく。

 

中井社長は,更生の力になりたいという

気持ちを持っている企業家は多いと言います。

だから,「職親プログラム」で実績をつくって,

この動きをどんどん広げたい。

そして,「職親プログラム」の参加企業が力をつけて,

将来的には,刑務所・少年院側に,

こういう人材を育ててくれ,とフィードバックしていきたいと

語っていました。

 

 

「職親プログラム」の活動推進のため,

これをテーマにした歌もできています。

保護司の鳥羽一郎さんが歌う「一厘のブルース」を

聴かせてもらいました(8月7日リリース)。

「面を出せ」「引いて残った一厘で 人の情けに応えろよ。」

という詩がとても印象的でした。

各地の刑務所等で流れることとなるようです。

 

 

 

もっとも,「職親プログラム」は,

企業体としても簡単な気持ちでは

始めることが出来ない取り組みです。

万が一再犯をしたら,「○○社の社員」として名前が出ます。

外野から,「ほれみたことか。」と言う人はごまんといます。

そして,一人の失敗例が,偏見により,

他にがんばっている出所者・出院者の信用を失墜させるという影響を及ぼす。

うまくいくことばかりではない。

失敗して人間不信任になりそうにもなる。

でも,それを社員全員で乗り越えていく。

 

中井社長は,「最後には,社長の私が責任をとる。」

という覚悟で取り組んでおられました。

出所者・出院者を採用することが,

強い企業体の礎になっていることを肌で感じました。

 

 

***

 

更生保護の分野が

大きく動いていることを感じています。

刑の一部執行猶予制度でも,きっと「職親プログラム」は活用されると思います。

そして,中井社長から「職親プログラム」の話を聞かせてもらった今回の機会も

「セカンド・チャンス!」の場があったからです。

NPO法人 セカンド・チャンス!は,

まっとうにいきたい少年院出院者の全国ネットワークです。

セカンド・チャンス!の公式ブログはこちらです

 

担当日に2つ投稿してはけないというルールはないので,

パッションに迫られて,もう一つ,記事を書かせてもらいました。

読んでくださってありがとうございました!

 

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