寒さが厳しい季節になってきましたね。
さて今日のテーマは「貧困」です。
「貧困」という言葉を聞いて皆様はどのようなイメージを持たれるでしょうか?
この寒空の下帰る家がなく路上で生活をしている人、日々の食事すら満足にとれずに飢えている人は「貧困」だと多くの人が思うと思います。
では、家はある、3食食べられる、でもお金がなくてずっと同じものしか食べられない人、あるいはバランスのとれた食事を食べられない人、携帯電話を持てない人、町内会の集まりなどに参加できない人、子供にクリスマスプレゼントを買ってあげられない人などなど、、、
こういう人たちは「貧困」ではないのでしょうか?
実は、「貧困」という概念については、ずっと以前から研究がされてきて、どんどんその概念が変わってきているのです。
昔は、「絶対的貧困概念」というものがありました。これは、貧困というのは、生きていくために必要な栄養をとることができない状態、つまりお金がなくて生きるために必要な食料を得られないような状態を指すという考え方です。このような考え方が出てきた背景には、実際にこのような状態に陥っている人がたくさんいたという事情がありました。
その後、時代は流れ、「相対的貧困概念」というものが出てきました。これは、貧困というのは、その人が所属している社会で、いわば「当たり前の」食事を食べられなかったり、社会的な諸活動に参加できなかったり、快適な生活を送るための必要な生活資源を持っていない状態をさすというものです。つまり、生きるために必要な食料を得ることができていても、お金がなくてずっと同じものしか食べられなかったり、食事の質が悪かったり、生活必需品と言われているような家具を持っていなかったり、そういう状態は貧困なんだという考え方です。
さらに現在では、社会のいろいろな活動に参加できず社会から疎外され孤立化している状態が貧困だという考え方もあります。この考え方について今日は詳しく説明できませんが、これについては、1999年にイギリスで行われた調査(「貧困・社会的排除調査(PSE調査)」)においてひとつの指標が示されていますので、気になった方は是非インターネットで「イギリス 貧困・社会的排除調査」と検索してみてください。
このように貧困についての考え方は社会が変化していく中でどんどん変化しています。
上で挙げたような例は貧困なのかどうか、少し考えてみていただければと思います。