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ポイ捨ての法律問題

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みなさんこんにちは。弁護士の千葉直愛といいます。大阪弁護士会では、公害対策・環境保全委員会に所属し、主に自然保護に関する公益活動に携わっています。

 

 

さて、国民の祝日に関する法律が改正され、今年から、新しい祝日が制定されましたね。

 

 

8月11日「山の日」。

 

 

山の日ができたのは、山岳関係団体や独自に山の日を制定していた地方自治体の熱い要望によるものなんだとか(大阪府も以前から11月の第2土曜を「おおさか『山の日』」にしていたそうです(知らなかった・・・))。

 

 

ところで、山の日に限らず、夏休み真っただ中、山登りや海水浴など、アウトドアを楽しむ方も多いと思いますが、反面、この時期よく問題になるのが、行楽地でのごみのポイ捨て。そこで今日は、自然保護に携わる弁護士の立場から、ごみのポイ捨て問題について、(ややマニアックな)解説をさせていただこうと思います。

 

 

 

1.廃棄物処理法

まず、ポイ捨てするその小さな「ゴミ」は、何と、廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当します(2条1項「この法律において『廃棄物』とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの・・・をいう。」)。廃棄物というと、自動車の不法投棄とか、派手なものを想像しがちですが、空き缶、空き瓶なんかも含まれるんですね。

 

 

そしてその罰則は、「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」です(廃棄物処理法25条1項14号、16条)。ポイ捨てで懲役5年は洒落にならないですね。

 

 

2.軽犯罪法

さらにマニアックなところでは、軽犯罪法1条27号が「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」に拘留又は科料の制裁を課しています。「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」も同様です(同26号)(「カ~~ペッ!」おじさんは軽犯罪法違反なわけですね・・・)

 

 

3.各自治体の条例

また、各地方自治体がポイ捨て禁止について独自の条例を制定しています。たとえば大阪市では、「大阪市空き缶等の投げ捨て等の防止に関する条例」が制定され、空き缶、たばこの吸い殻、チューインガムのかみかす、紙くずその他のごみのポイ捨てを禁止しています(6条)。大阪市条例ではこのほかにも、自動販売機設置業者に、自動販売機のそばにゴミ箱を設置するよう義務付けるなど(7条)、業者にも目を向けたものになっています。そしてこれら規定に違反すると、市長からの是正勧告があり(9条1項)、勧告に従わなければ勧告に従うべき命令が発令され(9条3項)、命令に違反した場合は、氏名と違反行為が公表されます(9条4項)。氏名の公表まで行くと、流石にやりすぎ感がありますが、本当に悪質な違反者には適用すべきかもしれませんね。

 

 

4.海外では

一方、海外に目を向けると、シンガポールの罰則が有名ですね。ごみのポイ捨てをした者は、初犯は最高1,000Sドル(約8万円)、再犯は最高2000Sドル(約16万円)。加えて悪質な再犯者には「矯正労働作業命令(Corrective Work Order)」が科せられ、「CWO」と書かれた派手な色彩のベストを着用し、公共住宅(HDB)や公園などで3時間以上の清掃作業をしなければならないとのこと。これはキツイ。(日本だったら違憲訴訟とか起きそうな気が・・・)

 

ほかにも、タイでは、吸い殻のポイ捨てが2,000バーツ(約6,000円)の罰金など、各国熱心にポイ捨て撲滅に取り組んでいます。

 

日本も観光立国にあたって、今後、国内美化のため、厳罰化の方向に進むかもしれませんね。

 

 

そんなこんなですが、このような(恐ろしい)法令の適用を受ける前に、行楽にお出かけの際は是非、持ってきたゴミは持ち帰り、環境美化に努めましょう(*^^*)

 

 


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