平成27年5月9日、大阪弁護士会で毎年開催されている憲法記念イベントですが、
今年は、刀川監督の映画「隣る人」の上映と、その後、刀川和也監督のトークショーでした!なんと、195名ものお客様が来場され、大盛況となりました!!
この映画は、とある児童養護施設で暮らす、子どもたちと施設職員さんの日常を、8年にも渡って取材した様子をドキュメンタリー形式で映画化したものです。
みなさんは、児童養護施設やそこで暮らす子どもたちに、どんなイメージを持っていますか?
ただ、かわいそうな子、なんでしょうか?
わたしは、「隣る人」を見て、彼らは、毎日、全力で迷い、悩み、そして、笑い、一生懸命に生きているんだと感じました。
「親と暮らしたい。暮らせない。さみしい。」子どもたちのそんな気持ちを知りつつ、「少しでも幸せに育って欲しい。」と、彼らを支える施設職員さんたち。
子どもたちは、施設内での人間関係は不確かなものであって、いつまでも、一緒にいられるものではないとわかっている。「でも、会いたい親には会えない。せめて、今は、一緒にいてくれる職員さんに、甘えていたい。」
刀川監督は、言います。「子ども達は、、見果てぬ親の夢を見る。一緒にいないから、親を夢見る。だけど、いつかは、だめなんだ、一緒には暮らせないんだ、と思い知る日が来る。」
そのときに、そばにいること、一緒にご飯を食べ、歯を磨いて、布団を敷いて眠ること。
「大好きだよ」といってくれる人がいること。
それは、どんな救いでしょうか。
誰だって、「わたし、生きていていいんだ。愛されているんだ。」って、知りたい。それが生きていく強さになっていくんだと思います。
だから、このイベントは、施設で暮らす子どもたちを知る機会でもあり、普通の家庭に育った方々は、自分が家族と一緒に生きてこられたことがどれほど幸せであったかを改めて感じていただける機会だったのではないかな、なんて思ったりしました。
「悲しいことや寂しいことや・・・そういうのはなんであるんだろうね。」
映画終盤で、施設長が、とある子に話しかける言葉です。
あるんです。たくさんの悲しいことが、誰にでも。
だけど、人生は、「悲しい。」では終わりません。その先があります。
だから、「悲しい。」を超えて、さらなる日々を生きていかなくてはなりません。
子どもたちには、とくに、理不尽に与えられた悲しさを乗り越えるすべや助けが必要です。
たくさんの、悲しさや寂しさを味わった子どもたちは、同じように悲しむ誰かに会ったとき、手をさしのべてあげることができる。そんな優しさを持った、素敵な大人に成っていけるのだと、信じたい。そして、幸せになってほしい。
今日も、彼らの日々は続きます。私たちが、寝ぼけまなこで起きる朝、顔を洗って、仕事の仕度をして・・・そんな瞬間にも、彼らは、生きているのです。そして、寄り添う人たちがいるのです。
私も、そんな彼らの、支えになりたい。弁護士として、人として。
そんな弁護士たちが集まった子どもの権利委員会。
あなたからのご相談もいつでもお待ちしています。