昨秋、2人目の子どもを授かりました。
家族と事務所と、より多くのものを背負うプレッシャーは一入ですが、詰まるところそれが自分を強く突き動かしてくれているように感じます。
さてさて、現実は厳しく、通帳を見ても財布を見ても不景気なことこの上なく、受け取るものといえば請求書、増えるものといえば加除式図書くらいしかありませんが、家族が増えたり、上の子の進学なども近づけば、これも妖怪の仕業なのか、どうしても引っ越しや新居の購入などの夢にもとりつかれます。
そんなこんながありまして、先日、新築マンションのモデルルームというものを思いつきでいくつか見て回りました。
複数のモデルルームを訪問されたご経験のある方はおわかりでしょうが、どこであってもおよそ同じような流れでことが進みます。
弁護士という職業柄、普段、どうしても“お話を伺う側”“相談を受ける側”に回ることが多くなりますが、これが、なかなかどうして、テーブルの向こう側に回って“話を聞かれる側”“相談する側”に来てみると、相談者の心理や目線にはたと気づき、思いがけず反省や勉強の機会となりました。
相談者にしてみれば、モデルルームの外観や受付の応対、ブースの設えからもせっせと情報収集しています。
法律事務所だって外観・内装やスタッフの接遇にも気を抜けません。
また、そこで初めて顔を見る担当者の入り方、振る舞い、口上、緩急のつけ方、クロージング、別れ際。
それは向こうさんもお商売ですので当たり前なのですが、そのどれもがわざとらしく意図的に見えてしまっていけません。
また、そんな余計なセンサーが働くせいか、どこまで話すべきか、心を開くべきか逡巡し、担当者やその場の状況を値踏みしてしまう良くない一面も…
ついつい普段の自分の仕事振りを担当者に投影して、振り返りの機会としてしまいます。
もちろんどの方も誠心誠意ご説明くださいましたので、いずれも満足な時間を過ごさせていただきましたが、短期間に複数の方とお会いしたためか、それぞれ共通点と相違点がより鮮明になりました。
気づいたことを分析する間もなく今日を迎えてしまいましたので、ただの言いっ放しになってしまいましたが、今回のモデルルームでの経験はきっと僕の普段の相談業務にも変化をもたらすはずです。
相談業務は、その根本に専門知識はもちろん人間愛や温かさに根差した誠意が必要なのは当然ですが、相談を受ける側にその場の雰囲気作りやお話を聞くに際しての一定のスキルも必要になりますし、反対に、相談する側にも相談するについての適当な向き合い方というのがあるのかなぁと、それが両方マッチして初めて充実した意味のある打ち合わせになるのではないかと思いました。
各モデルルームの皆様、コーヒーをいただきながらいろいろと勉強させていただきまして、ありがとうございました。
新居については…、またそのうち考える時が来るでしょう。