来月から、「パーソナルソング」という、音楽による認知症の改善をテーマにした映画が公開されるようですね。時間を見つけて是非見に行こうと思っています。
私の母は兵庫県にて音楽療法士として活動しており、老人ホーム等で音楽を通じて色々な方とコミュニケーションを図っています。その関係もあり、私自身、学生時代は何度か老人ホームを訪問していました。
その際、母や施設の方々がよく話してくれたのが、認知症の症状についてです。
「認知症は、物忘れがひどくなる、というけれど、そういうもんじゃない。思い出が消えるの。」
これはどういうことかというと、例えば、「夕食はまだ?」という質問は、食事をしたことを忘れたのではなく、食事をした記憶がないからするそうなんです。そのため、「思い出すことが不可能」とのこと。それにもかかわらず、「食べたじゃない」と言われると、思い出すことができないのはもちろん、自分だけが他の人と違う世界に生きているんじゃないかと錯覚を起こすようです。その錯覚を恐れ、人との接触を避け、脳が委縮し、症状が悪化する。
本当に怖いですよね。認知症は医学的解明が追い付いていない分野とはいえ、少しでも意識して接しようと思いました。
さて、そんな中、母の活動の1つに、皆さんの「覚えている曲」を確認し、それを輪になって演奏するというものがあります。母がピアノを引き、皆さんはマラカス等の簡単な打楽器を持って、音楽に合わせて演奏する。これだけなんですけど、演奏の際は皆さんで団体行動を取れますし、演奏後には、当時の思い出話を話し合ったりするんです。
演奏の前後では顔も話し方もまるで違っていて、音楽の力はすごいなぁと思う体験でした。
こんな話をブログに書こうと思ったのは、先日、長らく行けていなかった老人ホームの近くを通ることがあったので、少し顔を出した際、ある御老人から、最初に書いた映画の話を伺いました。「あなたは特に見なきゃダメよ!」と言われてしまい、私より芸能ニュースに強いのではないかと疑いつつ、元気なお姿を拝見でき何よりでした。
それに続いて、「弁護士さんになったんやから、もう相続の話とか何聞いても大丈夫ね?」と聞かれてしまいました。
無視しました。
というのは冗談ですが、皆さん色々と考えておられるようで、私の話を真剣に聞いてくれました。母とは違う形で皆さんのお役に立てることができれば嬉しいな、と思いつつ、更に精進しなければ、と思うことのできた1日でした。