空も桜色に染まる4月となりました。平成26年度大阪弁護士会の会長を務めます石田法子です。1年間よろしくお願いします。
会長の就任が決まってから多くの方々からお祝いの言葉をいただきました。その中から嬉しいお話しを一つ紹介します。
私が弁護士登録をした38年前、先輩弁護士のお誘いで、大阪市交通局女子若年定年制の訴訟の弁護団に末席として参加しました。なにぶん昔のことなので正確なことは記憶していないのですが、当時の市バスの女性車掌さんの定年はなんと33歳でした。今から見れば、「は?33歳で定年って、それ何?」とあきれる話ですが。当時の市は、ガタゴト道で踏ん張って切符売りをするのは過酷な労働で、33歳を定年とするのは女性の保護であるとかそんな首をかしげる主張をしていました。
結局、この訴訟は、男性職員の定年が55歳であることに比べ33歳の若年定年は不当な差別で憲法違反であるとして、原告らが勝訴しました。この事件は、私にとって初めての憲法裁判であったことと戦いに立ち上がった働く女性たちの明るさと力強さがとてもまばゆく、印象深い忘れられない事件でした。
あれから30数年。「新聞見ましたよ~。おめでとう~。嬉しいわ。」と、今に至るも和気藹々たる原告団の皆さんらが事務所までお祝いに来てくれました。もはや、前期高齢者・後期高齢者群で、外貌の変化は著しく、私を見て「面影は残ってますね-」とか「これでも若年定年制原告団でした」と相変わらずの明るさと元気があふれていました。
お祝いに、ネーム入りのモンブランの万年筆をいただき、その柔らかで流れるような書き心地を味わっていると、誰かに思い切り優しい手紙を書いてみたくなりました。