令和元年
今や、インターネットであらゆることを調べられる便利な時代になりました。
ただ、残念ながら、ネット上の情報には、
法律問題に関するものに限らず、
不正確なものや明らかに間違っているものも散見されます。
特に、法律や制度は、日々変りゆくものであるため、
過去の情報は当てにならないことも多々あります。
近所の美味しいフレンチを教えてくれるAIも、
「あなたの今の状況やご希望に基づけば、どのような法的手段を取るべきか」
については、今のところ答えてはくれません。
それぞれの事案に応じた個別の事情を基に判断を要する法律問題において、
ネット上の情報などから安易に判断するのは、非常に危険です。
そのため、法律問題でお困りの場合には、インターネットやAIに頼るのではなく、
是非、我々弁護士にご相談ください。
もし、知り合いの弁護士がいないとしても、大丈夫です。
大阪弁護士会や法テラス、各自治体の法律相談など、
法律相談は意外と皆様の身近で行われています。
お困りの際は、一度、大阪弁護士会のサイトや、
お住まいの自治体のホームページ等をご覧ください。
ところで、折角、法律相談に来て下さったのに、
「結局、どうしようもなかった」
「聞きたいことが聞けなかった」
「情報が不足していてわからないと言われた」
となるのは、非常に残念です。
そこで、私が個人的に思う
「法律相談の機会を有効活用するために重要なポイント」
をいくつかご紹介したいと思います。
<その1 「とにかく早く」>
法律問題において、早めに対処するべきケースは多いです。
例えば、時効により、本来できたはずの請求ができなくなってしまうケースがあります。
また、相続事件でも、ご存命の内に遺言書を作成するなどの対策をしていれば、
スムーズに相続手続を進められたのに……
と悔やまれるケースも、見受けられます。
人間関係がこじれないうちにきちんと合意書等を作っていれば、
大きな問題にはならなかっただろう……
というケースも多々あります。
とにかく、早めの対処という点では、風邪と同じです。
予防していても、たまに風邪をひいてしまうのは仕方がないことですし、
同様に、気を付けていても、法律問題に巻き込まれてしまう場合もあります。
ただ、
「おかしいな?」「ひどくなるかな?」
と思ったら、こじらせる前に、
できるだけ早めに対応していただきたいのです。
逆に、法律問題が風邪と違うのは、
日常的に生じるものではなく、身近に相談できる人もいないため、
対処法が分からずに
「まずいかな~。何とかした方がいいのかな~。」
と思いつつ放置してしまいがちであることです。
放置すると、先ほど述べたように、
取り返しのつかない事態にもなりかねません。
気がかりな問題があれば、早めにご相談いただくことをお勧めします。
<その2 「時系列表を作る」>
弁護士が、法律相談を受ける際、相談者の方からお聞きするのは、
主に、「いつ、だれが、どこで、何をした」という事実です。
弁護士は、現実に起こった事実を、
「法的にどのように評価できるのか」
を考え、相談者の方の状況を法的に分析します。
事実の経緯は、通常、時系列に沿ってお聞きしますが、
自分が経験した事実を、時系列に沿って淡々と説明するのは、
意外と難しいように思います。
つい、自分の感想や、感情を交えて話をするうちに、
些末なことなんかも含めて、事細かに話してしまうのではないでしょうか。
時間が十分あればよいのですが、
法律相談は、20~30分と短時間なことも多いため、
ポイントを絞って説明していただく必要があるのです。
そこで、法律相談に行かれる前に、
関連する事実を時系列に沿ってまとめた
ノートやメモを作ることをお勧めします。
そのような時系列表があれば、その表に書かれている事実を前提に、
重要なポイントに絞ってお話し聞かせていただくことができるため、
弁護士は、短時間で、皆様の状況を把握しやすくなり、
事情を十分お聞きした上で、
皆様にアドバイスすることができるようになります。
特に、経緯が複雑で、説明する自信がないような場合には、
自分の頭の整理にも役立ちますので、
是非、一度、時系列表を作ってから相談にいらしてください。
また、同様に、関係者多数の場合には、
人物関係図を書いて説明していただけると、
わかりやすくてありがたいです。
<その3 「関係書類等は全て持って行く」>
契約書などがあれば、契約条件などが一目でわかります。
相手方からの請求書や通知書があれば、
相手方の主張や相手方の求めている内容が分かります。
このように、書類からは重要な事実が分かることが多いので、
必ず、関連する書類は全て、法律相談に持って行くようにしてください。
また、書類は、重要な証拠となるケースも多いです。
そのため、こちらの主張を裏付ける証拠書類があった場合、
弁護士は、最終的に裁判になった時のことを見越し、
「裁判になっても認められそうだな」
という前提で、今後の対応をアドバイスをすることができます。
逆に、証拠書類だけでは不十分な場合、
新たに証拠を集める方法などもアドバイスすることができます。
最近は書面よりも、
メールやライン等で重要なやり取りがされることも多いので、
その場合には、相談中に携帯で見られるよう事前に準備しておくか、
印刷してお持ちいただくとよいと思います。
以上、皆様に法律相談を有効活用していただければと思い、
書かせていただきました。
よろしければ、参考になさってください。