典型的ストーカー行為、証拠残して
Q.横浜で一入暮らしをしている大学生の娘のところに、半年前まで交際していた男から「よりを戻してほしい」と何度も電話がかかってくるそうです。この前は自宅近くで待ち伏せされたと聞きます。警察にも相談しましたが、担当者の反応は鈍く、あまり動いてもらえそうにありません。どうしたらいいでしょうか。
A.元交際相手の電話や待ち伏せは、典型的なストーカー行為です。あなたの娘さんが深刻な危害を加えられる前に、警察には迅速かつ適切に対応してもらわなければなりません。危険な状況にあることを警察に理解してもらうためには、元交際相手の行為について、できるだけ証拠を残しておくことが重要です。
ストーカー規制法では、恋愛感情が満たされないことへの恨みなどから、特定の人やその家族につきまとい、相手を不安がらせることを禁止しています。
つきまとい以外にも▽待ち伏せ▽無言電話▽連続した電話やメール▽名誉を傷付ける行為▽性的に辱める行為――なども取り締まりの対象になります。
これらはストーカー規制法の2条1項に掲げられています。
ですから、娘さんの場合ですと、元交際相手からの電話を録音し、待ち伏せされた日時や場所を具体的にメモに残しておくとよいでしょう。
警察にはこうした証拠を見せた上で、防犯上のアドバイスや元交際相手への警告を求めてください。つきまといが繰り返されている場合は、元交際相手を刑事告訴することができます。
ストーカー行為に脅迫や名誉毀損が伴うのであれば、刑法の脅迫罪や名誉毀損罪で告訴することもできます。
近年、ストーカー被害の申告件数が増加しており、殺人など取り返しがつかない被害に発展してしまうケースも発生しています。とにかく一刻も早い対応が必要です。警察の腰が重いと感じた時は、弁護士や民間の支援団体などに支援を求めてください。
<回答・藤井恭子弁護士(大阪弁護士会所属)>
2013年12月7日 毎日新聞大阪版朝刊掲載