先日、和歌山で猛毒を持つカニが漁網にかかったというニュースがありました。
皆さんは、食べられるカニと猛毒のカニを自信を持って区別できますか?
さて、目の前に美味しそうなカニがいます。
あなたはお腹が空いています。
そんなとき、あなたはどうしますか?
「猛毒のカニもいる」ということを知ってさえいれば、むやみに正体不明のカニを食べることもないですよね。
でも、お腹がとっても空いていたらどうですか?
あるいは、「猛毒のカニもいる」ということを知らなかったらどうですか?
食べちゃうかもしれませんよね!?
ビジネスの世界ではどうでしょう。
「一見誰もが思いつきそうな(だけど誰もやっていない)、儲かりそうなビジネスのアイデアが浮かんだ。」
そのビジネスを実行しても大丈夫ですか?
それって違法なビジネスかもしれませんよね。
最悪、警察に捕まるかもしれませんよね。
そんなときはどうしますか?
普通はそんな危ないことはしませんよね。
でも、お金がのどから手が出るくらい必要だったらどうしますか?
あるいは、そもそも「そんなビジネスが違法とは知らなかった」とすればどうですか?
やっちゃうかもしれませんよね!?
実はそのような違法なビジネスはいろいろありまして、例えば、お金をもらって売掛金を回収するビジネス(弁護士などが行なう場合以外は弁護士法違反です)などがあります。
微妙な例でいえば、スマートフォンを修理するビジネスが挙げられます。
スマートフォンは無線設備の一種であるため、日本国内で適法に利用するためには、その機種が法律の技術基準に適合していることの認証をメーカーが受けなければなりません。ところが、スマートフォンを修理することによって性能が変わってしまった場合には、そのような認証が失効する可能性があります。よって、スマートフォンを修理をした場合には、本来であれば修理をしたことによって技術基準を逸脱しないことを証明する必要があるため、修理を行なうことができるのはメーカーかその委託業者に限られていました。
ところが、それ以外の業者がスマートフォンを修理した場合の取扱いについては法律上明確ではなく、実際にはグレーな状況で修理業者が登場する状況となっていました。
そこで、平成27年4月から、「登録修理業者制度」がスタートし、メーカーや委託業者以外であっも、登録を行なうことで、無線機としての性能に影響のない、画面割れの修理やバッテリー交換などといった修理を行なうことができるようになりました。
しかし、このような登録制度開始後も、やはり多くの業者がそのような登録を経ることなく修理を行っているのが現状です。
このような例を見ると、ぱっと見て何ら法律に違反することなどないように見えるスマートフォンの修理であっても、実は法律的に曖昧なところでビジネスが行なわれていることがお分かり頂けるのではないでしょうか。
ビジネスを成功させる上では、ある程度のリスクを背負うことは不可欠です。しかし、そのようなリスクは、あくまでも「儲かるか、儲からないか」のリスク(ビジネスリスク)に留めるべきであって、「違法か、適法か」という法律上のリスク(リーガルリスク)は最小限でなければなりません。
リーガルリスクの有無を、ご自身で調べることも不可能ではないです。しかし、それは目の前のカニが食べられるかどうかを図鑑を見ながら調べるようなもので、調査に時間と手間ががかかる反面、完全にリスクを払拭できないということになりかねません。
そこで、ビジネス上のリーガルリスクの判断は、是非とも法律の専門家である弁護士にご依頼を頂きたいと思います。また、このようなリスクの有無を気軽に相談できる顧問弁護士を持たれることをお勧めします。