離婚訴訟で裁判離婚するという内容の和解をする際、代理人がついていても、本人が出頭しなければならないことを定めた規定はありませんが、裁判所は一般的に両当事者の同席を求めます。
「新人事訴訟法 要点解説とQ&A」(新日本法規 編著:石田敏明)には、「理論的には、身分行為に代理は許さないという原則はありますが、この点もいったん離婚の意思を固めてこれを使者に伝達してもらうことは可能であるから、代理人弁護士を使者として訴訟上の和解をすることは不可能ではない。」としつつ、「訴訟上の和解の成立により身分関係が形成されるのですから和解成立時の本人の意思の確認が重要であるところ、今回の新法の制定に当たっても、…書面和解、裁判所による和解案提示による和解の規定を準用しなかったこと、本人の離婚意思というものの時々刻々変わりうるもので、和解成立の時点での本人の意思の確認が重要であること、家庭裁判所の調停での実務慣行では本人の出頭を要求していることを総合的に考えると本人の出頭を要求すべき」との記述があります。
確かに、身分関係だから慎重に、ということは理解できるのですが、離婚における揉めるポイントも色々で、そもそも離婚したいかしたくないかで争っている事案から、離婚についてはお互い合意できているけれども、財産分与で折り合いがつかない事案まで様々です。
個人的には、せめて、離婚すること自体に争いがない場合には本人の同席はなくてもいいじゃないか…と思うところです。