「デートDV」 無料電話相談を
Q. 友達の女の子が、交際中の男に束縛されています。毎日決まった時間に電話をさせられ、少しでも遅れれば「ぐず」と罵倒されるそうです。「おまえに生きている価値はない」と言われ、見るに堪えないほど痩せてしまったこともありました。それなのに、友達は「私が悪いの」と言って、交際をやめません。どうにかできませんか。
A. ご友人は、恋人に支配されてしまっているようですね。この男性がしていることは、ある種の暴力です。いわゆる「ドメスティックバイオレンス(DV)」に当たります。
DVと言えば、殴る、蹴るといった身体的な暴力を思い浮かべる方が多いでしょう。ですが、「暴力」には精神的、性的、経済的なものなどさまざまな形があります。
精神的暴力とは、例えば▽怒鳴る▽バカにする▽無視する▽行動を監視・制限する▽服装や髪型を強制する-行為のことです。
DV防止法は、こうした精神的暴力も防ぐべきものと規定しています。
そしてDVの中でも、恋人から受ける暴力を「デートDV」と呼びます。他人からすれば「なんで別れないの?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、本人が「別れよう」と決断するのは難しいと言えます。
なぜなら、DVを受け続けているため、強い恐怖や不安を抱いていたり、自信を失ったりしていて、正常な判断力が奪われているのです。
また、なまじ恋愛感情があるので、「暴力を振るわない時のあの人が本当の姿なの」と思ったり、「好きだから我慢するのは当たり前」と束縛を愛情と勘違いしたりする場合もあります。
DVは、さまざまな暴力が重なり合ってエスカレートすることも多く、悲惨な事件につながりかねません。本人への接近を禁止する保護命令は、生命身体に危害を受ける恐れが大きいなどの場合に限って申し立てができます。
現在の法制度上、今回のように結婚していない恋人同士の場合には、同居していなければ申し立てができないので注意が必要です。
今回のケースについては、別れるべきとの結論を押し付けるのではなく、まずはご友人の気持ちを丁寧に聞き、あなたが心配していることを伝えたらいいでしょう。専門の相談機関に行くことを勧めるのもよいと思います。
大阪弁護士会では、毎月第2木曜日の午前11時半~午後1時半、女性に対する暴力について無料電話相談をしていますので、ぜひご利用ください。
<回答・渋谷有可弁護士(大阪弁護士会所属)>
2014年5月10日 毎日新聞大阪版朝刊掲載
大阪弁護士会
女性に対する暴力電話相談
職場の他、家庭や社会における女性に対する性的いやがらせ及び性的虐待に関する相談を扱うもので、相談時間には2名の弁護士が待機しています。
電話:06-6364-6251
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