またまた林裕悟です。
今回は,ランニング中に遭遇した恐怖体験のお話。
先週の週末,少し早起きをして,早朝から箕面のお山でひとりトレランに行ってきました!
いつも走る落合谷橋からようらく台に抜けるトレイルは台風11号によるがけ崩れで通行止め。
しかたがないので,こもれびの森で少し遊んだのち,ビジターセンターから天上ヶ岳へ!
その朝はハイカーもランナーもおらず,ほんとの一人旅。
朝一番の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み,最高に気持ちいいトレイルを爽快に走ります。
すると,トレイルに人影ならぬ猿影が!
最近は滝の周辺でもお猿さんにはなかなかお目にかかれません。
そのせいか,忘れがちだけど,箕面はやっぱりお猿さんのお山。
「当然,朝一番の山の中にはお猿さんがいるよね。」と納得しつつ,足を進めます。
私が走っていくと,10匹ほどのお猿さんが,木から木へと飛び移って,退散していきました。
「お食事中に邪魔してしまい,申し訳ないなぁ」
そう思いつつ,さらに奥へ。
すると,頂上近くの少し広くなった休憩スペースにお猿さんの群れが!!!
少なくとも40から50匹はいそうです。
生まれたての赤ちゃんがお母さんのおなかの前に見えます。
ボスのような大柄な猿もいます。
すると,若くて血気盛んな2匹の猿が「キーッ」と飛び出してきました。
山じゅうに,猿の「キーッ」という叫び声が響いています。
さっきのお猿さんたちは,私の姿を見ると退散していきました。
でも,今度のお猿さんたちは,全く動こうとしません。
それどころか,「キーッ」という声で,こちらを威嚇してきます。
赤ちゃんがいるからでしょうか。
数が多いからでしょうか。
ここが彼らの根城だからなのでしょうか。
既にビジターセンターからはかなり登ってきています。
天上ヶ岳は目の前です。
引き返したくはありません。
でも,進めそうな気配もありません。
しばらくの間,立ち止まって,お猿さんたちの様子を眺めてみました。
もしかすると,お猿さんたちが私に道を譲ってくれるのではないかと淡い期待をしながら。
でも,世の中,そんなに甘くはありません。
お猿さんたち,全く移動する気配を見せてくれません。
相変わらずこちらをにらみつけています。
興奮は一向に治まらないようです。
こんなところで猿の群れに襲われたら最悪やなあ。
確実に怪我するし。
携帯,圏外かもなあ。
通りかかる人もいそうにないし,
歩けなくなったら命の危険すらあるなあ。
結局,
お猿さんたちの興奮した様子と,あまりの数の多さに,
前に進むのをあきらめました。
そして,振り向いて走り出そうとしたその瞬間。
ここが恐怖体験です。
何と,私の後方にも数十匹ものお猿さんが!!
いつの間にやら,前も後ろもお猿さんに取り囲まれていたのです。
お猿さんの群れのまん真ん中に一人ぼっちの私。
おもわず,「うわーっ」と叫んでしまいました。
すると,お猿さんたちも,興奮して,さっき以上のテンションで,「キーッ」と叫びました。
さらに,その声に触発されたのか,複数のお猿さんが,口々に「キーッ」と叫びます。
もはや,一触即発の状態です!!
前にも,後ろにも進めませんが,どう考えても,後ろのお猿さんの方が数がすくなそうです。
前には40から50匹,後ろにはせいぜい20匹前後です。
しかも,前には赤ちゃん猿,ボス的な猿もいます。
強行突破のリスクは非常に高そうです。
他方で,後ろは,青年クラスです。
こちらも穏やかではありませんが,前よりはリスクは小さいか。
この時点で,後ろに戻ることに決めました。
興奮するお猿さんたちに落ち着いてもらう以外に方法はありません。
とりあえず,お猿さんに話しかけることにしました。
「少し通してほしいだけなんだよね。」
「こわくないよ」
「大丈夫,何もしないよ。」
「戻るだけだからさ。」
傍から見たら変なおっさんです。間違いない。
でも,そんなことは言っていられません。
話しているうちに,どうやら,お猿さんも落ち着いてきたようです。
でも,道を開けてくれる気配はありません。
仕方がないので,少しずつ前進することにしました。
さっきまで,「キーッ」と叫んでいたお猿さんのすぐ脇まで来ました。
こっちをにらんでいます。
目を合わさないようにしながら,そして話し続けながら,少しずつ進んでいきます。
「戻るだけだよ。大丈夫。」
「大丈夫,何にもしないよ。」
この「大丈夫」は,半分は自分に言い聞かせていますよね。
一匹目は無事にクリアー。
でも,なぜか私の後ろにくっついてきます。
一瞬,落ち着いきかけた私の心が,再び恐怖で満たされます。
でも,前進を止めるわけにはいきません。
「来なくっていいよ」
「大丈夫だよ」
と言いながら,二匹目のお猿さんの脇へ。
二匹目も何とかクリアー。
でも,私の真上の木から私を睨みつけているお猿さんがいます。
少し離れた木のうえから,臨戦態勢を整えているお猿さんもいます。
目を合わさず,話し続ける作戦で,ひたすら前進を続けました。
決して,後ろは振り返りません。
振り返って目があったら,背後から襲われそうな気がして。
「ほら,何にもしないでしょ!大丈夫だよ。」
そんなことを言いながら,前進を続けます。
気が付けば,後ろについてきていたお猿さんたちもいなくなりました。
何とか,無事に猿の群れから脱出することができたようです。
めでたしめでたし。
いや,人間って無力ですね。
野生の力は侮れない。
人間は,そんな自然の中で,自然を脅かさない範囲で,遊ばせてもらっているんだなぁ。
そんな思いを再認識させられた恐怖体験でした。
皆さんも,お猿さんの群れに会いに,一度,箕面の山にお越しください。
観光化された滝周辺からさらに一歩も二歩も入れば,手つかずの自然がたくさん残っていますよ!