去る7月24日、法教育委員会の委員としてジュニアロースクールの模擬裁判に評議サポーターとして参加をしてきました。
毎年行われているこの模擬裁判は、大阪府下の学校から集まった中学生の皆さんが弁護士扮する被疑者、証人、検察官などの尋問の様子を聴き、生徒さん自ら補充尋問をした後でグループに分かれて評議を行い、被告人が有罪か無罪かを話し合うというものです。
今年のシナリオは、ある女性が自分の部屋で殺害され、ギャンブル好きの元彼氏が被告人として審理されるという内容でした。凶器は被告人がいつも見せびらかしていたものとよく似た形状のバタフライナイフで、犯行現場付近で血の付いたサンタの服を着た被告人を目撃したという証人がいる傍ら、被告人は犯行時刻にはケーキ屋でサンタの服を着てアルバイトをしていたというアリバイがあるようなないような…!?
補充尋問では、私たちが思いもよらないような想像力あふれる質問や、
「証人はサンタの服が血で汚れていたというけれど、赤い服は水で濡れても色が濃く見える。本当に血だったのか、血の臭いはしたのか。」
・・・など、実務家もはっとするような鋭い質問が相次ぎ、驚かされてしまいました。
続く評議でも各班初対面の生徒さん同士のはずなのに、それを感じさせないような活発な議論が行われたことにまたまた驚かされてしまいました。
何より一番印象的だったのは、評議の過程で、どの生徒さんも一つの正解を探そうとするのではなく、自分の頭で証拠を一つ一つ評価して、論理を組み立てて、「自分の意見」として有罪か無罪かを決めていたところです。
最近はggrksという言葉があるように、なんでもインターネットで調べれば「正解」がわかる、というような風潮がありますが、自分の頭で考えて自分なりの答えを一旦出すことの大切さを、本当に熱心に考えている生徒さんの姿を見て改めて感じました。
最終的には全ての班が無罪判決という結果ではありましたが、班によっては最後まで班のメンバー間で意見が割れていたところもあったようです。そして、その結論をとった理由をきいてみても、動機をあると評価したかないと評価したか、あるとした場合それは強いのか弱いのか、バタフライナイフが被告人のものであると評価したか否かなど、その理由が少しずつ異なったので、各班非常に有意義な議論がされたのではないかと思います。
学生さんと話ができるのは楽しいかな、という軽い気持ちで入った法教育委員会でしたが、思いのほか自分の勉強になっています。今後とも学生さんの考えるきっかけになるような活動をしていければと思っています。