最近は法科大学院に進学する方が相当減っているようですね。
学費などの金銭的なことが影響しているのかもしれませんが,私としては断然法科大学院に進学して欲しいと思っています。
私は,工学部出身でしたので,司法試験予備校に通って法律を学び始めました。
司法試験予備校の授業はとても分かりやすく,初学者の私にとっては大変身になるものでした。
司法試験予備校のことを悪く言う方もおられますが,司法試験予備校の利用の方法さえ間違わなければ,今でも有用なツールだと考えています。
しかし,勉強が進むにつれ,司法試験予備校の勉強だけで個々の論点をより深く掘り下げることが難しいのではないか,論証集の言いたいことは分かるけれどもより論理的に論証するのであれば司法試験予備校の勉強だけでは不十分なのではないかと感じ始めていました。
ちょうどその頃,法科大学院ができたため,私は法科大学院に入学しました。
私が感じた法科大学院の良さを3つ挙げさせて頂きます。
法科大学院の良さの1つ目は,資料の充実です。
個々の論点をより深く掘り下げるためには,裁判官や実務家が書いた本や,複数の基本書,論文集に掲載されている論文を読み込むことが重要です。
司法試験予備校で勉強していたころは,十分な資料がなく,このような勉強ができませんでした。
そのため,納得のいく論証が作れず,よく理解もしないままに市販の論証集や,優秀答案に記載されている論証を覚えようとしていました。
法科大学院に入学して,最高裁判所判例解説や,複数の論文を読むことができるような環境になり,これらを読み込むことで理解が深まり,各論点をより深く掘り下げて勉強できるようになりました。
その結果,以前は納得できていなかった論点について,納得のいく論証を作ることができるようになっていきました。
法科大学院の良さの2つ目は,教授,実務家教員から充実した指導を受けられることです。
私は他学部ですので,法科大学院に入って初めて法律学の教授に質問するという機会を得ましたが,本当に親切に教えて頂けましたし,読んでおくとよい参考文献なども教示して頂け,とてもよい勉強になりました。
特に実務家教員にお世話になり,どのような文章を書けば説得的なのか,法律家の書く文章とは何なのかを徹底的に鍛えて頂けました。
この業界で評判の悪い「論点型答案」を私が脱却できたのも,法科大学院に進学して,実務家教員に徹底的に鍛えて頂けたからです。
「予備試験」組では得られない法科大学院の利点はこの点にもあるように強く思います。
法科大学院の良さの3つ目は,仲間と切磋琢磨して勉強できることです。
法科大学院に入って,分からないことを仲間に聞けることの喜びは本当に大きなものでした。
また,お互いに切磋琢磨して合格を目指した日々は今でもかけがえのないものです。
この経験は,やはり法科大学院に入ったからこそ得られたものです。
法科大学院は合格に直結しないことを勉強させられると思っている方が大勢おられるように思いますが,必ずしもそうではありませんし,表面的に論点の知識を詰め込むことが受験勉強であるというのは完全な誤解だと思います。
私は,法科大学院に進学して,色々な角度から勉強をして理解が深まり,それが司法試験の合格に結び付いたと思います。
法科大学院か予備試験かで迷われている方がおられるのでしたら,是非法科大学院に進学して頂きたいと思います(私立だと免除制度もありますので,それほどお金もかからないように思いますけどね。)。